2010年4月24日(土) この週末は、お気に入りの上島町にある豊島へ、一泊二日の旅の予定。 上島町でのシーカヤックツーリングでは、いつも生名島のキャンプ場にお世話になっているのだが、今回はカヤック抜きでの旅。
せっかく旅に行くのだから、これまで行った事の無い場所&宿にしたいと思い、地図を眺め、ネットあれこれ探していたところ、豊島コミュニティセンターがうかんできた。
単なる直感だが、なんだかここが良さそうだという野生の感で、早速予約を入れておいたのである。
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朝、少し早めに家を出て、まずは尾道へと向かう。 前日の雨で空気は澄み、瀬戸内の海の景色を堪能しつつの快適なドライブ。 尾道でのお昼ご飯は、いつもの朱華園で中華そば。
因島では船の時間までたっぷり余裕があるので、お気に入りの展望台へと向かった。

今回の旅のお供は、ロードスター。 もちろんオープンドライブである。 そしてもう一つのお供は、二人分の荷物を詰めた、リモワ/RIMOWAのトランクケース。
一泊二日の二人分の荷物がピッタリ入り、ロードスターのトランクにも余裕で収まる、ちょうど良いサイズなのである。
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展望台に上がると、眼下にはいつも漕いでいる上島町のエリアが一望できる。 生名島、岩城島、鶴島、亀島、弓削島などなど。 旅派のシーカヤッカーなら垂涎ものと思われる、箱庭の様な多島美。
うーん、まさにこれぞ瀬戸内、これぞしまなみ。
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展望台から降りるとフェリーで弓削島に渡り、クルマを駐車場に停めて、船で豊島へ。

港で船を降りると、目の前には大きなクルーザー。 そしてその横にはシーカヤック。 なるほど、これがウワサの。。。

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当然ながら、私たちの宿は超高級の方ではないのだが、それでも港には、豊島コミュニティセンターの方が迎えに来ておられ、『どうぞ、このクルマに乗って下さい』と声を掛けていただいた。 なんと送迎付きである。 ありがたいことだ。
部屋に案内されると、そこはオーシャンビュー。 『今日は、他にお客さんはないので貸し切りですよ』との事。
なんとも贅沢な、そして最高のシチュエーション。 荷物を置くと、しばし散策。

展望台に上がり、港に降りてみる。 それこそ本当に何もないが、私たちにとってはこれ以上素晴らしい場所はない。

この瀬戸内らしい景色、澄んだ空気、そしてゆったりと流れる時間。 これ以上何が要る?
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夕方6時。 夕食前がちょうど日の入りの時刻となった。 食堂に向かう前に、ちょっと外に出て美しい夕日を眺める。 至福の一時。

食堂に行くと、宿の方が居られた。 『いやあ、夕日がきれいですね。 ほんと、この宿にして本当に良かったですよ』と言うと、『今日は本当にきれいですね。 こんなきれいな夕日、夕焼けは久し振りじゃないですかね』との事。
昨日雨が降ったから空気が澄んで、景色を眺めるにはちょうど良かったのだろう。

『でもね、こんな夕日もいいですけど、風が吹いて荒れたら荒れたで、目の前の海が一面白波で覆われて、それはそれでスゴい眺めなんです』 『なるほど。 春夏秋冬、この海は様々な顔を見せてくれて、それぞれが別の意味で魅力的なんでしょうね』
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食卓に付くと、ズラリと料理が並んでいる。 これはスゴいなあ。 まずはビールで乾杯。

目の前には、たっぷりの刺し盛り。 妻の好きなサザエも一人一個付いている。
しばらくすると、刺し盛りとは別に、烏賊刺しが運ばれて来た。 『今日は、良いイカが有ったんで、追加しときました』 『え、ありがとうございます』

『あとね、アコウがあったんで、煮付けにしました』 『アコウ! 幻の魚と言われているアコウですか。 食べた事ないんですよね。 うれしいなあ』 『いやあ、ほんと、タイミングが良いですよ。 今日はなんだか、いろいろと準備しておかないとって、朝から予感がしてたんですよね』 『そうですか。 ありがとうございます』
アコウを食べてみると、しっかりと締まった白身は旨味がたっぷり。 『うん、美味い』

『天婦羅もありますから』 揚げたてアツアツの天婦羅に塩をパラリと振り、パクリといただく。
『タコはシャブシャブでどうぞ』 『あ、これですか。 これは炊き込みご飯です』 うーん、スゴいボリュームと品揃え。
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途中からは、若い支配人さんとのお話をしつつ食事を楽しむ。 お話を伺ってみると、その方も海が好きでこの仕事に付かれたのだとか。 しばしお話ししながらビールを飲んだ。
瀬戸内の島々の話、シーカヤックでの海旅の話、ダイビングの話。 日本海の事、太平洋の事、そして瀬戸内の事。
沖縄の旅、屋久島の旅、ミクロネシアの旅。 豊島での生活の話、次世代を担う子供達への文化の伝承や教育の話。
そして、瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承を実践する場としての『旅する櫂伝馬』の事などなど。
ビールを飲みつつお互いの経験や知識を共有化し、焼酎を飲みつつ想いを語る。 気が付くと、午後9時を回っていた。
食事をはじめてから、なんと2時間半。 『いやあ、遅くまでスミマセンでした。 ほんと、おいしかったです。 ごちそうさまでした』
とても食べきれないと思っていたボリュームたっぷりの夕食も、しっかり腹に収まっていた。 そしてこの料理で一泊二日、二人で1万7千円。 なんとリーズナブルな、驚きのプライス!
胃袋も心も、そして肝臓も幸福感に満たされ、快い眠りについた。 『おやすみなさい』
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翌朝。 少し風は有るが今日も晴れ。 日の出前の朝焼けが妖しい美しさ。

7時に起き出し、近くの神社まで散策した。 少し風が冷たいが、空気が凛と引き締まって心地良い朝である。

朝8時から朝食をいただく。 おいしい海苔、イカナゴ、干物。 『ごちそうさまでした』
食後はコーヒーをいただきながら、弓削民俗誌を拝見する。 うーん、これは面白い。 次回訪れた時には、じっくりと読ませてもらおう。
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外から呼ぶ声がするので行ってみると、空を指差して『あそこ。 あの小さい影はハヤブサですよ』との事。
小柄だが機敏な飛翔をする小さな影。 なるほど、あれがハヤブサか。 『あの展望台の上の方に時々居るんですよ。 でも、ハヤブサが飛んでいるのを見るのも久し振りです。 ほんと、運が良いですねえ』

部屋に戻り、荷物を片付け、船の時間が近づいたので宿を辞す。 『タケノコ、持って帰りますか?』 『ええ、遠慮なく』
という訳で、お土産までいただいた。
『ほんと、今回はこの宿にして良かったですよ。 景色も料理ももてなしも最高でした』 『また自分の別荘だと思って遊びに来てください』 『ええ、是非また来ますよ』
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桟橋に降りると、一隻のボートが入って来た。 その船長の後ろ姿に見覚えが。 あれはMさんである。
『Mさーん』と声を掛けると、しばしこちらを眺め、ようやく気づいた様子。 ボートに近付き、しばし会話。 いやあ、最後にMさんにも偶然出会えて良かったなあ。
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豊島コミュニティセンター。 お世話になりました! これで、お気に入りの上島町に、また一つお気に入りの宿が増えた。
それにしても瀬戸内は、ほんとうに奥が深いなあ。 まだまだ私の知らない素晴らしい場所がたくさん残っているのだろう。
これからも、瀬戸内の『あるくみるきく』を堪能していきたいな。