<ウクライナ軍ドローン部隊が公開した映像には、ロシア主力戦車T-90を的確な攻撃で爆発・炎上させるシーンが収められていた>
ウクライナ東部で戦闘が激化する中、ウクライナのドローン部隊がロシアの主力戦車T-90に自爆攻撃を仕掛け、正確なコントロールで撃破に成功したシーンだとされる動画が公開された。
走行中のT-90戦車に複数のドローンが続けざまに突撃して操縦不能にし、最後には爆発・炎上にさせて車体は大破してしまった。
■【動画】ロシア最新戦車の「急所」にドローンがピンポイント「特攻」...砲塔を制御不能にし、爆発・大破させる凄技
動画は、同地での戦闘で中心的な役割を担っているウクライナ軍第47機械化旅団のドローン部隊が5月25日、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿したもの。
ウクライナの攻撃用ドローン数機が、前線沿いの地点(場所の詳細は不明)でロシアの新型戦車を攻撃したと説明した。
2年以上続いているウクライナ戦争は、空中、陸上、水上のドローンの超高速の技術革新に拍車をかけた。
ウクライナの上空にはドローンが飛び交い、同国とロシアが技術競争を繰り広げている。
今回動画を投稿したウクライナ軍の部隊によると、自爆型ドローンが戦車のエンジンを直撃し、別の部隊が戦車の砲塔上部を攻撃して、車両の誘導システムの一部を損傷させたという。
「卓越した技術で砲塔と戦車の外板の間に命中させた」
「味方の部隊が戦車を燃やそうとしたが、うまくいかなかった」と同部隊は説明。
「操縦士の1人が卓越した技術を見せ、砲塔と戦車の外板の間に命中させた」と述べた。
この短い動画では、ドローンに攻撃されたT-90が道路脇で炎上しているように見える。本誌はこの映像を独自に検証できておらず、ロシア国防省にメールでコメントを求めている。
ウクライナ軍はこれまでも、安価な自爆型ドローンを使ってT-90を破壊したとする動画を公開している。
ロシアはT-90の中でも、「プロリフ(突破)-3」と称されるT-90Mを特に評価している。同国のウラジーミル・プーチン大統領は2023年6月、T-90Mを「世界最高の戦車」と自賛した。
ロシアの国営メディアは2022年12月下旬、T-90Mが初めてウクライナに配備されたと報道した。T-90Mは「新型の強力な弾薬を発射できる」125mm砲とミサイルを搭載し、夜間でも稼働でき、他の戦闘車両と通信するための高度な通信システムも備えていると伝えている。
高性能と期待されたロシア「T-14アルマータ」だが配備に遅れ
ロシア国営タス通信によれば、T-90Mの装甲はロシアの別の戦車「T-14アルマータ」と同じものだという。もっとも、かつては極めて優れた戦車と思われていたT-14は精彩を欠き、取り扱いが複雑で配備も遅れているのが現状だ。
T-90は、アメリカ製の戦車「エイブラムス」とほぼ同等の性能だ。エイブラムスは、ウクライナが2023年9月にアメリカから寄贈された車両の第1弾が到着したことを認めて以来、第47機械化旅団が運用している。
同旅団の少なくとも一部は、ウクライナ東部のドネツク州ポクロフスクの近くに配備されている。
ウクライナ軍は5月26日、ロシアは同月に入って北東部ハリコフ州で新たな攻勢を開始したが、この1日でポクロフスク東部の前線沿いで戦闘が最も激しくなっていると発表した。
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NEWSWEEK記事2024.06.01より引用