2000年の紅白歌合戦でモーニング娘。は「I WISH」を歌った。この年はグループ史上もっともCDが売れた年で、紅白に歌う曲にふさわしいヒット曲は世間のイメージするモーニング娘。らしさ溢れる楽しい曲調のナンバーかと思われたけれど、この年のシングルでもっとも売上が低く、お祭り的な曲調ではなく真面目なメッセージソングである「I WISH」を選んだのは意外な選曲であった。
その翌年くらいのあるインタビューで、メンバーの好きなモーニング娘。の曲は?という設問があった。メンバーに人気のあった曲は「I WISH」だった。メンバーも本音の部分では、歌いたい曲はこういう曲なのだなと妙に感心したものだったけれど、そこに未来の道は既に引かれていたという見方も出来るかもしれない。
「I WISH」は、辛い日もあるけれど、そういう日があるから幸せが訪れた時に喜びが溢れるのだという事を歌っていて、当時は人気絶頂だったモーニング娘。にとっては程遠い世界観の歌にも思えたけれど、彼女達の歩いてきた道は私達が知っている「テレビの中の世界」だけではないから、そういうものも含めて、つんくPは歌詞に思いを込めて書いたのだろうなと今は思う。そして、やがて訪れるモーニング娘。が歩く雨の道への心の準備でもあったのだとも思う。
I WISH モーニング娘。
http://www.youtube.com/watch?v=BmtxkfPjREk
同じ年の紅白歌合戦で、浜崎あゆみさんは「SEASONS」を歌った。浜崎さんもこの年に大ヒットを連発した歌手であり、モーニング娘。と同様に「時代の顔」であった。そんな浜崎さんは、この年に「絶望三部作」と題して大人の女性が過去を振り返って歌う曲をシングルで三作続けた。当時の女子高生に絶大な人気を誇っていた浜崎さんが、新たな方向性を探って展開した三部作である。
この三部作はセールス的にも成功し、ファン層の拡大にもつながったという話だけれど、紅白で歌われたこの「SEASONS」も、過去の幸せと今の不幸とを対比させ、でも明日は歩いていかなくてはいけない。その先には今日という日を笑いながら振り返ることが出来る明日が待っているかもしるない。そんな想いを歌っている。
浜崎さんもモーニング娘。がそうしたように、人気絶頂な時に「不本意な現在だけれど、いつか今を納得出来る未来が来る」と願う歌を歌っている。それを、一年の締めである大晦日に歌っている。両者ともに、定着しつつあったイメージからの新たな方向性を表現するための世界観として選んだもの(モーニング娘。は、つんくPが選んだものだけれど)が、同じ向きを向いていたという事実。今更ながら、その偶然に感嘆している。
でも、これはきっと偶然ではなくて、時代の流れが向かわせた必然だったのだとも今だから感じる。
SEASONS 浜崎あゆみ
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