16/10/10 「満つる月の如し」澤田瞳子 2016-10-10 | 本・映画・能楽・美術館など 澤田瞳子さんの作品を読むと、今まで全く興味を持ったことがない世界が目の前に広がる。 仏師・定朝が平等院の阿弥陀如来像を作るに至るまでが描かれている。 されど頬は丸く、穏やかにーーそう、たとえれば満月の如く作らねばならぬ… この世に生きる者たちはみな、日々の暮らしに目を曇らせ、心を尖らせている。しかしそんな者たちの中にも間違いなく、御仏は隠れている。その事実を、見る者すべてに伝えねばなるまい。… …己のうちに深い慈悲を宿し、育んでいる人間すべての尊容なのだ。