今年2020年が去っていこうとしている。
来年が(といっても明日から来年なのだけれど)せめて今年より落ち着いた年なりますように!
思い返してみると1月11日付、朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていた「古くて新しい仕事」の著者、夏葉社社長・島田潤一郎さんの記事を読んで出会った『古くてあたらしい仕事』で今年の本の旅というか心の旅が始まったのだった。
ここで島田潤一郎さんを知り、彼の出版社:夏葉社&岬書店の本を読むことで新しい本を知り、新しい著者の本へと誘われた。関口良雄、庄野潤三、上林暁、バーナード・マラマッド、・・・etc.etc.
何故、今まで知らなかったのだろう?と思うのだが、出会うための時間が必要だったのだろう。
今年11月に出版社:アルテスパブリッシングから出版された島田潤一郎さんの新しい本『父と子の絆』。
出版される直前にNHKラジオ第一の「高橋源一郎の飛ぶ教室」に島田さんがゲスト出演されたのを聞いた。
初めて聞く島田さんの声は柔らかくて自然で、彼の本をそのまま読んでいるような、聞いているようだった。
そこでも触れられていた『父と子の絆』
予約注文していたがその時点では未だ手元になかったので、ラジオでの会話を聞いて早く届かないかなあ、読みたいなあ、と思っていた。
首を長くして待っていたこの本、大事に大事に読んだ。
人生で初めて子どもを迎えた島田さんの子どもが中心になったそれまでとがらりと変わった生活の話、その中にあって折々に思ったこと。
子育て・・・遥か遠くになっていた気がしていたその季節がふいに目の前に立ち現れて、懐かしさとああ、そうそう、そんなこともあった!なんて思い出したり。
そして「生きる」ということ。それを立ち止まって改めて考えてみている自分がいた。
子育て中の人もそうでない人にも寄り添ってくれる、そんなあたたかな本だった。
島田潤一郎さんの本で始まり、彼の本で閉じられようとしている一年、大切な一年だった。
『父と子の絆』(アルテスパブリッシングの「父と子の絆」のHP、ためし読みもできます)
目の開いていないその子をじっと眺めた。
ようこそ。ようこそ。この世界へ。
「日曜日の昼に、生後七日目の赤ん坊がぼくの家にやってきた。
それから、人生がガラリと変わった」
──ひとり出版社・夏葉社を吉祥寺で営み、
『古くてあたらしい仕事』『本屋さんしか行きたいとこがない』などの
著作にもファンの多い島田潤一郎が、
幼きものに寄せるあたたかな眼差しと言葉たち。~アルテスパブリッシングHPより