ゼルディン氏はトランプ氏が訴えてきた「脱グリーン」政策を指揮する=AP
【ワシントン=八十島綾平】
トランプ次期米大統領は11日、米環境保護局(EPA)長官に元下院議員のリー・ゼルディン氏を起用することを明らかにした。
バイデン米政権が進めた電気自動車(EV)普及策の見直しや、化石燃料の増産・輸出拡大のような「脱・脱炭素」政策を担う。
同氏はトランプ氏の地元ニューヨーク州選出の元下院議員で、2022年の州知事選では共和党候補となったが民主党候補に敗れた。
民主党が強い同州知事選で善戦したことやトランプ氏との長年の関係が評価されたもようで、同氏は声明で「米国第一政策の真の闘士だ」とゼルディン氏を持ち上げた。
ゼルディン氏はX(旧ツイッター)で「エネルギー分野での米国の優位性を復活させ、自動車産業を活性化させて雇用を取り戻す」と受諾する意思を示した。
トランプ氏が示唆する地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの脱退でも、ゼルディン氏は大きな役割を果たしそうだ。
トランプ氏は、バイデン政権下のEPAが定めた排出ガス規制を「EV義務化」と強く批判し、撤廃すると明言してきた。
自動車メーカーにとってはバイデン政権の規則はEV販売を増やすほど達成しやすくなる内容だった。
中国勢に後れをとるEVへの支援を見直し、ガソリン車やハイブリッド車の生産への支援を手厚くすることで米メーカーの国内生産体制を支える狙いだ。
液化天然ガス(LNG)の輸出再開なども進め、再生可能エネルギーから化石燃料への回帰を進める。
ゼルディン氏は「米国を人工知能(AI)分野のグローバルリーダーにする」とも述べた。生成AIの普及による電力需要増への対策として、原子力発電所の活用も推進する可能性がある。
バイデン政権も同様の施策を進め始めていた。
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