眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

さよなら

2008-03-30 | 音楽
あまり口にしたくない言葉ってある。人を傷つけるたぐいの言葉や、安っぽいブライドが作り上げた安っぽい言葉、もちろん自分自身を痛めつける言葉も。ある言葉があるときには優しくつつみこんでくれて、あるときにはひどいくらい冷たく感じられることがある。「さよなら」
この言葉が僕は苦手だ。なんだかずうっーと会えないような気がして、なんとなくやりきれない。だから、いつも、またね、なんて言葉を自然と使うようになった。
言葉は不思議だ。
同じように、「がんばれ」というのにも気を使うようになった。
どちらも昔の苦い経験からくるのだろう。
そんな言葉を、ポロッともらしちゃうと、あとでとても嫌なキモチだ。
さよならは、なにかの終わりのようで、がんばっているのはなんとか生きている、君や僕やあなたのようでこれ以上、がんばれと云うのも酷な気がしないでもない。
さよならって、ぷいっと言われて立ち去られたら、残された者にとってはたぶん辛いんじゃないかな~、思うんだ、僕はね、だめだねたぶん。
だから、またね、がちょうど良かったりする。
いつからそんな風に感じるようになったのだろう。
明日がいい日でありますように。

またね。




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哀しみに

2008-03-29 | 
人は哀しみだけでは走れない
 追いつきたい肖像を求めた日々は
  かすれた布地の心地よさに似て
   甘い快楽を妥協する

    辿り着けない地平
     霧の立ち込める街並みを彷徨った
      暮らしの論理は
       夢の名残を
        まるで優しく腐ってゆく
         机の上の林檎の如くに
          芳香す

         「愛している」

         ドウシテ
         コノ クルシミ ノ ハイ ヲ
         トリノゾイテハ
         クレナイノデスカ?

        水割り一杯で
       記憶の断片を消去する
      割れた鏡のかけらの様な
     戻れないね

    人口密度の高い街のカウンターは
   やけにざわめき
  息苦しい
 呼吸をするのにも
銀貨一枚が必要らしい

  甘えた声で
   誰かが誰かにまとわりつく
    うんざりさ

     一人で飲みたい

     それでも
      人は哀しみだけでは走れない
       どんなに埋め合わせを求めてみても

        コケッティシュな嬌態も
         甘い誘惑にも
          くだらないのさ

         だから

          今夜も街のノイズに
           一人包まれ夢を見る

           ただ
  
            走りたいのだ



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不協和音

2008-03-21 | 
さよならを告げた言い訳の表情が
  情けなくて
 それは握り締める手のひらに食い込んだ
  深い爪跡の孤独
   己が精神の脆弱さが
    明るみにさらされる不快な気温上昇

    街を出るとき
     君は差し出した手を
      ぐっと手繰り寄せる

     ヴァイオリンを構える
      弓を俊敏に覚醒さす
       ヴァイオリニストの如き緊張感
      なるべくならば
     全ての音をノンヴィブラートで
    装飾を排し
   別れのため息よりも孤独にね

  電話が切れる
 電波の調子が外れているんだ

  「・・・ゲンザイ コノ
     バンゴウはシヨウサレテイマセン」

暗転した舞台に向かい
 煽り立てるように拍手の雨を
  出来るならば
   もう一度アンコールを
    
   霧の朝だった
    繰り返される日々に飽きたのだと
     僕は呟いたらしい
      一度だけ振り返った
       アンコールを待ちわびる観衆みたく
       やがて雨に変わる
      僕はギターケースを担いで
     舞台からそそくさと退場する
    万感の拍手もそこには無く
   唯 コンビニエンスストアーで
  切らした煙草を買い求めた
 もちろん僕だけじゃなく
よくある話さ

