「ピアノは夢をみる」
工藤直子 詩
あべ弘士 絵
偕成社
「のはらうた」の作者としてよく知られている詩人、工藤直子さんの詩集をご紹介します。題名のとおり、森からやってきたピアノが見た夢、という設定で書かれています。このモデルになっているピアノは、作者の自宅に実際にやってきた古い古いおじいさんのようなピアノだそうです。鍵盤の前にろうそくを灯すための燭台がついている、というほど古いピアノだそうで、ドイツのノイマン社製なので「ノイマンじいさん」と呼んでいるそうです。
この「ノイマンじいさん」の解説を読んで、あるピアノを思い出しました。10年以上前のことですが、本通りの近くにある浜松ピアノで、古いアップライトのフォルテピアノが展示されていました。ろうそくを灯すための燭台がついていて、大きくてがっしりしていて、まさにノイマンじいさんのようでした。「弾いてもいいですよ」と言っていただいたので、弾いてみたところ、現代のピアノとは全然違う音がして、姿形も音もひっくるめて、すごく魅力を感じたのを覚えています。
この詩集の中のノイマンじいさんは、きっとあの時のフォルテピアノのような音がしたに違いない、と思いながら味わいました。広島市の市立図書館でも借りることができます。
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