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[FT]アイルランド、データセンターハブの地位維持に苦戦

2024-10-22 13:46:43 | AI・IT・サイバーセキュリティ・メタバース・NFT・ゲーム、

Financial Times

データセンターのハブとして知られるアイルランドの役割について、世界の巨大テック企業が見直す動きがある。同国のエネルギー供給問題や建設計画承認を巡る手続きの難しさが背景にある。

 


データセンターの電力需要は増加が顕著だ(フランスにあるエクイニクスのデータセンター)=ロイター

 

アイルランドは低税率と穏やかな気候、光ケーブルへのアクセスの良さから欧州連合(EU)内でのデータセンターの先駆者としての地位を築いた。

しかしダブリン首都圏では2021年以降、データセンター建設が止まっている。

 

エネルギーの大量消費や、送電網の能力不足への懸念が原因だ。

送電会社エアグリッドは、データセンターの電力消費量が32年までに国全体の電力需要の30%を占める可能性があると予測する。テック企業は生成AIの長期的な需要に対応するため原子力発電に目を向けているが、アイルランドは1999年に原発を禁止している。

 

データセンター大手の米エクイニクスでアイルランド事業を率いるピーター・ラントリー氏は「(政策立案者から)全般的に受ける印象は今後10年間、新たな建設はないということだ」と話す。

アイルランド経済はここ数十年間、多国籍企業の投資を受けて成長してきた。環境保護活動家はデータセンターを使う米巨大テック企業の莫大な電力消費を批判しているが、アイルランド財政はこうした企業が納める法人税で巨額の黒字を計上しており、企業のつなぎ留めが重要だ。

 

アイルランドにある82のデータセンターは23年、国全体の電力の21%を消費し、過去8年間で4倍に膨らんだ。

需要に見合うグリーンエネルギーが不足し、イーモン・ライアン環境相は、データセンターの建設は促進したいが排出削減目標を順守しなければならないとの立場を取っている。

 

計画承認に必要な厄介な制度も足かせになっている。

建設で直接影響を受けない人たちも異議申し立てが可能で、何年もの法廷闘争に発展することがよくある。あるテック企業2社はエネルギー事情や建設計画の承認制度が「敵対的すぎる」と感じ、米国か欧州大陸にデータセンターを移転する検討をしているという。

 

異議申し立て手続きの合理化を含む承認制度の改革法案は、議会の最終的な承認を待っている。

インフラ構築が遅れるなか、エクイニクスはダブリン北西部のデータセンターで新機軸を打ち出した。自前のガス発電所だ。将来的には水素を燃料とする発電も可能だ。

 

米グーグルや米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などのデータセンターの利益を代表する業界団体の代表、マイケル・マッカーシー氏は「当局はアイルランドがビジネスに開かれているという市場へのシグナルを示してほしい」とした上で、「まだ間に合う」と話している。

 

By Jude Webberand and Malcolm Moore

 

(2024年10月7日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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