2009年8月23日(日) 今日は、今年3回目となるシーカヤック教室の日。 シーカヤックが結ぶ縁が切っ掛けで始めたこのシーカヤック教室も、今回で計5回目。
『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』をテーマとする、私のシーカヤックライフの重要な転機の一つとなった『第1次瀬戸内カヤック横断隊』に参加させていただいた一員としての意志を継ぐものとしての自覚を持ち(今思い返しても、第1次横断隊が私にとってはこれまでで最高の経験をさせてもらい、強烈な影響を受けた横断隊であった)、ボランティアとは言え安全確保がなによりも大事な私の役目ではあるが、毎回子供達の笑顔で逆に元気をもらっており、私自身がとても楽しみにしている活動である。
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昼食の後、手分けしてカヤックやパドル、ライフジャケットなどを運び、シーカヤック教室の準備をする。 今回は、先生二人と、小学校低学年の女の子3人、高学年の男の子2人、そして高校生が一人。 ほとんどの子達は、これまで参加してくれており、もう顔見知り。
『さあ、無理せずにみんなで運ぼう。 小さい子はパドル、先生達はカヤックを。 途中で疲れたら休みながらでいいからね』

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準備を終えると挨拶をして、フネとパドルを決めていく。 これは、私の大事な役目の一つである。
シングル艇とタンデム艇。 シングル艇でも、大きくて安定したカヤックや、練習用の小さめのカヤックもある。 年齢や体格、経験、そして本人の希望も聞いた上で、安全かつ楽しめるように割り振る事が必要だ。
『じゃあ、これに乗ろうか』 『先生が後ろに乗って、あと二人は前に乗ろうね。 それでいい?』 『こっちのパドルを使った方がいいですよ』 などなど。
一人の男の子がやってきて、『これ、使っていいんですか?』と聞いてきた。 彼が指差したのは、エルコヨーテのワークショップで自分で仕上げた『桧製のグリーンランドパドル』
私はニコリと笑い、『これ、前に気に入ってたよねえ! じゃけえ、あんたのために持ってきたんよ。 使いんさい!』 すると彼はうれしそうに『ハイ』と返事をしてグリーンランドパドルを手にした。 やっぱりこれが気に入ってたんだ。
前回も持参したのだが、彼は残念ながら参加していなかった。 もしやと思い、今回も持って来たのだが、やっぱ持って来て良かったなあ。
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今日参加された先生方は、私のシーカヤック教室は初めてだったので、まずは安全確保の基本であるライフジャケット/PFDの着の注意点についてお話しする。 実際に着けている状態を一人一人確認しつつ、サイズは合っているか、ベルトはしっかり締められているかなどを確認し、サイズが合っていない場合は交換していった。

『お待たせ! さあ、漕いでみようか!』
最初に、カヤックに慣れた高校生に海に出てもらい、漕ぎ出して行く子供達のケア/ワッチを頼む。 その後、カヤックを順番に海に下ろし、乗り方を教え、パドルを渡して沖に押し出す。 一艇一艇、これの繰り返し。
みんなが無事に出た後は、今日が初めてと言う先生方をメインに漕ぎ方の講習。 フォワードストローク、止まり方、曲がり方、その場での回転などなど。 『ようし、じゃああっちまで漕いでみよう』
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みんなの状態をしっかり確認しながら、それぞれのスキルと経験に合わせて楽しみながら漕いでもらう。 『パドルが左右逆になってるよー』 『そうそう、止まる時は後ろにブレーキを入れるんだ』 『海じゃあ、もう少し低めに構えて漕いだ方がいいよ』 『体は起こして。 そう、全力で漕ぐ時には少し前屈み気味でもいいよ』
しばらく漕いだ後、高校生の彼を呼び、『これ、乗ってみるか』と言うと、『はい、乗ってみます』との事。
一旦上陸し、私が乗っている『ニヤック』に彼を乗せ、彼が乗っていた『スペクトラム』には、シングル艇に乗ってみたいと言っていた先生に乗ってもらう。 そして私は、女の子を前に乗せた『キウィ2』に。
高校生の彼はニヤックを一漕ぎし、『こりゃあ速い。 少し漕いだら分かりますよ!』 『そうじゃろ。 同じカヤックでもぜんぜん違うんよ。 それにテントを積んだら、どこまでも行きとうなるじゃろう』 『はい。 ほんまにどこまでも行けそうです!』とうれしそうに応えてくれた。
そうそう、それが本物のシーカヤックの感覚。 乗ったらその自由さ、そして旅に出たくなる感覚がわかるじゃろう! それこそ、旅するシーカヤックなんだ。
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小さい女の子達は、『先生、泳ぎたい。 泳いでいい?』 『寒くないかー。 大丈夫なら泳いでいいよ!』というと、さっそくカヤックから降りて岸壁から海にドボーン! やっぱ元気だなあ。
みんなの状態を確認しながらの練習。 『おーい、疲れてないか?』と男の子に聞くと、『ええ、手が少し疲れただけです。 大丈夫です』との返事。 すると、Kiwi2の前に乗っていた女の子が、『疲れたら、○○先生に引っ張ってもらえばええんよ。 先生がロープを持っとるけえ』と、私を指差す。
そう、前回デモンストレーションした、トーイングロープでのレスキュー練習を、この女の子は覚えていてくれたのだ。 これは本当にうれしいなあ! シーカヤッカーとして必要な知識や経験を、少しずつでもこの子達に経験として伝えていけているんだ。

漕いで、泳いで、練習して、元気な子達と競漕して、楽しい1時間半はあっという間に過ぎていった。
『ようし、じゃあそろそろ3時。 今日は終わりにしよう』 『はーい』 最初と同じく、みんなで手分けして道具を片付ける。
最後に、『今日は楽しかったねえ。 お疲れさまでした』と挨拶すると、女の子達が『また遊ぼうね!』と声を掛けてくれた。 うれしいなあ、シーカヤック教室を楽しみにしてくれている子供達がいるんだ。
今日もやっぱり来て良かった! 気持ち良く、仕事が待つ月曜日が迎えられそうだ。 『みんな、ほんとうにありがとう!』