とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

12 救 済

2015-02-16 00:16:33 | 日記
 さやかと花りん。その霊が浮遊する夜が続きました。私はそのしなやかな舞を楽しみにしていました。これが電信柱の醍醐味だと喜んでいたのでした。
 ところが、ある夜、その霊に突如雷の閃光が襲い掛かったのです。瞬時の出来事でした。


(手塚治虫「火の鳥」より)

 ところが辺りが昼のように明るくなって、次の瞬間、輝く大鳥が現れました。雷の閃光はその翼に反射して、空の彼方に飛び散りました。大鳥の両翼に抱かれ、娘の霊は無事にまた森に帰っていきました。




 「おい、おい、電信柱さん」

 私を呼ぶ声の方を見ると、なんと六地蔵が並んでいました。

 「あの地蔵さん ?」

 「そうだよ」

 「えっ、な、なんという・・・ !!」

 「ははっ、驚いたね。あの大鳥は摩訶不思議な力を持っている。雷のエネルギーを私にくれたよ。お陰で念願の六地像に生まれ変わることが出来た」

 「私にとって眩しすぎます」

 「いや、いや、じきに慣れる。・・・ははっ、これで、六道に通じる力を持つことが叶った」

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