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「今を生きる国民のために、あるいは将来世代をおもんぱかって、大きな改革の第一歩を踏み出せたことは大きな意義がある」。野田佳彦首相は26日夕の記者会見で、法案が衆院を通過したことを受け、消費税増税についてこう理解を求めた。国民はどう受け止めたか。東京都心や東日本大震災の被災地、増税分が投入される社会保障の現場で話を聞いた。
≪都内≫
■「やむを得ないが不安」「政治家も身を削れ」
都内東京・新橋のJR新橋駅前。サラリーマンらからは「やむを得ない」と納得する声が上がる一方、家計への影響を不安がる声も漏れた。
1歳3カ月の長男がいるという東京都江戸川区の商社勤務、越後健次さん(33)は「子供の将来を考えると増税は仕方がない。半面、家や車など大きな買い物は難しくなるし、子育て費用など生活設計を見直したい。より一層倹約します」と話した。
世田谷区の不動産会社勤務、曽我部周平さん(30)は「国の財政を考えると無責任に反対はできない」と法案可決を受け入れながらも「景気の回復を待ってほしかった。売り上げが上向いてきたところなのに、また冷え込んでしまうと思うとやりきれない」と心配する。
一方、豊島区のコンサルタント会社役員、加藤信夫さん(68)は「社業に影響は出るが、増税は必要だと納得している」としつつ、「政局の混乱で増税が決まった筋道が見えていないのは不満だ。国民に痛みを求めるなら、政治家が定数を大幅に減らすなど身を削る姿勢を示してほしい」と話した。
≪被災地≫
■「もう少し時期を考えて」「早く安心したい」
被災地宮城県石巻市では、仮設住宅に暮らす東日本大震災の被災者が消費税増税法案の衆院通過を複雑な思いで見守った。
市内の仮設住宅に暮らす会社員、秋山聡美さん(40)は可決を聞き「通ったんですね…。また家計に負担が増えるのは目に見えているのですが…」。震災で職場を解雇され、ようやく見つけた会社では、給料が以前より大きく目減りしたという。
5歳から10カ月の子供3人を抱え、切り詰めた暮らしを強いられる。「復興政策にしても、増税にしても、もう少し時期とやり方を考えてほしい。私たちが政治に何を言っても無駄なんですから…」とあきらめ顔だ。
同じ仮設住宅に住む無職、小松卓二さん(83)は法案可決をテレビで見守った。年金暮らしの小松さんは「税を上げなければ社会保障が成り立たないのならしようがない」と一言。着工に向け進展が思わしくない災害公営住宅の説明会の案内用紙をながめながら、「家も何もかもなくした私たちは早く安心して暮らしたいだけ。壊してばかりで表に立たない小沢さんは嫌い」と、法案反対に回った小沢一郎氏を批判した。
≪社会保障≫
■利用者の負担増 介護現場に懸念
社会保障消費税の増税分のうち、約2・7兆円は子育て、医療、介護、年金分野の新たな社会保障に充てることが検討されている。介護の現場からは人員増などに期待する一方、利用者の負担の増加を心配する声が上がった。
千葉県内の放課後児童クラブの男性施設長(40)は「法律ではおおむね小学3年までしか預かれない。しかし保護者からは4年以上の預かりのニーズが高い」と話し、子育て分野で新たな予算の投入があれば制度自体の見直しも希望する。
「人材に限りがあるので、訪問看護をしたい人がいてもできない」。広島市の訪問看護ステーションの女性看護師(30)は在宅介護の現状をこう語る。看護師の数が不足しているが、自宅介護を求めている人は増えているという。「新たな予算が付くのであれば、看護師を増やすのに使ってほしい」と話す。
一方、鹿児島県南九州市の訪問看護ステーションに勤める40代の女性看護師は「消費税増税は介護を受けている人の生活に直結する。利用者負担が増し、サービスを使いたくても使えない人が出てくるのでは」と心配そうに話した。
■破綻で困るのは高齢者
≪経済学者の池田信夫さんの話≫
「増税反対派の人は不景気のときに増税をすると、景気が悪くなるというが逆だ。増税をしないと財政赤字が積み上がり、将来に対する不安が大きくなり、個人消費が低迷して余計に景気が悪くなる。財政破綻してハイパーインフレや金融危機が起こると、一番困るのは働くこともできず、年金しか収入のない高齢者だ。国際的に見て日本の消費税率は低いし、今後団塊世代が大量に高齢化し、年金生活者となることを考えると、増税できるのは一律に課税される消費税しかないだろう」