  存在し底に足を踏み込み
   存在を消去される
    不協和音は排除される
     作曲者の意図には不必要なのだった

      さよならは苦しい

     よくある話さ
    昨日までいた仲の良い友人の
   アパートの扉が開かない
  チャイムを連打した記憶

 「お隣さんいないみたいですよ」
 寝ぼけ眼で迷惑そうに
出勤前のOLが階段を降りて行く
 どうやらそうゆうことらしい
  よくある話さ
   もう二度と会えないのだ、と気ずくのは
    それから五年後の或るコンサート会場にて
     アンコールに応えてヴァイオリンを構えた
      スポットライトの演奏者
       
     アンコールは無いのだ
      永遠に

    僕の事だった

    不協和音は



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青い月と赤い月

2008-03-19 | 
在りもしない残像で
 懐古趣味に近ずこうとする光景は
  飛躍しすぎたゴシップにすぎないのだろうか?
   コップに入った水を
    一息で飲み干したのだ

     君を置いていくわけにはいかない
      たとえ記憶の残像が
       机の引き出しの中の
        セピアの写真であったにせよ
         君にさよならと云うわけにはいかない
          金魚蜂の金魚が優雅に舞う
           夏の日差しが近ずく頃合
          そうして
         青い月夜の晩に
        猫がないていたから
       青い意識は
      情報過多に消化不良気味
     出切るなら
    今はいない君に手紙を書きたい
   雨脚が容赦なく降り注ぐ前に

 赤い月
僕は孤独に怯え
 帰らない物達を想い微かに泣いた

 青い月
緩やかな飛行が訪れる
 天体望遠鏡で星を眺めた理科の屋外活動
  震える心が切なくてやり切れなかった

   ね 君に会いたい
    青い月と赤い月
     どちらが良いのか知らないけれど
      野良猫が空き地で集会を始めたから
       君に会いたい

       物言わぬ肖像よりも
        ヒステリックに喋り続ける君は
         確かに血が通った生き物だ
          聖者が行進する
           十字架のアンテナに
            星達と会話する

            ぴ ぴ ぴ
           
        ノイズが走り連絡網は閉ざされた
       拘束される意識で
      残像の薄い音色の声を想い出し
     君に会いたい
   
    永遠は真実じゃないよ
   瞬間が永遠なのよ

  君は笑った
 まるで金魚蜂の金魚の如くに
優雅にはしゃいで見せた
 僕は哀しくて
  君を抱きしめるだろう
 
    消えないで

     僕を去ったあらゆる人々よりも
      消えないで
       
       電波信号をさがす天体望遠鏡

        青い月と赤い月

         連続した風景

         君に会いたい



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盲目のギタリスト

2008-03-17 | 音楽
 盲目のブルース・ギタリスト、ジェフ・ヒーリーが2日、がんのためカナダ・トロント市内の病院で死去した。享年41歳。
 
 ジェフ・ヒーリーは、1歳の時に視力を失うものの、独学でギターを修得し、17歳でバンドを結成。1988年に発表したデビュー・アルバム『See The Light』が米国でプラチナムを記録する大ヒットに。椅子に腰掛け、膝の上にギターを乗せてプレイするスタイルも注目を集め、独自の地位を確立した。また、ギタリスト役として出演した、パトリック・スウェイジ主演映画「ロードハウス」での名演奏も多くのファンの心に残っている。(記事抜粋)。

はじめて彼の演奏を観たのは映画「ロードハウス」だった。
僕はまだ10代で、盲目というハンディキャップについてまだ何も知らなかった。
ただ、膝の上にギターを乗せてプレイするジェフを羨望の眼差しで観ていた。そうして彼のはじき出すトーンに心底陶酔した。最高のギターだった。
当時、僕が強烈に意識したギタリストは3人。
スティーヴィー・レイ・ボーン。
エリック・ジョンソン。
そうしてジェフ・ヒーリーだった。全部、親しかった先輩の影響だ。
レイ・ヴォーンがヘリコプターで山に激突した時、僕はまだ高校生だった。哀しくて寮のベランダで、意味もなく煙草をひたすら吹かした。グランドで、友人たちがサッカーをしていた。歓声と「パス!」という言葉が鳴り響いていた。
僕らは死というものに関して、あまりにも無頓着な少年だった。
誰かがいなくなる。
そんなこと考えもしなかったのだ。

