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2023年5月6日(土) 今日は、おろしかの宿を出て対馬南部へ。
雨の予報であるが、宮本常一ゆかりの浅藻を訪問予定ということで、気持ちが昂る。
途中、西漕手へ。
対馬の東西を行き交う時、ここで船を乗り換えた場所なのだそうだ。
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そしていよいよ浅藻に到着。
豆酘漁港。
しばし集落を散策。
歩いている人がほぼ居ない静かな集落である。
そして、『浅藻開港の碑』
残念ながら、石碑は文字が読めない状態になっていたが、『忘れられた日本人』を想い出し、今この場に居る事ができていることに感慨はひとしお。
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雨と風が強くなってきたので、レンタカーの中でお弁当を食べ、天気予報と船の運行状況をチェック。
すると、ジェットフォイルは運行するかどうか分からないとの情報。
明日は、昼過ぎのジェットフォイルで博多まで戻る予定なのだが、出航できないようなら予定が大幅に狂ってしまうので、急遽フェリーに変更すべく、一旦厳原に戻る。
チケット売り場でフェリーへの変更と一等室を確保することができ、一安心。
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そして今日の宿へ。
最後の宿は、『美女塚山荘』さん。
夕方まで部屋で、かん酎ハイを飲みながら本を読む。
晩御飯は、これまた豪勢なセットである。
これに、ゴマサバが、
貝と鶏が、
更には小イカが追加された。
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ここでも、宮本常一関連のガイドを頼まれることも多いという宿のご主人や、同宿されていた方との四方山話で楽しいひととき。
ご主人に、『また来ます。 今度はぜひ浅藻のガイドツアーをお願いしますよ』
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翌朝は、朝食をいただいて宿を辞す。
厳原でレンタカーを返却。
対馬では、4日間で約500kmを走行し、燃費は22.5km/Lであった。
対馬は主要道路でも基本的に片側1車線で、直線部分はほとんどなくカーブの連続。
しかも道幅が狭く、タイトなカーブも多く、それにアップダウンが加わるため、運転にとても気を遣う地域であった。
ここを軽のハイトワゴン、CVTで走るのは、本当にタフなドライブ旅であったなあ。
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フェリー乗り場の売店で、司馬遼太郎の著書を購入。
フェリーは定刻に出航してくれたが、沖はかなり荒れて揺れる予想だそうだ。
3Fにある一等室のベンチで、酒も飲まず、本も読まず、荒れて大きく前後左右に揺れる中をひたすら外の景色を眺めてやり過ごす。
船酔いや乗り物酔いには強いと自負している俺も、壱岐まで向かう左後方からの大波の区間は平気であったが、
壱岐から博多に向かうルートで真横からの波による大きなローリングには少し手こずらされ、酔いこそしなかったものの脂汗が出てきて少しソファーでウトウトしてしまった。
『無事に帰ってこれたけど、最後は流石にキツかったなあ』
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人生初となる、壱岐対馬の旅は、コロナ禍も一段落して宿で出会った方々との四方山話/地元の昔話も含めて久々となる『あるくみるきく』の旅を楽しむことができた。
風の吹くまま気の向くまま、フラリ風来坊・生涯不良の旅するサラリーマン・シーカヤッカー。
さて、次はどこ行こう?
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2023年5月5日(金) この宿に連泊の二日目は、昼前から雨の予報なので午前中にレンタカーで近くを散策する予定。
ボリュームタップリの朝食をいただき、食べきれない残りは持参したタッパーに詰めて今日のお昼ご飯にする。
『じゃあちょっと出かけてきます』
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まずは、都々智(つつち)神社の海中鳥居。
潮が引いていれば、海の中にある道を歩いて参拝できるようだ。
今日はまだ少し潮が高いので、歩くことができなかったのは残念だが、とても珍しい眺めである。
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小茂田濱神社。
ここは、かつて元寇がやってきて壮絶な戦が繰り広げられた場所だとのこと。
往時を偲び、手を合わせる。
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椎根の石屋根倉庫。
ここも、対馬ではぜひ訪ねてみたかった場所の一つ。
芸予地域では見ることのない、対馬ならではの構造の貴重な小屋が残っている。
対馬の資料館でも、このような文化財をもっと展示や紹介をすれば良いのではないだろうか。
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宿の近くまで戻り、温泉で旅の疲れを癒す。
俺以外のお客さんは、地元のお爺さんばかりであった。
昼が近づいてきたが、幸いにもまだ雨が降らないので、烏帽子岳展望所へ。
ここは宿のおばちゃんが、ぜひ行ったほうが良いよ、とお薦めされていたスポット。
晴れていればさらに良いのだろうが、それでも対馬ならではの絶景である。
宿に戻る途中、昨日立ち寄った神社を通りかかった。
やはり水中にある鳥居の方が、厳かな感じがあるなあ。 昨日の朝来ていて良かった!
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宿に戻ると、お昼ご飯を食べながら焼酎を飲み、食後はkindleで宮本常一の本を開く。
午後は少しお昼寝タイム。
壱岐対馬に来てから、レンタカーを使いながらも毎日17,000〜20,000歩程度歩く日が続いていたので、疲れが溜まっていたようである。
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晩御飯は、刺し盛り、
刺身丼、
そして地元料理だという『とんちゃん』
今日も、もう一人のお客さんと二人分とはいえ、とても食べきれないボリューム満点のご馳走である。
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ビールを飲み、刺身を食べ、とんちゃんをいただく。
『とんちゃん、美味しいですね』
食事をしながら、宿のおばちゃんに話を伺う。
『宮本常一という人の本を読んでいると、昔は集落毎に鍛冶屋さんがおられたということですが、このあたりはどうだったんですか?』
『この人のおじいさんが、鍛冶屋さんをしよったんよ。 あれ作ってくれ、これ直してくれ、言われたら、儲けも考えずにすぐにやりよっちゃった』
『鍛冶屋さんだけじゃなくて、カゴとか作る職人さんもおったよ。 海にウニを獲りに行って、そのカゴに入れて持って帰りよった』
『今はだいぶ減ったけど、私らが子供の頃はイカが沢山取れよった。 私らもイカの皮を剥くのは手伝いよった。 親はイカを干してスルメにしよったんよ』
『晴れた日は天日で、雨の日は小屋で薪で火を焚いてスルメを作りよったねえ』
『長崎の方から船が来て、各集落を回って私らが作ったスルメを買いよった。 またその船は日用品や宝飾品なんかも積んできとったから、母親なんかはその宝飾品を買うのが楽しみじゃったようなよ』
『対馬の人はおっとりしとって、あまり人も疑わんところがある。 爺さんなんかも知らん人でも、家に来てご飯食べさせよったねえ』
『私らも儲けることはあまり考えずに、美味しいものをたくさん食べて喜んでもらいたいいう気持ちの方が強いんよ』 『なるほど、じゃからこんなにご馳走を出していただけるんですね。 納得しました』
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コロナ禍も一息付き、久々となる『あるくみるきく』の旅となった。
明日は、この旅最後の宿に移り、対馬南部を散策する予定。
宮本常一ゆかりの浅藻訪問も予定しており、楽しみだ!