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眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

2006-10-31 | 日記
空が綺麗だ
高く澄みきって
切ないくらい 哀しい

いつか行った
外国の
重く垂れ込めた空気のように
哀しみは
風の匂いや街角の寂しさを
旅行者の特権だと誰かが云っていた
きずかせてくれる

下を向いてポケットに手を突っ込み 歩いている
「たまには 顔を上げれば?」
そう云われて
空のほうを眺めた

透きとうった
 青
刹那に想い出した
夢見た記憶
残存記憶が呼吸している

 
 青 月 古い音楽 
  色褪せた写真 水族館の沈黙
   大好きだった絵
 
「篠原美也子」 というミュージシャンが
   「青」
という曲を歌っていた

素敵な曲だよ
よかったら 聴いてみてね



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風鈴

2006-10-27 | 
目隠しをして
 街の風に吹かれる
  頬をそよっと風が撫でる
   優しさの成分がここから生成される

  黒猫は耳をぴんと立て
   アンテナの如くに世界を吟味す
    風の抜け道を知っているのだ
     アンダルシアの陽光に
      黒猫はあくびし惰眠をむさぼる

   外国旅行は好きかい?

  友人が旅行会社のチラシを
 ひらひらと目の前にかざした
嫌いだよ
 だって
  10時間以上も禁煙するなんて体に毒さ
   君は呆れてチラシを散乱させる

    ならさ
     熱気球で行こうぜ
      煙草も吸いたい放題さ

              僕は爺様仕込みのウィンストンを
              誰かがくれた灰皿でもみ消した
              まるで
              自身の記憶に対する扱いで

    熱気球か
     不満か?
      高いところさ駄目なんだ

  友人は笑って僕の吸いかけの煙草を横取って
 一服しながら窓の外を眺める

この夏最後の
 風鈴の音を耳にした

     ちりん


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そら

2006-10-26 | 
そらが青いのは
 空気が澄み切っているからだろうか

  透徹したまなざし

   三日月の夜に
    世界が美しくて
     哀しみは
      むしろ嬉しさにも似て
       僕は身震いするのだ

     生きている

    今日もそらも
   澄み切って透明だ

  予感させる
 美しき情景
子供のころ夢見た
そんな白昼夢に身を浸し

   そらは良い

    青の蒼さに泣きたくなる


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2006-10-22 | 
「お近ずきの印に
  一本どうです?」
初老の男性が細い葉巻を薦めた。僕は礼を云って、ダンヒルのライターで灯をつけた。夕暮れ時だ。駅のホームには、暖かな家へ帰る人々の波がせわしくながれていた。僕らは、葉巻をくゆらせながら、ぼんやりと人波をながめ、そうしてぽつりぽつりと、話をした。
  
 まだプラットホームで煙草が吸えた時代の話だ。

 どちらかご旅行で?
  ギターケースと鞄ひとつ抱えた僕に彼は尋ねる
   そうゆうわけでもないんですけどね、街から少し離れたくなって
 わかる様な気がします
  私も家になんだか居ずらくってね、長男家族と暮らしているんですが奇妙に息苦しくって、ふらふら旅に出ているんです。
そう云って、葉巻に灯をつけ深く吸い込んだ。
慌しいプラットホームの隅っこで、僕ら二人だけが並んで煙草を吹かす。
日のあかりが薄いヴェールにとざされ、煙草の煙ごしに見える世界はやけに足早だった。
僕がアパートの部屋を飛び出した夕暮れ時。
世界には夢の残骸がたむろし、暮らしのため息が宙を舞う時刻。やがて、夕闇に暮れ、電光掲示板と蛍光灯の灯りがやけに暖かく感じた。
  
  私はね、絵を描いて歩いているんですよ。電車に乗って気にいった景色にめぐり合うと、そこで降りてのんびり歩くんです。そしてめぼしをつけた辺りで
    下手なデッサンをとるんです。
     こうする事は長年の私の夢でした。
      あなたはお若いけれど、夢はありますか?
僕は黙ってギターケースに触れた。夢は破れやすい。まるで壊れやすいガラス細工のように。アパートを引き払って、今日寝る場所すらなかった。

   まあ、のんびりやってゆきましょう
    のんびりとね

そう云って、彼は帽子を取って軽く会釈して、行き先も確かめずに電車に乗り込んだ。あとには、吸いかけの葉巻だけが残った。もう彼と再会する事はないだろう。
僕は葉巻の火を丁寧に消してポケットの中に入れた。

   のんびりとね
    男の言葉がやけに耳に残った

  いったい何処へ行けばいいのだろう?

僕はホームで夢の名残を抱きしめ、少し震えながらベンチに座り込んでいた

   のんびりとね




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甥っ子

2006-10-02 | 
透明なフィルム越しに
 庭の花を眺めた
  それはまるで
   古ぼけた
  映画のワンシーンの如く

   絶え間ない精神の虚脱と自責の念を
    呼吸を整え
   少しの酒で弛緩させた

   兄ちゃん
    母親になった妹の呼ぶ声が
     遠い昔の
    幼い日々を喚起させた
   兄ちゃん
    そんなな飲み方すると胃をやられるよ

     日差しが強くなる午後
    僕は
   何故か懐かしい気分で
  寝顔の甥を眺めた
 それは
あまりにも美しく
 気高く精神の高潔な導師の透徹した眼差しの如く
  僕を優しくいさめるのだ

   叔父ちゃんいらいらしないで

    初めて会ったとき
     奇妙に涙が零れた
      僕は
     おかえり
    と呟いた
   おかえりなさい

  魂の存在を信ず
   仏壇の位牌を
    熱心に見つめる赤子の
     まるで純粋な祈りにも似た
      魂
   
    君も何時かは
     酒を口にし
      生活に溺れるのだろうか

      それでも
     世界な奇妙な美しさは
    君の心を捉えて離さないだろうね

   世界はね美しいね

  何時か乾杯しようよ


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