さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

さっちゃんは僕のことをどこか他所の知らない人と思ったのか、とても邪険に扱います

2021-05-09 23:57:12 | 幻影? 妄想?
今日は日曜日で、本来なら7時半には起床したいところですが、相変わらずの僕の悪い癖で、前の晩3時まで起きていました。
その結果、僕が起床したのは10時前のこと。
自分の朝食を済ませ、11時ころ、さっちゃんが起き出して来ました。
とりあえず、トイレに連れて行ってみます。

パッドには短くて細い便が1本付いていました。
さっちゃんはおしっこもして、僕はトレぺで拭こうとします。
さっちゃんは酷く抵抗して、僕に拭かせてはくれません。
でもまあ、この程度のことはよくあること。
さっちゃんは僕の手を掴んで拭かせまいとしますが、僕だってさっちゃんの腕を掴んで抵抗を阻止します。
そして、さっちゃんの両手の自由を奪った瞬間に、トレぺで拭きます。
そんなことを数回繰り返せば、僕の拭く作業は無事終了できます。

ところが、今日のさっちゃんは何となく様子が違います。
僕の顔を手の平で叩きますが、こんなこともよくあること。
何かが違う感じがするんです。
さっちゃんが僕を睨みつけるその眼が冷たいのも、いつものこと。

すぐに何が違うのか少しだけ分かりました。
さっちゃんが大きな声で「おかあさ~ん!」みたいに聞こえる声で叫ぶんです。
さっちゃんはずいぶん前から自分の母親がすでに亡くなっていることが分からなくなっていました。
さっちゃんは母親に助けを求めたんでしょうね。

その後、違う感じの理由がはっきりと分かりました。
さっちゃんを寝室へ連れて行くと、さっちゃんが僕を寝室から追い出そうとします。
その時のさっちゃんの喋りぶり、僕を見る視線の雰囲気、僕は気付かされてしまいました。
さっちゃんは僕のことが誰だか分からなくなっているようなんです。
もちろん、夫だということなんか随分以前から分からなくなってはいますが、それでも身近な人だとは感じてくれていました。
誰だか分からないだけではなく、他所の人が家に紛れ込んで、排除しなければならない人間のように認識しているのでしょう。

こんな風に感じたのは初めてです。
僕は淋しいやら、怖いやら、ちょっと複雑な感情になりました。
さっちゃんを寝室に残して、追い出された僕は寝室との戸を閉めます。
さっちゃんも布団の中に入ったんでしょう。
しばらくは出て来ませんでした。

今日のさっちゃんはこれからどうなるんだろう?
僕の心配は膨らみます。
さっちゃんは僕の食事介助で食べてくれるんだろうか?
僕を見るたびに、不審な視線を投げかけ、僕を追い出そうとするんじゃないだろうか。

1時くらいになって、さっちゃんが出て来ました。
さっちゃんの僕に対する態度は、ほぼ普段通りに戻っていました。
機嫌は良い日ではありませんし、普段通りと言ってもやっぱりどこかがギクシャクしている感じがします。
でも、朝食(昼食?)はしっかり食べてくれました。
僕の食事介助を受け入れてくれたことに僕はホッとしています。

陽が陰って、少しは涼しさも感じられるようになった夕方の6時前から散歩にも出かけました。
昨日のようなことは欠片もありませんでしたが、僕と一緒に歩くことを嫌がりもせず、いつもと同じように散歩できました。


▲18:25。ベランダから綺麗な夕焼けが見えました。さっちゃんも呼んで一緒に見たんですが、さっちゃんは全然関心がないみたいでした。

晩ご飯は今晩もほとんど食べてくれませんでした。
軟らかな玉子かけご飯や冷奴やたまごサラダなどもほとんど食べてくれません。
心配です。
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さっちゃんはいったい誰に会いたくて、どこへ行きたいのでしょう? 僕にはまったく分かりません!

