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マスク氏の果てなき野望 「トランプ蜜月」いつまで

2024-12-01 17:37:59 | 米大統領選2024


大型宇宙船「スターシップ」の打ち上げの場で話すマスク氏㊨とトランプ氏

 

米電気自動車(EV)大手テスラを率いるイーロン・マスク氏が、米国のトランプ次期政権の「政府効率化省(DOGE)」のトップに就く。

自動運転や宇宙開発という自らの野望を規制撤廃で後押しするのか、逆に利益相反の疑念を広げるのか。トランプ氏との蜜月の行方が焦点だ。

 

米雑誌フォーブスの「リアルタイム長者番付」(11月25日時点)によるとマスク氏の資産総額は3264億ドル、円換算で約50兆円という世界一の富豪である。

ちなみに日本の一般会計の税収は70兆円程度で、税収が大きく落ち込んだ2009年度には38兆7千億円しかなかった。

 

資産膨張はマスク氏が米大統領選でトランプ氏に賭け、その勝利でテスラの株価が上昇したおかげだ。トランプ氏が凶弾で落命しかねなかった7月中旬、突然自らが率いるX(旧ツイッター)でトランプ氏支援を公表したのだ。

マスク氏は大統領選でトランプ陣営に少なくとも1億1800万ドル(約180億円)を献金。選挙戦終盤には「毎日1人に100万ドルを贈る」という署名キャンペーンでトランプ氏の支持を拡大した

 

マスク氏は過去にはオバマ元大統領やヒラリー・クリントン元国務長官を支持していたし、トランプ氏を批判したこともある。

なぜ民主党批判に急旋回したのか。カギは、マイノリティー(少数派)の権利を強く主張する左派への強烈な反感にある。「ウオーク」という俗語がある。

 

日本語でいうと「意識高い系」をからかう言葉だ。「ウオークの心理的ウイルス」(woke mind virus)という左派を侮蔑する造語はマスク氏自身が広め、右派系のSNSで多用されるようになった。

伝記作家ウォルター・アイザックソン氏の「イーロン・マスク」(文芸春秋刊)によればトランスジェンダーの自らの子どもと絶縁状態になった影響があるという。

 

マスク氏は新型コロナウイルス禍でカリフォルニア州政府がテスラの工場を閉鎖しようとしたことを、過剰な規制だとして腹を立てた経緯もある。

ともあれマスク氏はかねて自動運転と人類の火星進出の実現を野望としてきた。暗号資産(仮想通貨)にも強い関心を示し、お気に入りの仮想通貨、DOGEを新組織の名前に借用している。

 

その新組織で取り組むのが、連邦政府の6.8兆ドルの歳出から2兆ドルを削減することと、利益相反への批判が予想される規制の撤廃だ。

 

 

 

DOGEは省と名乗っていても事実上はトランプ大統領への助言機関であって、直接の権限はない

マスク氏は法的制約を受ける公職より、自由に動ける外部組織が好都合と判断したと思われる。ただ歴史を振り返ると、行政改革を進める米大統領の諮問組織の結末はまったく報われるものではなかった。

 

1982年、レーガン大統領が諮問した行革組織は、委員長の化学メーカートップの名を冠し「グレース委員会」と呼ばれた。

150人を超えるビジネスリーダーらで構成し、2500を超える勧告を含む最終報告書を84年に提出した。レーガン政権は財政赤字に直面していたが、そのほとんどが実行されなかった。

 

今回はどうか。マスク氏にはXという強力な「拡声器」がある。米国在住のある日本人弁護士は「米国には勝者や成功者をたたえる文化がある。

マスク氏は何度も失敗を乗り越えており、毎日政府官僚の能率の悪さや恥ずかしい無駄をXで暴露すればインパクトは大きい」と話す。

 

もう一つの懸念が国家安全保障上の利益相反だ。マスク氏は中国の上海にテスラの工場を構え、4月に李強(リー・チャン)首相と会談。

江蘇省は7月にテスラを公用車として調達対象にすることを決めた。ウクライナに提供したスペースXの衛星通信サービス、スターリンクについては、ロシアによる核兵器使用の誘発を恐れ、クリミア攻撃に使えないように通信を遮断したことが前出の伝記で明らかになっている

 

ただ米メディア、ガバメント・エグゼクティブが今年2月に配信した記事は、当時麻薬使用疑惑があったマスク氏について、宇宙ロケットを製造し、軍も含めて衛星通信サービスを提供しているため、機密情報の取り扱い資格(セキュリティー・クリアランス)が取り消される可能性は低いだろうと分析している。政府にとってメリットがリスクを上回れば黙認される可能性が高いというわけだ。

マスク氏のトランプ氏側近という地位はいつまで持つだろう。

 

11月11日の米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、鉄鋼王のカーネギーや新聞王のハーストの伝記を著したデビッド・ナソー氏の寄稿を載せた。

「トランプ氏はその勝利や表舞台を誰とも共有するつもりがない。(中略)おそらくマスク氏は、目的を果たした後に何気なく捨てられた天才的なビジネスマンの長いリストに加わるだろう」

 

寄稿はカーネギーやハーストが時の大統領に多大な貢献をしたのに処遇されなかったことも例示している。確かに1期目のトランプ氏は閣僚や幹部を次々に解任している。

DOGEは中間選挙の26年7月までに政府の再構築の仕事を終えるという。世界一の権力者と、とてつもない野望を抱く世界一の富豪のタッグを過小評価はできない。

 

ただそこまで2人の蜜月関係が続くかどうかが、最大の疑問として残っている。

 

 

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日経記事2024.12.01より引用

 

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