宿善の助くるによって・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/89/265eeddf75cf56ba265a2d4913935412.jpg)
新緑の椋の木。地味な華が咲き、小さな実をつける。秋になると黒く熟して、鳥が食べたりする。食用で甘い実である。
園田が突然諏訪まで来てくれて、その後の出雲のことを話してくれました。
・・・私はそのままです、転生などしていません。先生は転生されてまたここで生きて行かれます。ああ、奥様ですか、ええ、ええ、お嬢様と一緒に暮らしておられます。ご縁劇場 ? ええ、ええ、あります、あります。出雲市はそのため人口が増えました。出雲大社の平成の大遷宮と時期が重なって、相乗効果と言いますか、連日ものすごい人出です。
園田、私はここの地の空き家にまた生まれてきたとか言うが、現実感が全くない。その証拠、地理的な知識がない。どこに何があるのか分からない。それから私の家はどこにあるのか、ないのか、・・・全く・・・。
それはご不自由ですね。どこへなりとお連れします。車などなくてもどこへでも・・・。
そうか、それはありがたい。じゃ、近くのお寺へ連れて行ってくれないか。
お寺 ?
そうだ、和尚と話したいことがある。
今まではお宮とご縁がありましたが、今度はお寺ですか。
いいじゃないか、無性に法話が聞きたくなった。
分かりました。では、すぐ近くに禅寺がありますので・・・。法外寺と言います。
ほうがい ? 法の外 ?
さすがお気づきのようですね。禅の真の教えは法の外にあると仰っているとか聞きます。
面白い。では、よろしく。・・・私はテレポーテーションのように瞬時にお寺に移動しました。
どちらから来られたかな、と和尚は白ひげをしごきながら尋ねました。
私は出雲から来ました。
ほほう、出雲から。過去世は出雲で・・・。
ところで座禅の経験は・・・。
いや、全く。
では、座禅から始めましょうか。
私は、ご法話を伺いたいのですが・・・。
話して分かるものではない。
そういうものですか。
修証義をご仏前でお唱えしましょう。そこから感じていただきましょう。そうしているうちに身内に力が漲り、ここでの貴方の働きの助けとなると思います。生きる方向も見えてきましょう。・・・では、お経本をお貸ししますから私につけてお読みください。・・・生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり、生死の中に仏あれば生死なし、但生死即ち涅槃と心得て、生死として厭ふべきもなく、涅槃として欣ふべきもなし、是時初めて生死を離るる分あり、唯一大事因縁と究尽すべし。人身 得ること難し、仏法値ふこと希なり、今我等宿善の助くるに依りて、 已に受け難き人身を受けたるのみに非らず遇ひ難き仏法に値ひ奉れり、 生死の中の善生、最勝の生なるべし、最勝の善身を徒らにして露命を無常の風に任すること勿れ。無常憑たの み難し、知らず露命いかなる道の草にか落ちん、身已に私に非ず、 命は光陰に移されて暫くも停め難し、紅顔いずこへか去りにし、尋ねんとするに蹤跡なし、熟つらつら観ずる所に往事の再び逢うべからざる多し、無常忽ちに到るときは国王大臣親昵従僕妻子珍宝たすくる無し、唯独り黄泉に趣くのみなり、己れに随い行くは只是れ善悪業等のみなり。
・・・方丈さん。
なんですか。途中で尋ねないでください。
・・・方丈さん、ここです、ここです。「今我等宿善の助くるに依りて、 已に受け難き人身を受けたるのみに非らず遇ひ難き仏法に値ひ奉れり。」・・・方丈さん、ここです。「宿善」とありますが、私もそういうお助けがあったのでしょうか。
ありましたから、貴方はここに・・・。勿論、お父上、お母上の「宿善」もあったと思います。
母の「宿善」・・・。
そうです、そうです。諏訪は尊い命の故里です。
えっ、そうですか。・・・それでは・・・、私は、ここでも・・・、ここでもしっかり生きます。
よかった、よかった。その言葉を待っていました。
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新緑の椋の木。地味な華が咲き、小さな実をつける。秋になると黒く熟して、鳥が食べたりする。食用で甘い実である。
園田が突然諏訪まで来てくれて、その後の出雲のことを話してくれました。
・・・私はそのままです、転生などしていません。先生は転生されてまたここで生きて行かれます。ああ、奥様ですか、ええ、ええ、お嬢様と一緒に暮らしておられます。ご縁劇場 ? ええ、ええ、あります、あります。出雲市はそのため人口が増えました。出雲大社の平成の大遷宮と時期が重なって、相乗効果と言いますか、連日ものすごい人出です。
園田、私はここの地の空き家にまた生まれてきたとか言うが、現実感が全くない。その証拠、地理的な知識がない。どこに何があるのか分からない。それから私の家はどこにあるのか、ないのか、・・・全く・・・。
それはご不自由ですね。どこへなりとお連れします。車などなくてもどこへでも・・・。
そうか、それはありがたい。じゃ、近くのお寺へ連れて行ってくれないか。
お寺 ?
