2023年1月23日(月)、部屋の片付けをしていると、さっちゃんの山日記が見つかりました。1988年のおよそ半年分です。さっちゃんが山行記録をメモ程度に書き残していたり、日記のように書いていたことがあることは知っていましたが、こうやって改めて見つかりましたから、元気だったころのさっちゃんを知ってもらうためにも、公開しようと思います。(青字は僕の書き加えた文章です。人名等は書き替えています)
1988年4月3日(日) つづら岩 会山行 晴れ
2月21日の膝の捻挫はまだ完治(当分かかるだろう)していないが、会山行には支障がないまでに回復し、ホッとした。
参加者も毎度の顔ぶれであり、主催者側の甘えは許されないが、ザイル1本持つことだけは許してもらう。O原氏(僕のお師匠さん。弟子の邪魔になると思うのか僕の主催会山行には参加しないのが通例)どういう訳か参加。しかし、人数も多いことだし、お目付け役として助かる。
天気も上々だし、それなりのメニューをこなす。終盤には5級クラスを短いがトップロープで遊ぶ。みな熱心で、なかなか空かない。足の痛いのを理由に見学としたが、登りたい気持ちは胸いっぱい。仕方がないが、我慢するのも辛いものであった。
まあ、何事もなく終了してよかった。
立川発7:08 五日市行
五日市~千足 タクシー 2470円 @500円
千足~五日市 バス 380円
千足8:10ー不動ノ滝8:45~8:55ーつづら岩東面9:30
トレーニング 9:50~15:20
下山 15:45-千足バス停 16:55
千足発 17:04
休日バスダイヤ 千足発 17:04 19:31 20:31
経費 5200円
以下、会の月報報告ですが、U野K子さんの文章です。日記に貼り付けてありました。
運痴に明日はない? つづら岩 岩・沢初級
なぜ? こんななんでもない所が登れないのだろう。恐くないのに立てない。立ちたい。立つのだと心が言っても、私の体が ‟よし” と言わない。何度も挑戦してみるけれど、やっぱり立てない。私は岩に向いていないんだ、運痴でバランスが悪くて、根性がなくて、岩登りなんて嫌い、もう止めた。でもどうして登れないのだろう。 ‟えい” フワッと体が浮く、やっぱり落ちたらしい。
つづら岩までの一時間の急登に、しっかり汗をかいてあとはのんびり見物させてもらおうとなまけものの心で参加した。久し振りの会山行。他の参加者の充実した気力が伝わってくる。皆引き締まってたくましく見える。岩の基部に着くと、休む間もなく、リーダーから今日のメニューの指示が次々と出る。そして率先してザイルを固定してくれている。逡巡している私は、何だ? 「どこを登らせてくれるのだろう、今日はしっかり練習するぞ」と思ってしまった。
明日はペンが持てるかな? 腕がパンパンになっている。今度来た時は、あそことあそこを登ろうと性懲りもなく思い、確保の仕方、ザイルの流れにも、おさおさおこたるまいぞと心に思う。しかし、今度は無い。今を根性入れてやるしかないはずなのです。 (U野K子)
(参加者)L○○(僕の姓)・SLさっちゃん・A立・U野・O原・K澄・K島・M田・Y井(計10名)
(コースタイム)千足8:10-不動の滝8:45~8:55-つづら岩東面9:30-トレーニング開始9:50-終了15:20-下山開始15:45-千足バス停16:55-五日市駅行バス17:04
以下の文章も月報ですが、僕が書いたものです。
☆今日のメニュー(ノルマ?)
・東面(Ⅲ)トップロープ ・マッターホルン右リッジ(Ⅲ)トップロープ
・南面一般ルート(1PⅢ、2PⅣ、3PⅢ)フォロウ
・マッターホルン右リッジ(Ⅲ)リード&フォロウ 以上
☆今日のサブメニュー
・東面(Ⅳ+)トップロープ ・南面左ルート下部(Ⅳ+)トップロープ
・オケラルート(1PⅢ+、2PⅡ+)
・南面左下フェース(Ⅴ~Ⅵ)
☆今日のオーダー
★南面一般ルート
◎トップさっちゃん、フォロウM田・A立
◎トップ○○(僕の姓)、フォロウA部・K島
◎トップ○○(僕の姓)、フォロウK澄・U野
★オケラルート
◎トップM田、フォロウK島・U野
☆今日のお手伝いさん
・O原(一本も攀らず)
・Y井(一本だけ攀る) ご苦労様でした。
※岩登りの練習の総仕上げにと、やりたいことはあまりにも多い。常に黙々と手伝って下さるM田さんにまたまたすがるしかないかと思っていた矢先、会の先輩方の思いやりに恵まれて、O原さんの突然の参加。有難いことである。Y井さんには申し込まれた時点から確保のみをお願いして、それでも参加して下さった。一昨年、我々L、SLコンビが初めての会山行をつづら岩西面でもった時、参加者に一日2~3本しか攀ってもらえなかったことを思うと、今日は延10本近く攀ってもらえて、その相違にただ驚くばかり。これもスタッフとして若輩Lの指示に快く従って手伝って下さる方々の協力と、初級者とはいえ、いつも熱心に参加して、ある程度は安心して見ていられるようになったことが理由にあげられるだろう。
今回、一般ルートを3ピッチに区切って登ってもらって、ザイルワークの大切さに気付いてもらえたと思う。本番では、ザイルワークの不手際が思わぬ時間のロスを生み、事故の原因になる場合もある。手際の悪いザイルワークはリズミカルな登攀を生まず、パートナー間の信頼感をそぎ落とす。
さあ ――― 緑燃ゆる山に入ろう!
同じ頂に至るなら、より自然濃く、潤い満ちた沢を登路に! (L)
2023.04.28 追記
僕が当時所属していた山岳会は大人数の山岳会で、ハイキング主体でした。でも、少数ではありますが、沢登りをする人たちもいて、そのための岩登りトレーニングも行なっていました。僕のお師匠さんのO原さんとO庭さんは会の中では唯一のアルパインクライマーで、僕を一ノ倉沢、幽ノ沢、滝谷などの岩登り本番や冬季の赤岳やGWの岳沢の岩稜登攀やアイスクライミングに連れて行ってくれました。
僕を会のリーダーに推薦したのもO原さんです。SLをさっちゃんかM田さんのどちらにするか、選ばなければならなかったのですが、沢登りの総合力ではM田さんが上だったものの、登攀能力に優れていたさっちゃんを僕は選びました。
1986年春に、リーダーとサブリーダーという立場でザイルを組むようになり、一緒に沢へ岩へ行くことが多くなりましたから、お互いをより知るようになったのです。好意も自然と芽生え始めました。