名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

SS4-4 ノーマル中飛車に45歩急戦(4)

2024-09-22 | 基本定跡の研究

45歩に55歩とするのが

一番実戦例が多いのではないかと思います。後手が誘ったのですから、一番さばけそうな手でしょう。先手はどちらで取るかですが、24歩同歩55歩

と指すのが自然に見えます。45歩37桂32金57銀左55角

56銀と守られる直前に後手は角をさばきます。55同角同飛66角51飛11角成33桂

香を取られても、左桂を跳ねるのは良い感じです。この辺りで先手が44歩54銀を入れるかどうかというのはあるのですが、入れないで12馬25桂同桂55角

桂を捨てて55角というのが好手です。でも56香の返し技があり、28角成51香成同金13桂成

この図がどうかなのですが、評価値は0近辺の互角です。そのうちに19香を取られるので駒の損得はほぼなく、攻め駒もそのうちに4対4になります。玉の堅さは何とも言えないのですが。9筋の突き合いがあったとしても端攻めは後手が飛香を持っているから受かるでしょう。ということで互角なのですが、先手としてはつまらないです。

戻って

24歩同歩55角とするのがメインの定跡です。

ここからどうなるかを考えていきましょう。後手の応手としては32金と54飛は後回しにして、55同飛同歩45歩から。

加藤先生は37桂を先にしているのですが、35歩と攻められたときに厄介なようです。正しくは77銀55角37桂

この図の評価値は+154の先手ペース。32金24飛23歩26飛

後手がおとなしく指すと評価値は+188、少し上がります。「序盤は飛よりも角」はあまり成立しない将棋格言で、飛を持っている方が良いことが多いです。

ちょっと戻って

AIの最善手は64角打ですが、構わず24飛32銀22歩

33桂21歩成57歩同金37角成同銀同角成

この図の評価値は+367の先手有利。じり貧を嫌って攻め合うと後手は悪くなります。

とりあえず今日はここまで。

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SS4-4 ノーマル中飛車に45歩急戦(3)

2024-09-21 | 基本定跡の研究

45歩の仕掛けに同歩24歩・・・は何とか先手良しだったので、32金の変化を考えます。

44歩同銀24歩同歩37桂

後手の金銀が重いので、先手は右桂を使えば有利になる可能性が高いです。42飛に25歩というのは

重い攻め方です。対抗型での飛先の継ぎ歩が好手になる場合は少ないのです。53銀が軽く、33角成同桂24歩22歩

加藤先生の解説では、43歩41飛16角12角

この図は攻めが続かないから失敗です。評価値は0近辺の互角ですが。

戻って

35歩44飛66角

55歩同角74飛・・・と進んで先手が思わしくないとあります(正しい)。

AIに聞くと、

35歩には同歩もあって、34歩45桂

桂交換は悪いから、23歩成同歩25桂とするのですが、64角27飛36歩

(33歩成には44飛なので) 33桂成37桂成42成桂同銀

26飛48成桂同金37歩成57金47歩

この図の評価値は-214の後手良しです。

ともかく先手が面白くないから、別の指し方を採用するという解説なのですが、ならば25歩 (継ぎ歩) が手筋だなどと教えないでよ、と思います。

ということでこの図からAIに聞くと、42飛には96歩94歩77銀

後手の指し方もいくつかありそうですが、35歩26飛45歩には79角

引き角にすればきれいな形です。43飛35歩42角86銀23飛57角

この図の評価値は+184、端攻めを見て先手が指せるようです。

さて最初に戻って

加藤先生は2筋の突き捨てを入れないで、44歩同銀37桂が良いと。42飛に46歩を打っておくのです。

控えの歩のほうが、対抗型で覚えておくべき手筋です。41飛57銀左64歩68金上

落ち着いた局面になると、評価値は+187に上がります。チャンスがあれば45歩を突きますし、後手が動いてきたら対応するのは簡単でしょう。

戻って

AIに聞くと、後手はすぐに53銀とするほうが良いようです。33角成同桂47金

後手は64銀~55歩と動くことができるので、この図の評価値は+112、互角です。

加藤説は修正が必要ですが、45歩に32金というのも、先手ペースで戦えます。

 

 

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SS4-4 ノーマル中飛車に45歩急戦(2)