そうだ、和尚と話したいことがある。
今まではお宮とご縁がありましたが、今度はお寺ですか。
いいじゃないか、無性に法話が聞きたくなった。
分かりました。では、すぐ近くに禅寺がありますので・・・。法外寺と言います。
ほうがい ? 法の外 ?
さすがお気づきのようですね。禅の真の教えは法の外にあると仰っているとか聞きます。
面白い。では、よろしく。・・・私はテレポーテーションのように瞬時にお寺に移動しました。
どちらから来られたかな、と和尚は白ひげをしごきながら尋ねました。
私は出雲から来ました。
ほほう、出雲から。過去世は出雲で・・・。
ところで座禅の経験は・・・。
いや、全く。
では、座禅から始めましょうか。
私は、ご法話を伺いたいのですが・・・。
話して分かるものではない。
そういうものですか。
修証義をご仏前でお唱えしましょう。そこから感じていただきましょう。そうしているうちに身内に力が漲り、ここでの貴方の働きの助けとなると思います。生きる方向も見えてきましょう。・・・では、お経本をお貸ししますから私につけてお読みください。・・・生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり、生死の中に仏あれば生死なし、但生死即ち涅槃と心得て、生死として厭ふべきもなく、涅槃として欣ふべきもなし、是時初めて生死を離るる分あり、唯一大事因縁と究尽すべし。人身 得ること難し、仏法値ふこと希なり、今我等宿善の助くるに依りて、 已に受け難き人身を受けたるのみに非らず遇ひ難き仏法に値ひ奉れり、 生死の中の善生、最勝の生なるべし、最勝の善身を徒らにして露命を無常の風に任すること勿れ。無常憑たの み難し、知らず露命いかなる道の草にか落ちん、身已に私に非ず、 命は光陰に移されて暫くも停め難し、紅顔いずこへか去りにし、尋ねんとするに蹤跡なし、熟つらつら観ずる所に往事の再び逢うべからざる多し、無常忽ちに到るときは国王大臣親昵従僕妻子珍宝たすくる無し、唯独り黄泉に趣くのみなり、己れに随い行くは只是れ善悪業等のみなり。
・・・方丈さん。
なんですか。途中で尋ねないでください。
・・・方丈さん、ここです、ここです。「今我等宿善の助くるに依りて、 已に受け難き人身を受けたるのみに非らず遇ひ難き仏法に値ひ奉れり。」・・・方丈さん、ここです。「宿善」とありますが、私もそういうお助けがあったのでしょうか。
ありましたから、貴方はここに・・・。勿論、お父上、お母上の「宿善」もあったと思います。
母の「宿善」・・・。
そうです、そうです。諏訪は尊い命の故里です。
えっ、そうですか。・・・それでは・・・、私は、ここでも・・・、ここでもしっかり生きます。
よかった、よかった。その言葉を待っていました。
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