風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

横浜工場夜景アドベンチャークルーズ 1

2018-05-24 | 神奈川
● prologue

GWが明けた水曜日の夜、横浜に向かいました。
この日は友人と工場夜景クルージングの予定。
この辺りだと京浜運河の工場夜景がメジャーですが、今回選んだのはちょっと珍しい、本牧・根岸工場夜景クルーズです。
友人の家がそちらの方にあるので、普段見知った辺りを夜の海から眺めるのもおもしろそうだと思って。

京浜運河コースの方は頻繁に催行されますが、こちらのコースは月に2回しかありません。そんなにマイナーなのかしら。
予約した日は雨予報でしたが、先に延ばすと梅雨になってしまいます。
天気を気にしながら、当日を迎えました。

● 中華街で飲茶とアヒル

食事付きツアーを申し込みましたが、届いた行程表を見る限りでは、添乗員はついていない様子。
現地集合ということで、友と中華街の指定のお店、北京烤鴨(カォヤー)店に行きました。
平日夕方のチャイナタウンは、いつもの殺人的な喧騒とはうってかわって幻想的。



横浜が地元の私たちは、中華街の通りの名前を聞いたらたどり着けますが、土地勘がない人だと、指定されたお店を見つけるまでに迷ってしまいそうです。
お店で添乗員さんやほかのツアー客と合流するものと思ったら、なんとメンバーは私達だけみたい。
あれ?たった2人でも、船は出るのかしら?
まあ、催行することは決まっているので、あまり気にせず、目の前でさばいてもらった北京ダックに舌鼓を打ちました。







この辺りの詳細は日記ブログで⇒ 『お肉もついてよダックちゃん』

● もうすぐトライアスロン

食事を終えて、次の集合場所、大桟橋ふ頭ビルに向かいました。
またもや自力での移動になるので、慣れない人は地図を手放せないでしょう。
私たちは海岸通りを歩いて直線コースで向かいます。

山下公園には、たくさんの白いテントができていました。
「週末に、2018世界トライアスロンシリーズ横浜大会があるんだよ」
「えっ、ここで?横浜港で泳ぐの?(ヒ~!)」
もっと郊外のきれいな海で泳ぐ方が、記録が伸びそうなのに…と思いますが、プロは水質なんて気にしないのかしら。

この週は毎日雨続きで、この日も催行されるか、ずいぶん気をもみました。
日中はずっと激しい雨が降っていましたが、夕方になって雨が上がったばかり。本当にラッキーです。
「日ごろの行いがいいからね!」とうそぶいていたら、急にまた雨がぽつぽつ降ってきました。
「神様が怒っているわ!」あわてて口をつぐみました。

● 大桟橋へ

大桟橋埠頭の乗船場に着くと、ほかにも乗客がいました。
参加者は、私たちを含めて12人。
私たちだけが食事付きコースだったようです。

空は、まだ雲が重く立ち込めていますが、とにかく雨は上がりました。
雲があっても、今回は天体観測じゃないので、問題なし。
雨で大気が洗い流されて、辺りのイルミネーションはとてもきれい。
期待できそうで、ワクワクします。



待っていた船は「聖なる小船」という意味のサンタバルカ号。
このコースが月に2回しか行われないのは、春は東風、夏は南風が強いために、なかなか催行できないのだとか。

● 夜の海に出航

「じゃあ、少し早いけれど出まーす」と船長。
空模様がまだ不安定なため、風向きを見ながらのスタートになりました。



ライフジャケットを着て船に乗り込み、さっそく出航!
海から見る横浜港のきらめく夜景は、とてもゴージャス。



海風を受けながら、横浜港を眺めます。
イルミネーションが、どんどん遠ざかっていきます。



山下埠頭を抜け、ベイブリッジの下を通りました。
マリンルージュとか、マリンシャトルとか、ロイヤルウィングとか、昼のクルージングの時にしか通ったことがない場所です。



● 沖ではフルスロットル

橋を超えた辺りから、船は大爆走!
「この間は何もないから、飛ばしまーす!」
船長はそう言って、ビックリするほどアクセルをかけました。
海なのでぶつかるものは何もありませんが、右に左に激しく船体が揺れるたびにバランスを崩して、私たちはキャーキャー大騒ぎ。

喜んでいるわけじゃありません。
もちろんスピードが出るのは楽しいですが、そのレベルを超えた暴走、いえ爆走ぶりです。
保安船に見つかって必死に逃走中のスパイ船かというくらいのフルスロットル。

