凛とした空気
白い息を吐きコートのポケットに手を入れた
公園の木々の枝葉は枯れ果て
灰色の空に手を伸ばした
まるで
まるで救いを求める彼等群集の様に
僕はポケットの青いビー球を握り締めている
この世界でただひとつ
僕が所有する事を許された事象
青い硝子玉は世界だ
世界は不自由の中の自由だ
完璧なる物など存在しない
あるとすれば
壊れかけたブリキの玩具に意図される
こわれものだけなのだ
水筒のふたを開け
喉元にウイスキーを流し込んだ
急がなければ
やがて辺りが暗くなり
世界の終焉がやってくる
絶望の所作でお茶を立て
魔法使いがざらついた舌先で世界を嘗め回す
僕等は船に乗り込んだはずだった
あのノアの箱舟の中で
青い空を夢見
公園で幸せな不自由さをもってお昼寝がしたかった
凛とした空気
赤い風船が空を昇る
君だけはいつか天界に辿り着くだろうか?
愚弄したはずの神話的背景の
その一部になるのだろうか
永遠は無罪だ
恫喝した警察官の職務質問には答えられない
狡猾で利口なやり口で彼等は僕のビー球を取り上げようとする
永遠は無罪だ
誰かが異議なしと答えた
時間は
時間は残酷だ
丁寧に記憶を磨耗させる
僕等は忘れ行く
僕等が僕等であった事ですら忘れ行く
闇だ
フクロウが僕等の首に針を刺す
抑鬱的な情景から逃れられない
常識や社会的規範の範疇から零れ落ちた
こわれもの
世界は冷たい青で存在を暴きだす
白日の下で
ね
重厚な鐘の音が鳴り響く
繰り返される安易な日常
それその物が非日常である夕暮れの哀しみ
不穏さをさらけ出し怯え逃げ出した僕等
氷点下の事件
僕等は果たして無事に逃げおおせたのだろうか
真相は常に闇の中だ
二人のことば
君と僕
世界は其処から始まり
やがて無意識下に埋没される
二人のことば
それはきれいさっぱりと消え失せる
それでも僕等は詩を歌った
届かない君に宛てて手紙を郵便ポストに入れた
懺悔は届かない
届くはずの無い想いは砕け散る
公園の寒がりな風景
調弦が上手くいかない楽器
鍵穴に合わない鍵の束
赤い電話
雨の日の解脱
乖離された朦朧とした意識が
白濁色で風景を眺めているという
あの通り沿いのアパルトマン
2階の窓から君が手を振っている
宙を舞った赤い風船が君だ
僕は君が無事に逃げ出すことを夢見ていた
この混沌としたざらついた日常から
君は世界の中心点から零れ落ちた
こわれもの
誰かが素早く忠告する
バンドネオンがピアソラのタンゴを弾き始める
届かない君に宛てて手紙を郵便ポストに入れた
手紙は不自由さの中から自由に辿り着けるだろうか
やがて消え往く
僕は永遠に動けない
壊れた人形の様に唯じっとしている
涙を流している
哀しみ
涙の一滴が青いビー球だ
僕がこの世界でただひとつ所有する事を許された物
ただ泣いている
雨の中
ただ泣いている
泣くことが出来ない者達に代わって
ただ涙を零すのだ
やがて世界の終焉が訪れる
ポケットの
青いビー球を握り締め
呼吸を止めて手紙を投函する
届くはずの無い二人のことば
ね
会いたいよ
消えてしまった
二人のことば
白い息を吐きコートのポケットに手を入れた
公園の木々の枝葉は枯れ果て
灰色の空に手を伸ばした
まるで
まるで救いを求める彼等群集の様に
僕はポケットの青いビー球を握り締めている
この世界でただひとつ
僕が所有する事を許された事象
青い硝子玉は世界だ
世界は不自由の中の自由だ
完璧なる物など存在しない
あるとすれば
壊れかけたブリキの玩具に意図される
こわれものだけなのだ
水筒のふたを開け
喉元にウイスキーを流し込んだ
急がなければ
やがて辺りが暗くなり
世界の終焉がやってくる
絶望の所作でお茶を立て
魔法使いがざらついた舌先で世界を嘗め回す
僕等は船に乗り込んだはずだった
あのノアの箱舟の中で
青い空を夢見
公園で幸せな不自由さをもってお昼寝がしたかった
凛とした空気
赤い風船が空を昇る
君だけはいつか天界に辿り着くだろうか?
愚弄したはずの神話的背景の
その一部になるのだろうか
永遠は無罪だ
恫喝した警察官の職務質問には答えられない
狡猾で利口なやり口で彼等は僕のビー球を取り上げようとする
永遠は無罪だ
誰かが異議なしと答えた
時間は
時間は残酷だ
丁寧に記憶を磨耗させる
僕等は忘れ行く
僕等が僕等であった事ですら忘れ行く
闇だ
フクロウが僕等の首に針を刺す
抑鬱的な情景から逃れられない
常識や社会的規範の範疇から零れ落ちた
こわれもの
世界は冷たい青で存在を暴きだす
白日の下で
ね
重厚な鐘の音が鳴り響く
繰り返される安易な日常
それその物が非日常である夕暮れの哀しみ
不穏さをさらけ出し怯え逃げ出した僕等
氷点下の事件
僕等は果たして無事に逃げおおせたのだろうか
真相は常に闇の中だ
二人のことば
君と僕
世界は其処から始まり
やがて無意識下に埋没される
二人のことば
それはきれいさっぱりと消え失せる
それでも僕等は詩を歌った
届かない君に宛てて手紙を郵便ポストに入れた
懺悔は届かない
届くはずの無い想いは砕け散る
公園の寒がりな風景
調弦が上手くいかない楽器
鍵穴に合わない鍵の束
赤い電話
雨の日の解脱
乖離された朦朧とした意識が
白濁色で風景を眺めているという
あの通り沿いのアパルトマン
2階の窓から君が手を振っている
宙を舞った赤い風船が君だ
僕は君が無事に逃げ出すことを夢見ていた
この混沌としたざらついた日常から
君は世界の中心点から零れ落ちた
こわれもの
誰かが素早く忠告する
バンドネオンがピアソラのタンゴを弾き始める
届かない君に宛てて手紙を郵便ポストに入れた
手紙は不自由さの中から自由に辿り着けるだろうか
やがて消え往く
僕は永遠に動けない
壊れた人形の様に唯じっとしている
涙を流している
哀しみ
涙の一滴が青いビー球だ
僕がこの世界でただひとつ所有する事を許された物
ただ泣いている
雨の中
ただ泣いている
泣くことが出来ない者達に代わって
ただ涙を零すのだ
やがて世界の終焉が訪れる
ポケットの
青いビー球を握り締め
呼吸を止めて手紙を投函する
届くはずの無い二人のことば
ね
会いたいよ
消えてしまった
二人のことば