2020-02-02 23:05:46 | 幻影? 妄想?
一昨日、金曜日の夜のこと。
夕食後の8時台のいつごろからだったか、さっちゃんがしきりに訴え始めました。
「誰それのところへ行かねば」「どこそこへ行かねば」
何故か家中をうろうろと歩き回り始めました
僕にも、「あなたも一緒に来なさい」「これから行くよ」などと命令口調で言います。
もちろん、明瞭にこのように語っているかどうかは不明なのですが、そのように聞き取れます。

僕は「いったい誰に会うの?」「その人はどこにいるの?」と聞くんですが、返事はありません。
「もう夜で外は真っ暗だし、すごく寒いよ」
「誰に会いに、どこへ行くのかも分からないのに、僕は一緒になんて行かないからね」

などと、さっちゃんに冷たく言い放ちます。

さっちゃんの口調はだんだん涙ぐんでるような哀調を帯びたものに変わって来て、
僕の返答もさっちゃんに負けじと、冷静な冷淡に聞こえるような口調になってしまいます。
さっちゃんは僕の体を押したり、手を引っ張ったりして、一緒に連れ出そうとします。
この日は今年初めて冬型の気圧配置になった日で、北風も強く、気温も低くて本当に寒い日でした。
部屋着のまま外に出したら、寒さに懲りて出掛けようとは思わなくなるだろう、そんなことを考えたりもしました。
でも、それはあまりにも可哀想。
もうしばらく待てば、さっちゃんも気分が変わって布団の中にもぐり込んで静かになるだろう。
そんな風に思っていましたが、30分経っても、小1時間経っても変わりません、むしろ激しくなっていくようです。

こうなると、さっちゃんのやりたいようにやらせるしかありません。
さっちゃんにジャンパーを着せ、部屋のズボンの上から外出用のズボンも重ねて着せ、さらに大きなダウンのチョッキのようなのを着せました。
毛糸の帽子に、手袋も着せて、万全の防寒対策を施しました。

そうやって、一緒に外へ出ました。
「僕は知らないんだからね。さっちゃんが行くところへ付いて行くだけだからね」と、念押ししておきます。
さっちゃんは誰に会えばいいのか、どこへ行けばいいのかなど全然分かってはいません。
本人もそれは分かってるようで外の道路に立って、「どっちだろう?」と、いきなり悩んでいます。
僕たちの住んでいる棟を反時計回りに歩き始めました。
9時15分でした。

時々悩みながら、さっちゃんは進んで行きます。
僕はさっちゃんの2、3m後ろから付いて行きます。
団地の別の棟の駐輪場の中を抜けたり、団地の公園を通ったりしながら、ただただ進んで行きます。

団地の周囲の道路に出た時、さっちゃんがどちらへ進もうか迷ってる風な時でした。
左方向から自転車が近づいて来ました。
さっちゃん、その自転車の人に何やら話しかけました。
その自転車の人はさっちゃんとは数メートルほど離れていたにもかかわらず、
さっちゃんのさほど大きくない呼びかけの声に心を留めて、停まってくれました。

その自転車の人は中学生か高校生の女子でした。
素直で優しそうな、伸びやかな体つきの女の子。
さっちゃんは停まってくれた彼女の方に歩み寄って、何やら話しかけています。
その女の子は少し困った表情を浮かべながらも真面目に耳を傾けて聞いて、理解しようとしてくれています。
僕はそんな彼女に「認知症なんですよ」と告げます。
それでも変わらず真面目に耳を傾け続けてくれました。
長くなると本当にこんな夜に申し訳ありませんから、「もう遅いですから、お帰りになってくださいね」と言いました。
それでも彼女は耳を傾け続けてくれます。
「本当にもうこれくらいで」と、僕は急かすように彼女に言います。
やっと自転車でこの場を離れる気になってくれた彼女に、別れ際こんな風にお礼の言葉を伝えました。
「話しを聞いてくださって有難う」

