2009年8月21日(金) 今日の目的地は山口県の平生町。 お気に入りのエリアの一つ、刎島周辺をのんびりと漕ぐ事にしよう。
海水浴シーズンは、『旅するシーカヤッカー』にとっては出艇場所に悩む時期。 海水浴の人が多く、また駐車場の問題などから海水浴場からシーカヤックを出す事は難しい場合が多く、また普段目的地にしている浜も、サメ避けや安全対策のために沖にネットが張られているため上陸できない場合もある。
そのため、島根半島に行ったり生名島に行ったりするのだが、今回は夏の定番の一つ、刎島を訪れることにした。

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下道を走り、10時過ぎにいつもの出艇場所に到着。 少し風があり、山の上に設置されている風力発電機の羽根は勢い良く回っているが、幸い南寄りの風。 ここは、西風が吹くと手がつけられないのだが、これなら問題なく出せそうだ。
まずは馬島に向かい、刎島との間を抜ける。 正面に、牛島と祝島が見える。 刎島の裏を抜けて佐合島へ。

再び刎島に戻り、いつもキャンプする浜に上陸した。

暑い。 シーカヤックを引き揚げるとTシャツを脱ぎ、海へドボン。 あー、気持ちイイ!
ここの海は透明で、泳いでいても気持ちが良い。 しばし、プライベートビーチ状態の夏の海を堪能する。

キャンプしたいところなのだが、大潮で満潮時の浜が狭く、また雷注意報が出ているので、今回は残念ながら日帰りツーリング。 次回はゆっくり訪れたいものだ。
再びシーカヤックに乗り込み、馬島の裏側を回って、1時半に出発地点へと戻ってきた。 約3時間ほどのお散歩ツーリング。
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道具を片付け、周防大島へ。
周防大島では、最近お気に入りのお店に行き、少し遅めのランチ。 メニューは日替わりだが、500円/ワンコインでおいしいランチが楽しめるのがこのお店。 今回は、+150円で食後のコーヒーもゆっくりと楽しんだ。 『ごちそうさまでした!』
4時過ぎに『星野哲郎記念館』へ。 その後は、これまたお決まりの『竜崎温泉』にゆっくりと浸かり、汗と潮を流す。

今日は、周防大島で久し振りの車中泊。 せっかくだから、外で食事をすることにしよう。
お店は、これまで何度か訪れた事のある『慶』 メニューを開くと、『のんた定食(平日のみ)』というのを見つけた。 店員さんに聞くと、3品の定食だとか。 『じゃあ、のんた定食をお願いします』

やってきた定食を見て驚いた。 刺身に、アジの塩焼きが2匹、タイの餡掛けも2匹。 たしかにメインは3品だが、そのうち2品は2匹ずつとは。。。
それに茶碗蒸し、漬け物、みそ汁、ご飯とボリュームたっぷり。 これで1100円! 安いなあ。
冷えた生ビールと、おいしい魚。 これまた絶品の茶碗蒸し。 あー、タマラんなあ。 来て良かった。
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翌朝。 クルマの中で目を覚ます。 今年は夜が涼しいので、この時期の車中泊でもなんとか寝ることができた。
空は曇り。 天気予報では、雷注意報が出ており、午前中は雨が降るかもしれないとの事。

車中泊した海岸付近を1時間ほどウオーキングした後、沖にある島へと続く防波堤で海を眺めていると、地元のおじいさんが歩いてこられた。 『おはようございます』と挨拶すると、『おはようございましたのんた』と返ってきた。
『この道は、昔はなかったんよ。 昔は、潮が引いたら向こうの島まで釣りに行きよった』 『そうなんですか。 いつ頃この防波堤ができたんですか?』
『そうじゃなあ。 わしがこっちに帰ってきたんが昭和35年ころじゃから、たしかその頃じゃなかったかの』 『この辺じゃあ、真珠の養殖をしよったらしいですね』 『ほうよ。 じゃけえこの防波堤の道を造る前は、竹を組んで並べて、向こうの島まで歩いて行けるようにしとったよ。 わしらも、前は釣りに行っても潮が満ちる前に帰らんといけんかったが、竹の橋ができてからは、いつでも帰られるようになったけえ便利じゃったよ。 その頃は、竹の橋に筵を敷いて、その上に座って釣りしよったなあ』
『この辺りは2回に分けて埋め立てられとるんじゃ』 『ええ、前に聞いたことがあります。 昔は下田神社のすぐ下が海じゃったそうですね』 『ほうよ。 最初は国道のとこまで。 その次はこの道の駅の方まで』
『この防波堤ができるまでは、このあたりはええ浜で、アサリがえっと採れよった。 あそこの集落の人らは、干潮になったら掘りに来て、えっと背中に背負って帰りよったもんよ』 『そんなにたくさん採れたんですか!』 『ほうよ』
『それとな、干潮の時には杖を突いて歩くんよ。 そしたら、所々でシャーッと潮が噴き上げる。 そこを掘って、大きな貝を獲りよったなあ。 あれは、なんちゅう貝じゃったろうか』
『昔はそがあに貝や魚が居ったんですねえ。 埋め立てたり、防波堤を造ったりしたら潮の流れが変わる言いますけん、そういう影響があるんでしょうね』 『そうじゃろう。 アサリの小さいのを撒いたりしよったが、それでも最近は育たんらしい。 それに昔は、この辺りでも浜のすぐ傍まで大きなチヌが寄りよったもんじゃが、最近は滅多に見んようになったよ』 『ほうですか。 さっき、ここの前にこれくらいのチヌは一匹だけ見かけました』
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その後しばらく話すと、おじいさんは帰っていかれた。 『いろいろ聞かせてもろうて、ありがとうございました!』
今日は、この辺りを漕ぐつもりだったのだが、空は次第に暗くなり、風も出て、小さい雨粒も落ち始めた。 ほんと、今年は安定した天気が長続きしない。
昨日は晴天の中、刎島付近を漕いで海水浴も楽しんだし、周防大島では温泉と食事を堪能して、短い時間ではあったが地元の方からこの辺りの昔のお話を伺うことができた。 満足満足。 さて、ゆっくり帰るとするか。