新しく生まれ変わったヱヴァンゲリヲン新劇場版の第3弾、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観る。
前作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」から3年、満を持しての公開であったが、どうやらとんでもない作品になっているとの噂を知り、ブルーレイの発売を複雑な気持ちで待っていたが、やっぱり発売日に即購入してしまった。
TVシリーズから見ている者達にとっては、どんな出来であろうとも、ここまでくればもはやその行方を見届けることは義務だね(^^;)
碇シンジの覚醒により引き起こされた“ニアサードインパクトから14年、地上のあらゆるものは破壊され、あたりは赤く染まった地表と海が広がっていた。
衛星軌道上では、NERVによって封印された初号機を奪還するため、エヴァ改2号機に搭乗したアスカの姿があった・・・。
オープニングから観客は、なんと物語は前作のエンディングから14年を経過し、全く予想だにしない状態の中に突然放り込まれるシンジ君状態にさらされる。
噂には聞いていたが、あの前作の良くも悪くも明るかった楽しいヱヴァの世界はどこにもなく、「なにこれ?」を連発しながら、初見はとんでもないストレスを抱えたまま終了。
観終ったあとは、あの14年の間に何があったのかほとんど語られない不親切さと、監督のいくら自分の作品だからと言ってここまで自分勝手に設定を丸ごと変えていいのか、という憤りしかなかった。
そしてせっかく買ったんだからともう一回見てみると・・・、これがねえ~、意外に面白かった。
いまだに分からないこともたくさん残っているが、2回目ともなると頭がそれなりに整理されて見てるので、余分なストレスを感じず、集中して観て初めて気が付くところがたくさんあった。
ストーリーの流れもそれなりに(まあ最初に比べたらって程度だけど・・・)わかり、動きが激しすぎてよくわからなったアクションシーンもよく見ると凄いことになっているのが確認できた。
ディテールにとことんこだわった精密さに、CGを融合させた素晴らしいアニメーションは観る者を釘付けにし、目まぐるしくその視点を縦横に走らせるカメラワークと併せ、最高の技術を見せていた。
そしてストーリーは容赦なく突き放すカオスな世界こそがヱヴァと言わんばかりに暴走し、ただただ呆然とする。
やっぱりこっちに舵を切りましたか、庵野監督。
ファンの間では賛否両論らしいが、私はやっぱり前作のキャラクターが生き生きと躍動するヱヴァの方が好きだなあ。
ただ戸惑うばかりのシンジに、プリプリ当たり散らすばかりのアスカ。
そして満を持して登場した渚カヲルの中途半端な存在に、もはやでくの坊になってしまった綾波レイ。
あとはほとんど個性を感じさせないその他の登場人物たち。
この薄っぺらいそれぞれのキャラクターたちの描写は、まったく魅力を感じさせず、「なんか、もうどうなってもいいかな」、なんて気分にさせる。
とりあえず次回作のエンディングに向けて、観客の頭をシャッフルしたかっただけのような作品になってしまったのは残念だなあ。
最後に、前の劇場版のエンディングのような、不快指数MAXなラストは勘弁してほしいねえ(^^;)