誰かがいなくなる。
この現実が大人と呼ばれるようになっても、僕は上手く咀嚼できない。理解できないのだ。あるいはこころで感じることができない。
いつも一緒にいてくれた友達。音楽。彼等が僕に「さようなら」という事がとても苦しかった。何度も嗚咽しながら泣いた。ただ、痛みの記憶だけが残った。その傷跡がうずきだす頃には、酒を飲んで切なさを紛らわそうとする。でも、どんなに飲んでもまったく酔えない。神経は過敏になる。僕は僕を永遠に許せない。どうしてそういう風に想うのだろうか?

僕はまだこの世界に存在している。あなたが居なくなったこの世界に。
ジェフ・ヒーリーを教えてくれた先輩ももういない。
癌だったのだ。
僕はもはや彼等に追いつけない。誰かがいなくなる。お願い。いなくならないで。僕はいつもそう叫ぶ。子供すぎるのだろうか?魂の一部が削りとられる。傷跡が増える。哀しみの引力に引かれ続ける。
でもいつか、僕がこの世界を去る時には、あなた方に会えるのだろうね。積もり積もった話もあるからさ、楽しみにしておいてね。大好きな酒をの飲みながら・・・。

ジェフのご冥福を祈ります・・・。


 
 
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幻想曲

2008-03-16 | 
連日の狂騒に
 今日が何曜日かも忘れた
  時間軸はその位置を見失い
   空間が
  やがて膨張する

  夕暮れ時の時間
   来るべき真夏のパレードに
    皆興味しんしんだ
     やがて
      音楽隊を先頭に
       彼らがやって来る

   辛辣なる現実に
    パレードは冷笑を醸し出す
     豊潤に寝かせておいたワインの樽が
      夢の入り口を示唆し誘導す

     薄暗くなってゆくよ
      足元に気をつけなければ

      笛の音がそうっと近ずく
       人々は洒落た服装に余念が無い
        非日常がやって来る

     通りすがりのガス灯に明かりが灯る
    未完成の一馬力の自動車が
   羨望のまなざしで迎えられるのだ

  暗雲はやがて来るであろう夜明けの序曲
 不意に
容易ならざる夜のとばりが訪れた

  見落としてはならない
   このすっとんきょうなパレードを
    世界は
     その装いを変えるのだ
      幻想の夜が訪れる
    それはまるで初めて訪れたプラネタリウムの星の行方
   静かに開始のブザーが鳴り響き
  街の何処かで異世界が注出される

    すべては夜の出来事
   酔いの戯れの時間
  僕らは
 世界の無限を眺める
  願わくば
   日常に紛れ込ませる為の
    赤いワインの一滴を
     恵んでおくれ

      パレードに

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雨音

2008-03-13 | 
雨水が落ちてきた
 バケツの水溜りに零れる
  ぴちょん

  涙が零れると
   どこに落ちるんだろう?
    月の上か幻想の砂漠か
     夢見た物は遠い

    水溜りの写る君の顔を想い出す
     君の頬を涙が伝い落ちた
      僕は精一杯の努力で
       君の零した涙の影を拾おうとする
        今夜はそんな夜だ

        ぴちょん

     雨が哀しげに堕ちる
    しばらく前は雲として空を浮遊していたのに
   地面に落ち地を這いまわる
  哀しいね
 別れた君のように
僕は折れた部品を修理しよう
 雨の夜
  言い訳は聞きたくなかった
   ただしあわせに と想った
    静かに「オール・アローン」を流した
     マル・ウォロドロンの哀しいピアノが流れた

