
⇒詳しくは
こちら
もっと!もっと! 国本武春!
三味線エンターテインメントの世界!
初めて国本武春*
公式HPの公演を聴く。
彼の名前はアニメーション作家:
山村浩二の『頭山』での印象的な語りと三味線で知っていたのみだった。彼が浪曲師であり、三味線プレーヤーであるということは、ブログ「
覚え書き」のSaさんが教えて下さった。のみならず、この公演情報も教えていただき、勇躍この日、聴きに出かけたのだ。
で、この日のプログラムは・・・
曲目:ロックンロールうらしま/アジアの祈り/敬老ロックンロール/瞼の母/ネズミの嫁入り/堪忍ブギ/忠臣蔵(討ち入り編)他
その語りの見事なこと、その三味線で奏でられる音楽の豊かなこと、その魅力的な歌声~!会場全体が一つになって彼の世界に引き込まれていた1時間45分、ノン・ストップの三味線エンターテインメントの世界!
あの時間は確かに異次元、日常を離れた世界に遊んでいたなぁ~。
日本の話芸の一つ「浪曲」とは、私にとって昔、田舎の祖父母の家のラジオからベベンッという三味線とともに野太い声で義理人情の世界が語られる、という旧態依然とした固定的なイメージ・・・。それが、この舞台で見事に覆される。その痛快さ~!!
彼の三味線は浪曲に合わせるだけではなく、それ以上にこの公演ではファンク、ロックンロール、ブルースそしてハーモニカを吹きながらのブルー・グラス・・・ピックで三味線を弾き、カポタストを使うというのも初めて見、聴いた!・・と次々に繰り出される。
こんなに三味線をライブで聴いたのって久しぶり・・・高橋竹山、竹与(今の竹山)の演奏を何度か聴いたけれど、実にそれ以来じゃないだろうか。エレキ・ギターで弾く津軽じょんから節を聴き、それに感心していたら、いや、これは三味線で聴いたらもっともっと凄いよ、とその弾いている本人に言われたことがきっかけで足を運んだのだった。
今回はその逆だなぁ~!なんてまたまた新たな三味線の魅力に参ってしまった。ギターと一緒に鳴る場面では、その音色の違いが急に際立って、それも面白かった。
あっという間に、魔法にかけられたように彼の話芸に引き込まれ会場は大盛り上がり!掛け声講座では、もう笑いっぱなしで、それでいて日本語の豊かさを改めて感じさせられ、と同時に自分の語彙の貧困について思い至りもしていたのだ。そして、彼の語りの声もだが、その声で歌われる歌がまた魅力に溢れ輝いている。浪曲師として鍛えられた、とでも言ったらよいのか、そんな簡単な言葉で一くくりにするのは、なんだかなぁ・・・という感じなのだが(ほんと、語彙が貧弱でスミマセン)、とにかく鍛えられた声を駆使しての歌は素晴らしい。地声があって、それを身体全部を使って縦横に自在に響かせ使う、とでも言ったらいいのだろうか。「ネズミの嫁入り」ではその中で一曲だけベル・カント風に歌われたものがあったのだが、それも、この話の中で使われるべくして選ばれた「声」の一つ、となっているのだ。
満足感と爽快感を抱きつつ会場を後にした帰り道で、気付いたら「うらしま~♪・・・(1オクターヴ高く)はっ、うらしま~♪」と調子よく歌っていた~