思わぬ心温まる体験も出来ました。
そのせいという訳ではないでしょうが、さっちゃんも家へ戻る気分になってくれたようです。
家へ戻ると、その後のさっちゃんは穏やかでした。
9時40分。
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うたた寝から目覚めると、さっちゃんが「家に帰る」と準備してました

2019-04-25 10:15:26 | 幻影? 妄想?
さっちゃんはいつも帰宅するたびに「他の人はまだ帰ってないの?」とよく聞きます。
さっちゃんと僕以外にも同居家族がいるはずと思っているのです。

同様によく「家へ帰る」とも言います。
自分が帰るべき家がどこかにあるはずと思ってるようです。

それらは幼いころの記憶なんでしょうか?
母親との記憶がそう思わせてるんでしょうか?

「さっちゃんと僕と二人だけだよ。僕と二人だけじゃあ嫌なの?」
「さっちゃんの家はここだよ」と、僕は繰り返し言います。
僕と離れたくない気持ちは強いみたいですが、
他にも家族がいるような、本当の家がどこかにあるような気分は消えないみたいですね。

   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

昨日は言語リハビリの日。
僕は何故か毎回とても疲れて帰って来ます。
帰宅して、お昼ご飯を済ませると、僕は布団の上で横になりました。
さっちゃんはそうしなかったみたいです。

僕はちょっとうたた寝したようです。
あまり時間は経っていませんが、目覚めると、さっちゃんの様子が変。
先ほどの服装の上から、毛糸のチョッキを着ています。
裸足だったのに靴下もはいています。
ズボンも別のを穿いています。
そして、ザックを背負ってます。

僕は反射的に玄関へ向かって、とりあえずチェーンをかけました。
最近のさっちゃんではチェーンを外せないはずだからです。
さっちゃん「家へ帰る」と言います。
ブツブツと内容は分かりませんが、
ここにいても仕方ないから自分の家に帰るんだ、とか言ってるんでしょうか?
玄関へ向かって、靴を履こうとしています。
僕も玄関へ行き、「僕と一緒にいて」と言いました。
こんな時、どう言えばいいんでしょうね?

反抗するかもとも思いましたが、素直に戻って来てくれました。
「さっちゃんも一緒に寝よう」と、布団の中に導いて、二人で横になりました。

そして、再び目覚めたのは夕方の6時過ぎ。
あまりお腹も空いていなかったので、
夕食は冷凍グラタンと昨晩の残りのお味噌汁とポテトチップス。
一昨日買った箱ワインも少しだけ飲みました。

さっちゃんは2、3時間前に起きた出来事なんてすっかり忘れています。
普段通りのさっちゃんです。

寝る前には今年初めてシャワーだけでの入浴をしてみました。
先に寝たさっちゃんはこの日の晩も3度も4度も起きて来て、僕に早く寝るよう促すんです。
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涙をにじませながら 「わたし、行ったことがあるのよ」

2017-10-29 14:12:08 | 幻影? 妄想?
録画していたテレビ番組で東日本大震災のことを扱ってました。
そして、岩手県大槌町の『風の電話』のことも出て来ました。

さっちゃんはそんな番組を観ながら、泣きそうになってます。
すぐに登場人物たちと同じ気持ちになってしまうんですね。

『風の電話』が出てくると、
「わたし、行ったことがあるのよ」と言います。

僕は内心、「そんなはずはないけどな」と思います。
でも、さっちゃんのそんな共感力は嫌いではありません。
認知症はさっちゃんに以前より増してそんな力を伸ばしてくれたようです。

だから、否定はせずに認めてあげたいです。
ただ、「僕は行ったことがなんだよ」とだけは言いました。
さっちゃんは「私は何度も行ったんだよ」との返事。
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私も行ってたのよ

