眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

天体観測

2024-04-11 | 
消えない世界を想い
 緩衝地帯に打電する信号の様に
  それは赤でも無く黒でも無かった
   深夜零時に降る雨は
    優しく魂を包み込む
     綺麗なワインの赤を零し
      カーペットに赤い溜りが出来るのを
       ただ黙って眺めているのだ
        繊細さを気取った悪癖に於いて   
         消えない世界の
          消えないパレード
           野良猫達が空き地に集い
            すっとんきょうな声で歌った

            パレードはあの空の向こう
             そこでまた始まる
              さあパレードだまた始まる
               始まりはいつも夜の向こう
                いつもの広場

                広い公園の
               水の無い噴水
              赤い林檎を齧る
             薄っすらとした霧の夜
            断罪する君の赤い舌
           黒いこうもり傘が
          強い風であっけなく壊れた
         信号は届かなかったのだろうか?
        丸い眼鏡を外し
       ぼやけた空間を見渡した
      綺麗な嘘
     曖昧な現実
    不本意な果実
   熟れた真夏の午後
  憧れた静かな微笑
 僕の知らないお話
ただ安らかに

 土曜日の夕方は幸せだった
  ランドセルを処分し
   誰かの影が伸びるある種の時間
    それを想った
     其れを想った
      絵画の風景に依存し
       現実をあざ笑った午後
        現実らしい実態を伴った事象に
         やはり叩きのめされるのだ
          いつだって
           パレードを待ちわびた
            
           展望台から眺める天体に
            少しだけ慰められた想い出
             もう忘れてしまいそうな神話の儀式
              ね
               もう少しだけ飲もう
                ソーダー水にウイスキーを垂らして舐めた
                 歌われた事の無い歌を歌おう
                  望む
                   空から堕ちた具象の様に
                    仮装した羅列が落ち続ける事を

                    「ヨコハマの波止場から
                      船にのって
                       異人さんに連れられて
                        いっちゃった」




                    ちりん


                   風鈴の音がした


                  まるで何かを想い出したかの様に


                ちりん




              いつかの天体観測




           









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2024-04-08 | 
壊れやすい水
 古井戸は永遠に蓋をかぶせられた
  水があるところには神が宿るという
   飲み水になり
    洗濯に使われ
     そうして畑に命を宿す

    野菜の状態を吟味するお婆さん
     これはまだ食べごろじゃない
      そういって草花に丁寧に水をかける朝のお仕事
       戦前のこの島の写真を眺めた
        まだ若い端正な顔立ちをした少女が
         水瓶を運んでいる
          美しい写真だった

      ロバート・キャパが
       ベトナムでシャッターを押した
        米兵がトラックの上から
         ベトナム人の男に煙草を薦めている
          笑顔を浮かべている
           あの悲惨な情景で
            その写真の穏やかさに少し安心するんだ

         ある人のコンサートに行った
        数年ぶりの活動再開だ
       彼女は優しく激しく歌った
      魂 と想った

    在る時期
 僕はこの人の唄が聴けなかった
それは余りにも痛くってこころがどうにかしてしまいそうだった 

   彼女の歌を聴いて
    自然と涙が溢れた
     誰かの唄で泣いたことなんてそれまで無かった
      きずくと 涙と汗で僕は滅茶苦茶だった

       久しぶりに泣いた
    
        随分と我慢していたんだな
         泣いてすっきりとした

       問題は山済みだね
      流した壊れやすい水には
     神が宿っていたのだろうか?

    僕は彼女のいる世界に
   同じ場所で同じ空気を吸っていることに感謝する
    
    それは必然でたぶん奇跡だ




      
 
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