ネットで見た話でソースも不確かなのだけれど、イギリスではシングル曲購入に於ける方法にCDを選択しているケースは5%程度なのだそうだ。ほとんどの人がネット配信を利用してシングル曲を購入している。
以前から欧米ではCDはアルバムありきという傾向があって、シングルとはアルバムの中身を宣伝するための名刺みたいな存在となっている。日本でも近年、アーティストと呼ばれるような歌手を本業として活動をしている人はそういう傾向になりつつあって、そういうアーティストと呼ばれる人達のシングルCDは売れなくなってきている。
アーティストに代わって日本のシングルヒットチャートを賑わしているのは、アイドルとアニメソングである。昨年の年間売上ランキングを見ても上位はジャニーズ(主に嵐)とAKB48ばかりだ。我が国の音楽の中心はアイドルソングになってしまったのだろうか?
ハロプロを応援し、ハロプロの音楽面(ダンスも含む)を支持し、世の中のアイドル音楽を愛するブログを作っていながら、こういう事を書くのもナンだけれど、アイドルソングばかりが売れる日本のシングルヒットチャートを悲しく、恥ずかしいとさえ思う。恥ずかしいというのはアイドル音楽を恥ずかしいと思っている訳ではなく、アイドルソングがこうして上位に来てしまう状況とその仕組みがである。
日本も少しずつシングルCDというツールが過去の物となりつつある中で、アイドルというジャンルはシングルCDがまだメインストリームなツールでいられるのは、アイドルファンにとってシングルCDも一種のコレクターズアイテムであるからで、私自身も好きなアイドルのシングルCDはコンプリートしようと躍起になるタイプである。
そう、グッズを集めるのと同じように、シングルCDを発売の度に購入するのはアイドルファンとしてはごく自然な行為、これは女性アイドルも男性アイドルも同じ、好きなアイドルのCDが発売されたら必ず買うというファンがどれだけいるかのバロメーターがシングルCD売上なのだ。少し前までならそう言えた。しかし今はちょっと状況が変わってしまった。
今更解説するまでもなくアイドルファンならみんなわかっている事だけれど、今のアイドルCDの売上はファンの人数が数値化されたものではなく、イベントなどの付加価値の濃さを表すバロメーターに過ぎない。実際には何人のファンが買っているかなんて誰にもわからない。
作り手もそれを理解しながら、グループの構成人数を増やしていく傾向にある。握手会での相乗効果を上げるため、二桁人数のグループは珍しくなくなってきた。
人数が多ければパフォーマンス的にも揃える難しさは増し、個を売り出そうにも人数が多いからなかなか個を浸透させにくいというジレンマに陥っている。
売上と人気は必ずしもイコールではなくなり、売上枚数順にアイドルを並べてもそれが人気順ではなくなってしまった。アイドリング!!!やぱすぽ☆が四万枚を初動で売ったからと言って、三万枚に届かないももいろクローバーやBerryz工房や℃-uteよりファンが多いかと言ったら、私は即座にNO!と答える。
しかし、それでも数字と、その数字が積み上げた結果という名の順位は記録として残り、その記録を看板にしてアイドルは売り込みを行なっていく。勢いありますよと見せるために。それを巧く利用してAKBはヲタではない人々に注目をさせて、波に乗りたい人達を取り込んだ。
そこまでは良かった。良かったのだけれど、もはやシングルヒットチャートは広告みたいなものになってしまった。よくある、雑誌に於ける特集という名のコマーシャルみたいなものだ。
シングルCDというツールが過去の物となってきた現在の、そんな弱体化した場所を巧みに利用していける者が勝利者になるという、なんともやりきれない現在がアイドル業界の今。アイドル音楽を愛する者として目を逸らせない状況がそこにある。そこに自分の好きなアイドルが果たして参戦していって欲しいのかさえも答えが出ないまま。