青くたなびいた風
風鈴の音
君の添い寝の微熱
あの郷愁の夏を憂う陽炎の街は
何時かのあの日の午後の白い雲
もくもくと
ただ誰しもが願った薄明の彼方に
余韻
ヴァイオリンの鼓動が空気を振動させ
脈拍の拍動ですら
暑い日々の懺悔を斯う
欺いた欺瞞の影で
赤い舌を出した君の口元
憶えたての赤い口紅
憶えていて
真夏の夜の夢に
君はそう云った
そうして世界はいつだって青だった
世界の封印に辟易とした我々は
廃墟の美術館の中庭で発泡酒を飲んだ
レモネードのお酒は
奇妙に甘ったるくてやるせない
消えてしまった君を想う程に
ちがうよ
消えたのは君さ
君自身なのさ。
黒猫のハルシオンが
髭をぴんと立てて云う
月光は永遠を指し示した
窓から飛び出して世界に赴くんだ
永遠が其処に連なっている
永遠?
僕は煙草に灯を点け
アルコールでぼんやりとした意識の最中
夢を見たのだ
五弦のヴァイオリンがあるという話を聴いたことがあるかい?
ハルシオンが退屈そうに欠伸をしながら云った
五弦?
誰がそんな奇妙なことを
あの伯爵さ。
名うての製作家に作らせたらしい。
知覚の扉を開くらしいよ。
多弦楽器の音域の広がりが
知覚の扉の秘密なのかい?
どうだろう?
検討の余地くらいあるだろう。
街の科学者たちの格好の題材さ。
黒猫はそう云って
レコード盤を古臭い再生機に乗せた
そっと音楽が流れた
そっと
ひそやかに
真夏の夜の夢
僕等が辿り着けなかった
永遠の物語に関して
意識が薄れる
薬を飲まなくては
いっそ
哀しみの足音がする
夏の記憶
夏の
風鈴の音
君の添い寝の微熱
あの郷愁の夏を憂う陽炎の街は
何時かのあの日の午後の白い雲
もくもくと
ただ誰しもが願った薄明の彼方に
余韻
ヴァイオリンの鼓動が空気を振動させ
脈拍の拍動ですら
暑い日々の懺悔を斯う
欺いた欺瞞の影で
赤い舌を出した君の口元
憶えたての赤い口紅
憶えていて
真夏の夜の夢に
君はそう云った
そうして世界はいつだって青だった
世界の封印に辟易とした我々は
廃墟の美術館の中庭で発泡酒を飲んだ
レモネードのお酒は
奇妙に甘ったるくてやるせない
消えてしまった君を想う程に
ちがうよ
消えたのは君さ
君自身なのさ。
黒猫のハルシオンが
髭をぴんと立てて云う
月光は永遠を指し示した
窓から飛び出して世界に赴くんだ
永遠が其処に連なっている
永遠?
僕は煙草に灯を点け
アルコールでぼんやりとした意識の最中
夢を見たのだ
五弦のヴァイオリンがあるという話を聴いたことがあるかい?
ハルシオンが退屈そうに欠伸をしながら云った
五弦?
誰がそんな奇妙なことを
あの伯爵さ。
名うての製作家に作らせたらしい。
知覚の扉を開くらしいよ。
多弦楽器の音域の広がりが
知覚の扉の秘密なのかい?
どうだろう?
検討の余地くらいあるだろう。
街の科学者たちの格好の題材さ。
黒猫はそう云って
レコード盤を古臭い再生機に乗せた
そっと音楽が流れた
そっと
ひそやかに
真夏の夜の夢
僕等が辿り着けなかった
永遠の物語に関して
意識が薄れる
薬を飲まなくては
いっそ
哀しみの足音がする
夏の記憶
夏の