バイデン氏㊧と次男ハンター氏=ロイター
【ワシントン=坂口幸裕】
バイデン米大統領は1日、銃を不正に購入・所持した罪などで有罪評決を受けた自身の次男・ハンター氏の恩赦に署名した。
2025年1月20日に大統領を退任するのを控え、これまで恩赦を否定していた方針を一転させた。
ホワイトハウスが発表した。バイデン氏は声明に「(大統領に)就任した日から司法省の意思決定に干渉しないと宣言し、息子が不公平で不当に起訴されるのを目の当たりにしながらその約束を守った」と記した。
一方「合理的な人物が事件の事実をみれば、ハンターが私の息子だという理由だけで標的にされたという結論に至る。それは間違っている」と強調した。
「私は司法制度を信じているが、未熟な政治がこの過程に影響を及ぼし、正義に誤りをもたらしたとも思うようになった」と説明した。
「一人の父として、大統領として、このような決断に至った理由を国民が理解してくれることを願う」とつづった。
合衆国憲法は「大統領は弾劾で有罪の場合を除き、合衆国に対する犯罪への執行猶予や恩赦を許可する権限を有する」と定める。
「合衆国に対する犯罪」は連邦法に基づくもので、州法の犯罪は恩赦の対象にはならない。
バイデン氏は声明で、連邦法の罪に問われたハンター氏への「完全かつ無条件の恩赦」だと明記した。
対象について、2014年1月1日〜24年12月1日の間にハンター氏が①犯した②犯した可能性のある③関与した――すべての犯罪に適用される。
ハンター氏は銃を不正に購入・所持したとし23年9月に起訴され、今年6月に有罪評決を受けた。現職大統領の子供が刑事事件で有罪評決を受けたのは初めてだった。
18年10月、薬物を使用していたのに「使用していない」と虚偽申告をして銃を購入し、薬物使用中に銃を所持していた罪に問われた。
9月にはロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、当初否認していた脱税など9つの罪を認めた。
1月の罪状認否では全ての起訴内容を否認していた態度を一変させた。米メディアによると、いずれも12月に量刑が言い渡される予定だった。
バイデン氏側はかねて大統領権限でハンター氏に恩赦を与えないと表明してきた。
今回の判断はバイデン氏の政敵であるトランプ前大統領が返り咲きを決めたことが一因になった可能性がある。
トランプ氏は1日、自身のSNSで「ハンターに与えた恩赦には何年も投獄されている1月6日の囚人も含まれているのか。司法の乱用であり、誤りだ」と投稿した。
21年1月6日の議会占拠事件にかかわって逮捕された自身の支持者の恩赦に言及した。選挙期間中に同氏は事件の逮捕者を恩赦すると明言してきた。
トランプ氏は自身の起訴を巡る現政権の司法省の判断を「政治的迫害だ」と反発してきた経緯がある。新政権の司法長官や米連邦捜査局(FBI)長官に自らに近い人物を起用しており、政敵への「報復」に出るとの見方が出ている。
共和党内にもトランプ次期政権下でもハンター氏の事件を巡る調査を継続すべきだとの声があった。ウクライナや中国がかかわるハンター氏のビジネスを巡る不正疑惑でも追及してきた。
CNNは大統領に近い関係者の話として、民主党のカマラ・ハリス副大統領が大統領選で勝利していれば、恩赦の可能性は低かったと報じた。
バイデン氏は新政権で報復されるのを懸念し、大統領退任前の恩赦に傾いたとみられる。米CNNによると、トランプ氏は今回の恩赦を取り消すことはできない。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
「国家より家族を優先」との批判が民主党議員からも出ているようです。
政治ゲームに翻弄されたとはいえ、一般の米国市民、とりわけ「法執行機関から差別を受けている」と感じることが多いマイノリティにはそう見えないでしょう。
民主党エリート層らも「悪しき前例」と頭を抱えているに違いありません。
量刑は銃の不法所持よりも軽いそうですが、外国代理人登録法(FARA法)違反に関する訴追リスクが恩赦で消えました。
「2014年1月1日から2024年12月1日までの期間に彼が犯した、または犯した可能性のある、あるいは関与した米国に対する犯罪行為」に完全かつ無条件の恩赦をバイデン氏の本音はこちらだったのではないでしょうか。
保守派は騒ぐ決定。ちょうどトランプがかつて恩赦した娘婿のクシュナーの父を大使任命したタイミングにぶつけてきました。
アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。
日経記事2024.12.02より引用
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アメリカの政界は腐っとるな。国家として既に衰退期、
トランプでとどめをさして没落するだろう。