2024-09-20 | 基本定跡の研究

後手が誘い、先手が応じた時だけこの形の45歩急戦になります。

45同歩33角成同桂24歩46角・・・は実は互角だったとわかりました。もうだれも指さないだろうけど、また一つ常識が覆ったのです。ならば45同歩に24歩はどうか。

24同歩は33角成同桂24飛で先手良し。だから88角成同玉24歩77角

先手は王手飛車を避けるために自陣角を打ちます。55歩24飛22歩23歩46角

27飛23歩同飛成32銀22竜19角成

この辺りの評価値は互角です。37桂56歩24歩

この辺りから後手に選択肢が増えてきます。全て調べることは難しいので、AIの第1候補を追いかけると、57歩成 (他に53香とか37馬とか) 同銀右53香23歩成

57香成同金37馬32と65桂21竜

この図の評価値は+150の先手ペースです。でももう少し進めると、(他の変化を選んだときでも) 先手有利になっていくのです。例えば36馬47歩77桂成同桂32金66桂

この図になると評価値は+438の先手有利。先手は少しくらい駒損になっても、攻め駒の数で優るので反撃が強力です。

この変化は先手が指しやすいのだろうと思われます。

 

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SS4-4 ノーマル中飛車に45歩急戦(1)

2024-09-19 | 基本定跡の研究

かなり限定された話なのですが、初手から76歩34歩26歩44歩48銀42銀56歩52飛68玉62玉78玉72玉58金右43銀25歩33角36歩82玉68銀72銀46歩

後手が32金と守れば45歩急戦は出現しません。それを54歩45歩

後手が攻めてこいと45歩を誘ったという図です。なぜかこの将棋が何局も指されていまして、加藤一二三先生の「プロの中飛車破り」という本 (他の加藤先生の本にも書いてあったはず) にも書かれています。私も子供のころに読みました。誰かの実戦集で見た覚えもあります。まず45同歩ですが、33角成同桂24歩46角

23歩成28角成33と

先手は踏み込んで2枚替えで良いと見ているわけです。(なお54歩ではなくて、英ちゃん流の64歩の形ならば54銀と逃げて後手良しです。) 32銀同と同飛53桂

51金左61桂成同金に、加藤先生は37桂を勧めていますが、46桂を打たれて難しいようです。単に44歩として

この図の評価値は+167の先手ペース。思っていたよりも難しいようです。

途中をAIで検討すると、

ここでは44銀と逃げるのが最善だと。43と29馬52と同金左

確かに後手が馬を作っているだけ、駒割りは互角です。玉の堅さも同程度、攻め駒は3対3、互角ですね。41飛53銀44歩42銀

53桂 (取れない) 71金15角12飛

なんともすごい応酬です。21飛成56馬57銀右55馬41桂成99馬

ここまで来ても、評価値は0近辺の互角です。

 

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SS4-3 ノーマル中飛車に棒銀(2)

2024-09-18 | 基本定跡の研究

古い定跡本には、38飛ではなく48飛としているものがありました。

後手の45歩に備えているわけですが、後で38飛とするので1手損することになります。まあ後手番で棒銀を採用したらどうなるか、と読み替えてください。63銀26銀72飛

ここは66銀から受けることも、66歩75歩同歩同飛77金と受けることもでき、互角です。35歩同歩38飛75歩と進めた場合は

後手の攻めが1手早いです。先手としては75同歩同飛77歩

とするのが最善のようです。この図の評価値は+43、少し先手側に振れています。以下は45歩35銀34歩同銀同銀同飛46歩36飛

47歩成同金25飛26歩45飛46銀42飛45歩

こんな進行です。44銀と打てるので、先手がちょっとわかりやすいか。

後手としては袖飛車を採用せず72金

両ツノ銀を完成させて待つのが有力です。35歩同歩38飛に45歩

この図の評価値は-18、互角なのですが、AIの推奨手順を勧めてみます。35銀88角成同玉42飛78玉75歩

この歩は取りにくいので、88角76歩11角成

34歩同銀同銀同飛33歩

37飛46歩21馬77銀

77同桂同歩成同金45桂

43歩同金36飛57桂成同金73桂

変化の一例でしかありませんが、ここまで来ると評価値は-254の後手良しです。桂香損ですが先手玉が薄く、攻めもまあまあ続きそうです。

ということで先手が棒銀でゆっくり攻める、あるいは先手中飛車に後手棒銀の場合は、堂々と迎え撃たれて居飛車が指しにくい、というのが結論です。1手の違いが大きかったのです。