● ハイスピードハイ

本牧の辺りになりました。本牧埠頭にあるシンボルタワーを海から眺めます。
絵になる光景ですが、とにかく船のスピードが速くて大揺れしすぎて、カメラを構えるどころか、取り出すこともできません。
根性でカメラを取り出した人も、「揺れて、ブレる~!」と叫んでいます。
みんなで海に放り出されないよう、座席につかまりました。

ザバーン!ザバーン!と波しぶきが立ち、私たちにふりかかってきます。
まさに荒波にもまれる小舟状態。
キャーキャー悲鳴を上げ続けても、おかまいなしに飛ばしまくる船長。
あまりになすすべがなくて、もう笑うしかありません。

ハイスピードすぎてハイになり、みんなでアハハ、ワハハと笑い続けていると、飛び散る波が容赦なく口に入ってきます。
「しょっぱーい!」
「なんてこったいー!」
ライフジャケットを着ているとはいえ、波しぶきが服にかかります。
私はスマホですが、ほかの乗客はスゴイ一眼レフを持っている人ばかりなので、みんな自分が濡れても、とにかくカメラを守ります。
(ちなみに今回は、友がスゴイカメラで撮影した美鮮明な画像を使わせてもらっています)

隣の人は「夜の海は怖いわ」としきりに言いますが、もはや怖いという感覚とは別の「なんか変!」という気持ちでいっぱい。
クルーズって、海の上をすべるように船が動き、「右手をご覧ください」とかいうアナウンスを聞きながら、カクテル片手に楽しむような、優雅なものじゃなかったの?
何の罰ゲームかというくらいに、夜の海の上で右に左に容赦なく揺さぶられ続けて、すでに息切れ状態の私たちです。

ライフジャケットを手渡された時には(波立っているわけじゃないのに、念のためかな)と思いながら着ましたが、十分必要だということがわかりました。

● 名物船長のガイド

船長は、運転しながらガイドもしてくれます。
舵を切るたびに「おーっとっとー」と言いますが、決して爆走モードは緩めません。
湘南爆走族ならぬ横浜爆走族!というレベルでスピードを出しまくっているのに、とぼけたようなのどかな口調。
「・・・のであります」という真面目な口調が、どことなくおかしみを誘います。
「ベイブリッジは、クイーン・エリザベス・ツーが通れる高さに設計されました」
といった、ためになることを教えてくれていますが、超高速にいろいろ麻痺して、変な笑いのツボが押されてしまっている私たち。
どんなアナウンスを聞いても、愉快な気持ちになって「アッハッハ」と笑い飛ばします。

● 本牧工場のキリン

真っ暗な海を進んでいくと、ぼんやり明かりが見えてきました。
近づくとそこは工場地帯の夜景。
この辺りに来て、船は速度を緩めます。
海からの光景を見るのは初めて。思ったよりも照明がしっかりとついています。
別の世界に来たみたい。





波打ち際に立つ、赤と白のキリンさんたち。
暗闇の中に浮き上がる、ガントリークレーン群を下から見上げます。
今にも四つ足歩行で動きだしそうな大迫力。





「あれ?クレーン船がいないなあ?」とつぶやく船長の独り言が、マイクを通してバッチリ聞こえてきます。
「雨だったから、船は沖に出しているんだよね」と友。
船長に教えてあげてー。







● 根岸のイルミネーション

さらに船は進んでいきます。
「あの辺が三渓園」と友がさしてくれた方を見ると、こんもり盛り上がった丘のシルエットが見えました。
この辺りの産業道路は、道路幅が広くて車通りが少ないため、免許を取りたての頃によく運転の練習をしたものです。



根岸の方までやって来ました。作業中のクレーン船があったので、船長はほっとした様子です。
搭状構造物が林立し、イルミネーションが光り輝く、特別な世界。



今は5月ですが、クリスマスシーズンの夜の街のよう。
観光のためにともされているわけではないのに、不思議な美しさがあります。
海から眺めている私たちは、上陸はできません。
陸に憧れて海から眺める人魚姫のような気分になります。



● 燃え続ける炎

大きな煙突から炎を上げて石油が立ち昇っています。
フレアスタック (flare stack) といって、余ってしまうガスを無害化するために、こうやって燃やしているのだそう。
暗闇にあかあかと生えて、オリンピックの聖火台のように荘厳。
感動的でさえあるその明かりから、目を離せませんでした。



ここは工業地帯で、実際には美しさとは無縁の場所ですが、夜になるとこんなにも幻想的でロマンチックになるんですね。



この世のものとは思えないほど非現実的な光景を前に、ただ心打たれる私たち。
切なささえも感じます。
誰もが言葉もなく、しばし見入りました。



その2に続きます。



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