週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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日常を破壊する音

2011-01-17 01:15:27 | ひとりごと

今から16年前の朝。
6時過ぎに起きてテレビをつけると、明かり一つない暗闇の神戸の街が映ってた。

大きな地震があったことと、停電していること。
分かったのは、それだけ。
だから、いつものように朝ごはんを食べて、身支度を整えて、学校へ行った。

その暗闇の中に。
恐怖や不安、痛みや苦しみ、助けを求める声や家族を捜す声。
大切な人を失った嘆きや、迫りくる火を身動きができないまま見つめる絶望。
訳も分からないまま失われた命。

そういうものがあることに、気付くことなく、いつもと変わらぬ朝を過ごした。

私の日常を壊すことのなかった16年前の1月17日の火曜日の午前5時46分。
けど同じ時、多くの人の日常が壊されていた。

そして、20年前の1月17日の朝。
テレビをつけると、暗闇の中を閃光が走る映像が流れてた。

多国籍軍がイラクを空爆して、湾岸戦争が始まった朝だったけど。
私はいつものように朝ごはんを食べて、身支度を整えて、学校へ行った。

その闇の中にも、一人一人の悲鳴があったはずなのに。
多くの人のあるはずだった日常が壊されていたはずなのに。
私の日常が壊れることはなかった。

壊れなかった日常が有り難いものだと、壊された日常を見て思う。

そんなことを少しでも考えてしまった自分自身の有り様が、何よりこれは他人事なんだという意思の表れのようで、情けなく恥ずかしい。

世界中のそれぞれの場所で。
ひとりひとりの、それぞれの1月17日がある。

生きるということは、決して容易なことではないという現実を、突きつけられる日。

それが私の1月17日。