クッキー一枚を半分こに割って
食事にした
トマトの赤が網ネットのなかで吊るされ
風に揺れた昼下がり
繁華街から数キロ離れた
田舎町の情景
何か買うか?
老婆の巧みな商売に
思わず黒砂糖を手にした
優しさは贅沢品
究極の嗜好品
上等の紙煙草の様に
箱の上で
とんとん、と葉を詰めて
マッチで灯を点ける
マッチの硫黄の香りが仄かに
一服を嗜む
ガラス細工
気に入りのカップ
タンブラーグラスのスコッチの琥珀
それから
いくつかの手紙
もう見ないけれど
そのぶっきらぼうの言葉に
失う怖さを始めて知った時間の緩やかさ
猫が訪れたのはホテルの玄関の階段
したたかな表情で
あの老婆の様に
当たり前の顔で
残りのクッキーを齧った
食べ終わると
ミルクは無いのかと
不満げに僕の瞳を覗き込む
僕は気が利かないのだ
嗜好品はなかなかもって止められない
煙草の一服も
コーヒーの黒も
ウィスキーの寝酒も
それから
想わずもらった優しさの欠片
断片に論理性は求めないのが常だけれど
いつか最後に
ポケットに小銭が残っていたなら
僕は迷わず
うらびれたショットバーで
一杯引っ掛け
煙草を深く吸い込み
娑婆とお別れしたい
病院で白いシーツにおじが包まっている
借金と病気は隠すな と
爺様の口癖だったと苦笑する
同じ病室だったのは何かの縁か
じりじりと西日が刺さる
遮光カーテンで塞ぐ
想い出は優しい贅沢品
一抹の哀しみの音色と同じ
大切で手に届かないものたち
食事にした
トマトの赤が網ネットのなかで吊るされ
風に揺れた昼下がり
繁華街から数キロ離れた
田舎町の情景
何か買うか?
老婆の巧みな商売に
思わず黒砂糖を手にした
優しさは贅沢品
究極の嗜好品
上等の紙煙草の様に
箱の上で
とんとん、と葉を詰めて
マッチで灯を点ける
マッチの硫黄の香りが仄かに
一服を嗜む
ガラス細工
気に入りのカップ
タンブラーグラスのスコッチの琥珀
それから
いくつかの手紙
もう見ないけれど
そのぶっきらぼうの言葉に
失う怖さを始めて知った時間の緩やかさ
猫が訪れたのはホテルの玄関の階段
したたかな表情で
あの老婆の様に
当たり前の顔で
残りのクッキーを齧った
食べ終わると
ミルクは無いのかと
不満げに僕の瞳を覗き込む
僕は気が利かないのだ
嗜好品はなかなかもって止められない
煙草の一服も
コーヒーの黒も
ウィスキーの寝酒も
それから
想わずもらった優しさの欠片
断片に論理性は求めないのが常だけれど
いつか最後に
ポケットに小銭が残っていたなら
僕は迷わず
うらびれたショットバーで
一杯引っ掛け
煙草を深く吸い込み
娑婆とお別れしたい
病院で白いシーツにおじが包まっている
借金と病気は隠すな と
爺様の口癖だったと苦笑する
同じ病室だったのは何かの縁か
じりじりと西日が刺さる
遮光カーテンで塞ぐ
想い出は優しい贅沢品
一抹の哀しみの音色と同じ
大切で手に届かないものたち