YGAというグループの事を知ったのは、2010年春にスタートしたアイドリング!!!との合同シリーズライブ「品はちライブ」がきっかけだった。吉本が作ったアイドルという存在は色々とイマジネーションを掻き立てられたけれど、実際に客席から目の当たりにした彼女達はあまりルーキー臭はなく、何かにとまどいながらも、アイドリング!!!の引き立て役を無心で務めているような痛々しさを感じた。
実際、客席のほとんどはアイドリング!!!を観に来たと思われる雰囲気で、そんな空気の中で彼女達は少し古めかしささえ感じるような歌謡曲テイストで構成されたアップテンポな持ち歌を歌い続けた。それらの多くはどこか前向きで攻撃的にさえ感じるナンバーで、そのノリに静かな意思を見た思いでライブを見終わった。
夏がやってきて「TIF」という一大イベントをフジテレビと吉本が中心になって開催出来たのも、春から始まったこの「品はちライブ」があったからこそで、吉本が関わる事によって他の大手芸能事務所も参加しやすい環境になったのだろう。
しかし、TIFでもYGAはさほど目立つ事もなく、秋以降も「品はちライブ」は大きな変化もなくスケジュールを消化していくのだった。
変化に乏しい「品はちライブ」から足が遠のいていった私だったが、数ヶ月が経過して年号も変わり、季節もいくつか過ぎて久々に訪れた会場で新鮮な衝撃を受ける事になる。
公演数を重ねる毎に少しずつファンが増えていたYGAは、それが自信に繋がったのだろうか、久しぶりに観た彼女達は以前よりも自信に満ちた表情をステージで見せていた。更に、曲が始まると明らかにスキルアップを感じさせるステージングを展開し、良くも悪くも変わらない事が味でもあるアイドリング!!!のステージを喰うような盛り上がりを見せた。
YGAは「品はちライブ」に於いて、ステージ上の主役を掴みとった。そんな印象を観る側に与えてくれたのだ。
それから年月は過ぎた。その間、メンバーチェンジが盛んに行われ、それが迷走に感じられた事もあってYGAのステージからは再び足が遠のいてしまった。
しかし、あの日見せてくれた「アイドリング!!!よりも良いステージを見せる」という心意気は、メジャー事務所内のマイナーな者達の意地を見たような思いだったのだ。彼女達の持ち歌に感じられるささやかな攻撃性は「負けない」気持ちの詰まった宝物であったのだろうと今は思う。
YGAは昨日解散となった。「品はちライブ」を重ねてきた会場はもうないけれど、お隣の品川ステラボールで解散ライブを行なったと聞き、最後まで「あの頃の想い」を胸に秘めながらマイクを置けたのだなと思えるのだ。
アイドルは芸能であり、人気は出来上がるものではなく作り上げるものであると、それなりには理解しているつもりだけれど、ステージを重ねる事で人気が上がる事を夢見た少女達のささやかな闘いは、尊い思い出として胸にしまっておきたい。
YGAの皆さん、YGAとしてステージに上がっていた皆さん、みなさんお疲れ様でした。また会う日まで。
YGA / ファイティングガール
(私がYGAの曲で一番最初に好きになり、今でも一番好きな曲です)