 

 

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SS4-3 ノーマル中飛車に棒銀(1)

2024-09-17 | 基本定跡の研究

次は棒銀です。対三間飛車はもちろんとして、対四間飛車でもうまくいきませんでしたが、(私が調べる前の段階で) 対中飛車は有効だと思っています。

57銀左までの局面は

左46銀急戦と共通ですし、手順前後もほぼ大丈夫です。54歩68金上64歩37銀32金26銀45歩

先手が安易に銀を出ていくと、後手は32金から角交換で対応します。この図の評価値は-57、先手失敗の図です。

だからと言って46歩を突いてある (46歩74歩が入っている) 形でも、

評価値は-5、望ましくありません。

ですから正しい手順としては

54歩68金上64歩46歩

45歩急戦を見せて32金とさせ、37銀74歩38飛

先手はこの図の形を覚えておくことです。63銀に35歩同歩26銀

歩を突き捨ててから (後手が35歩を取らなければ34歩同銀36銀とできる) 銀を出るというのが手順です。72飛35銀75歩

後手も袖飛車にして玉頭をねらうというのが定番で、大山先生が得意にしていました。先手が苦しいとされている定跡書を見たことがあります。先手の受け方ですが、2手前72飛のところで66銀とする受け方、ここで75同歩同飛に77歩とする受け方、75同歩同飛に69玉とする受け方もあります。でも受け方としては75同歩同飛77金とするほうが少し優ります。この場合は34歩

34同銀は同銀同飛25飛でまずく、26銀に45歩

76歩77角成同玉73飛

この図の評価値は-52、駒得ですが銀を追い返されて玉が薄く、先手失敗の図です。

戻って

75同歩は不正解。34歩が最善です。22角に75歩同飛77金

76歩には86金~75歩で問題なく、73飛76歩72金24歩同歩同銀23歩35銀というくらいの図になって

この図の評価値は+178の先手ペース。86金~45歩同歩44歩52銀左37桂~45桂という攻め筋があります。74銀から攻められるのが怖いようでも、後手の攻め駒は2枚だけ。86金~66銀など、先手は金銀の力で受けることができます。

途中の変化として

先手の攻め筋としては、34歩と押さえないで45歩同歩44歩

この方が厳しいです。52銀左に34銀と進めば、後手は角を逃げにくい (44角45銀33角44銀など) のですが、76歩33銀成同桂の図は

評価値は-138の後手ペースです。駒得でも歩切れで、玉頭に傷があります。

また

52銀左に37桂76歩45桂51角とするのも

評価値は0近辺の互角です。43歩成には77歩成があるから簡単ではありません。

ということで

52銀左には75歩と手を戻すことになります。75同飛77金72飛76歩

この図の評価値は+47で、前に示した単に34歩と押さえる変化よりも劣ります。というのは53銀86金34歩同銀44角

後手は角をさばくことができるから。難しい図です。

先手番ならば、中飛車に棒銀は有効だとわかりました。

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第257回名南将棋大会(弐)結果速報

2024-09-16 | 名将会

本日は第257回名南将棋大会(弐)を開催しました。結果速報です。

F級優勝

八木正行さん

森巌さん

G級優勝

秋葉豊さん

H級優勝

中山賢さん

石田浩史さん

I級優勝

栗本謙仁さん

優勝された方々、おめでとうございます。

参加された皆様、ありがとうございました。

 

今日のトーナメント表の画像です。

過去12か月分の優勝記録です。

半分にして拡大します。

 

 

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SS4-2 ノーマル中飛車に左46銀急戦(3)

