日本経済新聞社は27日に投開票を迎える第50回衆院選の終盤情勢を調べた。
自民、公明両党が勝敗ラインとする過半数の議席確保は現時点では不透明で、与野党の攻防が激しい。
立憲民主党は公示前勢力から上積みして150議席をうかがう。接戦の選挙区は序盤調査から増え、全体の5割弱に上った。
全国で22〜24日に電話調査し取材を加味して情勢を分析した。
投票先を決めていない態度未定の有権者が小選挙区で十数%、比例代表で1割弱おり、投開票日まで情勢は変わりうる。日経は選挙戦序盤の15、16両日にも同様に調査した。
自民は全289選挙区のうち議席獲得が「有力」だったのは序盤から微減の3割ほどにとどまった。「優勢」まで含めると5割弱となる。
全国11ブロックで争う定数176の比例代表も前回2021年に獲得した72議席を10議席超、減らす見通しだ。
合計の議席数で公示前勢力の247議席を下回り、自民単独で定数465の過半数となる233議席以上を得られるか見通せない状況だ。
複数の候補者が「優勢」または「可能性」がある状況と判定されて接戦となっている選挙区は130超ある。接戦区の結果次第で全体の獲得議席の数が変わってくる。
公明は公示前の32議席を下回る可能性がある。小選挙区で4人が立候補した大阪ではいずれも日本維新の会や立民の候補を追う展開となっている。序盤調査は一部選挙区で公明がややリードしていた。兵庫で候補を擁立した2小選挙区は先行する。
立民は公示前勢力の98から勢力を伸ばし、小選挙区と比例代表の合計で150議席を見据える。東日本を中心に優位な選挙区が微増した。
維新は大阪など関西圏に「有力」または「優勢」な選挙区が集中し、他の地域は苦戦する。比例代表は序盤情勢から勢いが落ち、合計でも公示前を下回る可能性が高まっている。
共産党は比例代表での公示前の9議席を固めつつあり、さらに増やす余地がある。序盤情勢で勢いがあった国民民主党は公示前の7議席からの上積み幅をさらに伸ばし、20議席が視野に入る。社民党は公示前の1議席の維持が見えてきた。
自民派閥を巡る政治資金問題などを受けて既成政党への不信が高まったことを背景に新興勢力が伸長する傾向がある。
れいわ新選組は公示前の3議席から倍増以上、参政党は複数議席の獲得の可能性がある。日本保守党は複数議席を得て政党要件を満たす勢いだ。
野党は立民、維新、共産、国民民主の4党などで小選挙区の候補者のすみ分けが進まなかった。接戦区が半数近くある状況で、一定数の野党候補の共倒れが発生する見通しだ。
調査は読売新聞社と協力して実施した。基礎データのみ両社で共有し、集計、分析、記事化はそれぞれが独自にした。
有権者への調査は日経リサーチが22〜24日、乱数番号(RDD)方式で無作為に作成した固定電話と携帯電話の番号に調査員と自動音声による電話をかけた。1つの小選挙区内で500人以上の有効回答を得るのを目標とした。調査員と自動音声の合計で15万5447人から有効回答を得た。
政党別の獲得議席数は過去の調査と投票結果との関係から予測モデルをつくり、シミュレーションで獲得する可能性のある議席の幅を推定した。この結果に取材による情勢判断を加えて最終的な予測議席数とした。
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
自民党の議席推計の中心値は、朝日は200、毎日が198、産経が196、自公の合計では朝日が225、毎日が224、産経が218と、過半数の233を下回る可能性がかなり出ています。
日経は自公で過半数が「不透明」という表現。共同は「微妙」と。しかも、どの情勢調査をみても、序盤から終盤にかけて下降傾向です。
そこに、非公認候補への2000万円の支給問題が浮上。 予想は困難とはいえ、自公の過半数割れも念頭に置く必要がありそうです。
ただし、8議席程度の不足であれば、追加公認や復党、無所属議員の入党などで過半数に事後的に達するでしょう。しかし、それでも安定多数は244であり、政権運営は難しくなりそうです。
第50回衆議院選挙が2024年10月15日公示―27日投開票の日程で実施されます。候補者や開票速報・結果などをお伝えします。
日経記事2024.10.25より引用