2017-09-10 19:53:14 | 幻影? 妄想?
思い入れや共感が強くなったからだと思うのですが・・・・

さっちゃんはテレビを観ながら、自分も同様の体験をしたと感じるようなのです。
東日本大震災の原子力発電所のそばで妻とともに津波に流され、自分だけ助かったご主人。
翌日には原発事故により、妻を探すことも出来ずにそこから離れなければならなくなった。

そんな番組を観ながら、さっちゃんは
「私もそこへ行ってたのよ」
「私もびっくりしてね、急いで上の方へ行ったのよ」
「私はひとりだったんだけど、上の方に行った方がいいと思ってね」

などと、しんみりと語ります。

心だけ共感するのじゃなくて、場所や体験すらも同じほどにテレビの中の人と心がひとつになったんだと思います。
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わたし、ひとりで行ったのかな~ぁ?

2017-09-08 11:46:11 | 幻影? 妄想?
さっちゃんも僕もNHKの『猫のしっぽ、カエルの手』という番組が好きです。
ずいぶん前の再放送なのですが、録画して観ています。
京都の大原の古民家に住むベニシアさんの自然に近い暮らしぶりを紹介する番組です。
最初はベニシアさんが山岳写真家の梶山正氏の奥様だという興味から見始めたのですが、
今では番組自体が好きで観ていますね。

今朝もその番組を観ながら、さっちゃんが「ここ行ったよね~ぇ」って言います。
「うん、大原には行ったよ」と僕。
でも、大原ではなくて、ベニシアさんの家へ行ったことがあるということのようです。
「家へは行ったことはないよ」と僕が付け加えると、
「そうかなぁ? わたし、ひとりで行ったのかな~ぁ?」
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あなたしかいないの?

2017-08-28 23:37:35 | 幻影? 妄想?
途中、岩国や京都で泊まって、24日の夜に帰宅しました。
17日ぶりの帰宅です。

さっちゃんは最寄りの駅や自宅のことを少し忘れていたようでしたけれど、だんだんと思い出して、馴染んで来つつあるようです。
でも、24日の晩には「他の人は?」「まだ他にいるよねぇ?」と。
そして今日も、「あなたの他にいる人は?」「あなたしかいないの?」と。
どうも不思議に感じているようです。
「どんな人がいるの?」と聞いても、
「普通の人」としか答えてくれません。

普通の人でも構いませんが、
でき得れば、楽しい人だったり、元気な人だったりした方がいいな、と個人的には希望しますよ。
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「わたし来たことある」と、さっちゃんは言います

2017-08-07 20:34:01 | 幻影? 妄想?
この夏の青春18きっぷの旅、初日は岐阜市泊まりです。


▲岐阜駅前の広場です。さっちゃんは「ここは2度目だ」と言いました。
「へぇ~っ、僕は初めてだけど」と言うと、
「じゃあ、誰と来たんだろう?」と不思議そう。僕はさっちゃんも初めてだと思うんですけど。


▲ホテルのすぐ近くの食事処に入りました。出来上がって並んでいるおかずのお皿を自由に取って、その皿の種類と枚数で値段が決まるシステム。
さっちゃんはこのお店のことも「前にも来たよねぇ」と言います。
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「あなたの他に居ないの?」

2017-08-05 16:08:12 | 幻影? 妄想?
これまでも時々あったのですが、さっちゃんは我が家に自分と僕の他に誰かが一緒にいると思っているようなのです。
もちろん、いつもそう思っているわけではありません。

今朝は起きて顔を合わせたら、こんな風に言ってました。
「他の人たちは?」
えっ? 誰のこと?って、一瞬何を言ってるのか分かりません。
どうも、我が家に一緒にいる人のことのようだったので、
「誰も居ないよ」と答えました。
すると、あなたの他に居ないの?と、少し怪訝そうな表情。

さっちゃんの言葉の雰囲気からは、その同居人は悪い人でも怖そうな人でもなさそうなので、心配はなさそうです。
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