2024-09-16 | 基本定跡の研究

左46銀急戦には、先に飛を寄る形もあります。

32金35歩同歩46銀

45歩と迎え打たれ、33角成同金35銀34歩26銀44角

銀を追い返されては失敗で、この図の評価値は-914、すでに後手優勢に近いです。

戻って

45歩に35銀だと、88角成同玉55歩

この方がましですが、評価値は-183、後手良しでしょう。

もっと戻って

32金に35歩同歩同飛45歩66銀

この図の評価値は+102で最善だということになるのですが、この後の攻め方が見えません。左46銀戦法ではないですし。

他の攻め筋としては、いきなり35歩から攻める

ナナメ棒銀のような指し方もあります。35同歩46銀34銀38飛45歩

35銀同銀同飛44角

どこかで見たことがある手順です (対四間飛車ではうまくいっていた気がします) 。先手の飛の逃げ場所は39が最善で、99角成88銀

(後手としては38歩同飛49銀39飛58銀成同金を入れておくこともできたわけですが) 88同馬同玉42金34歩32歩

この図の評価値は-110の後手ペース。先手の駒得になるのですが、33歩成同歩31角34香という変化をAIが読んでいて

歩切れで香を持たれていたというのも大きいようです。先手としては攻めが成功しているとは言えません。

ということで左46銀戦法はここでも失敗、中飛車には相性が悪いようです。そういえば四間飛車にもうまくいっていませんでしたね。この急戦自体が優秀ではないということでしょうか。

 

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SS4-2 ノーマル中飛車に左46銀急戦(2)

2024-09-15 | 基本定跡の研究

昨日調べたように、後手は32金を42金と寄せるタイミングが難しいです。

37桂に42金ではなくて64歩16歩74歩

32金のまま待ってみます。先手は68金上51飛の交換を入れるかどうかはあるのですが、77角として、後手は42金と寄ってみましょう。

やはり35歩は成立し、53金26飛32飛

後手の受けは1手遅いのですが、先手に16歩や77角を指させています。34歩同銀36飛42角35歩43銀55歩

55同歩同銀54歩46銀65歩に、24歩同歩22歩

何回か出た順ですので覚えたでしょうか。22同飛34歩64金35銀55歩

これは先手の失敗で、中央を押さえられています。評価値は-194の後手良し。

途中の変化としては

34歩同銀36飛42角に45桂

ここは43金と受けて、33歩に12飛が最善です。

後手の角は42にあるので53桂成と捨てる筋は成立せず。先手は34飛同金32歩成を選ぶことになります。

32同飛は43銀なので、45歩42と46歩

この図の評価値は-120の後手ペース。先手の攻めは失敗です。

さらに先手にとって問題なのは、77角に73桂

26飛85桂88角45歩

これはかなりまずく、例えば33角成同桂45桂44角

この図の評価値は-520の後手有利。桂を跳ねられて角を追われると失敗します。

対応策としては79金と寄ってエルモ囲いのように組み替えるとかですが、ならば最初から左46銀ではなくて右46銀にすればいいではないか、思われます。

左46銀戦法は失敗で、原因は金銀2枚の後手美濃囲いよりも先手玉が薄いということにあります。

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SS4-2 ノーマル中飛車に左46銀急戦(1)

2024-09-14 | 基本定跡の研究

次は左銀を使う、左46銀急戦です。初手から76歩34歩26歩44歩48銀42銀56歩52飛68玉62玉78玉72玉58金右43銀25歩33角36歩82玉96歩94歩68銀72銀57銀左

手順前後は大丈夫で、これくらいの図になります。54歩46銀32金

後手は32飛と受けても悪くないのですが (四間飛車に左46銀も先手が苦しい感じでしたし) 、中飛車なので32金と備えるのがオーソドックスです。35歩の仕掛けには45歩33角成同桂57銀引35歩

これは先手の失敗です。評価値では-141の後手ペース。

戻って

ここでも37桂と跳ねることになるでしょう。42金16歩64歩68金上74歩77角

先手はここまで準備しないと26飛と指せません。53金26飛32飛

後手は53金32飛の最善形を作れます。先手の仕掛けは遅く、作戦失敗。この図の評価値はー46です。以下は右46銀の検討を参照してください。

では後手の53金を見て57銀引

45歩急戦に切り替えた場合は、63金46歩22飛

この図の評価値は-62、45歩からの急戦は失敗します。先手の作戦負けでしょう。

ということは左46銀は全くダメなのかといえば、

37桂42金には35歩

すぐに仕掛けることができるのです。35同歩同銀となれば、36歩には24歩、34歩にも24歩35歩23歩成15角16歩。この場合は48に右銀があるので、桂損になりかねない仕掛けでも十分に成立します。

なので後手は仕方なく53金26飛

これは先手が16歩を省略でき、早くも35歩を突けているのです。評価値は+118です。後手の最善陣形は1手遅れているので機能せず、32飛34歩同銀36飛42角35歩43銀55歩・・・これも右46銀の項目を参照してください。図だけ示すと

5筋で1歩交換して24歩同歩22歩

22同飛に34歩32飛35銀。これで46歩~45歩を見て、先手良しです。

 

 

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