      ぴちょん

      雨の音がする
     今夜も
    大切な何かを永遠に失った

      ぴちょん

      雨の夜

     すこしだけ苦しく寂しい夜



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受信

2008-03-11 | 
画用紙にクレヨンで印を描いた
 かすれかけた線の内側は
  なんだかあの日の夕暮れ時に似て
   仄かに香る甘い恋の気だるさに似て
    薄く塗された微熱の様に
     クランベリージュースの空き瓶に
      そうっと手紙を忍ばせるのだ
       君が好きだよと

        天使の羽は午前零時に手折された
         もう飛べないのだろうか?
          万有引力の微笑みが地上の生き物を
           祝福する
            
                誰カヲ愛シタンダネ
                ラムネの青の夏の遠い記憶
        
           破損したテールランプ
          地を這う幻影
         哀しくてもお腹が空いてパンを齧る
        それが僕だ
       君に送るメセージには常に
      常にのっぴきならない愛情を偲ばせる
     堕ちて来たのさ
    それでも
   地上もそんなに悪くない
  ただそう云いたかっただけだよ
 崩れ落ちそうな自我の崩壊を孕ませ
ふとした余韻に君の踊りを想う
                     鍵ハカケタカイ
                    施錠サレタ風景
                   アナタニ会イタクテ
                  一緒ニ見タ海ノ青ヲ想像ス
         

                 「ニイハオ」
                挨拶してグレッチをかき鳴らした
               浅井健一だ
              まるで
             切なさの絶頂に叫ぶ
            「君に会いたい」
            記憶は大切な模様
           天気予報の雲の様子に似ているよね
          僕は馬鹿だから
         アンコールの拍手を聞き逃した
        手のひらから想いが零れ
       意識は分別された
      まるで産業廃棄物の如くに
     でも
    会えるといいね
   雲の隙間から天上が憂える
  何処かでまた
 会えるといいね
刹那をよぎる残像
 君
  君の話さ
   そう昔の話でもない
    ねえ
     声を聴かせて
      まるで
       まるで戦時下の地下放送のラジオの様に
        精一杯受信するのさ
         氷が溶ける一秒前
          羽が折れた

           君に会いたい


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十年後

2008-03-10 | 
時の残渣がざわめきだす頃
 白いノートの余白に悪戯描きをした
  あれはいつだっただろう?

   十年後の自分なんて
そのとき嫌気がさした作文のテーマだったけどもさ
     何故か このような理由により
      僕や友人達はここに辿り着いた

      僕は島に戻り
       彼等は彼等の人生を歩いたんだ
        ふてくされた表情で侮蔑した
         いつかの存在となった

       風が吹き抜けた

      十年なんて下らないくらい過ぎ去るよ
     僕らは笑ったけれども
    あの初老の化学の教師の言葉は
   どんな方程式よりも確実だったし
  いちばん的を得ていた
 宗教の時間に黒板に白墨で
「愛」
 なんて書き出した大学出の教員の言葉なんて
  今だに僕ら密やかな笑い話ではあるが

   記憶その他大勢の

    呆れるほどに現実的なのは時が流れること
     変化する為の勇気を
      マルクス・アウレリウスの
        「自省録」
       に没頭した
      古代ローマ皇帝の言葉は確かに
     長い年月を経ただけのことはある
    ストア派なんてよく解らないけどさ

    化学方程式の想い出

    十年なんて下らないくらい過ぎ去るという事
     馬鹿げたテレビ番組の
     馬鹿げたコメント

     頭が痛くなるのは何故だろう?

     テレビを消してこう想う
     どうせ消えて無くなる
     跡形も無く
     
     ビーカーとリトマス試験紙の記憶

     化学教師は唯一まともだったのかもね


 
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船出

2008-03-06 | 
冷えた冷蔵庫のような部屋で
 毛布に包まって夢をみた
  世界は平面で
   それを三匹に象が支えていた
    地平線の果ては大きな滝のようになっていて
     其処から落ちた僕らは
      永遠に世界に戻れない

      大黒海時代の帆船達は
     大海原を旅した
    食料と煙草と酒を持って
   食料が無くなると
  無人島で食料を求め狩をした
 島の樹になる果物も美味しかった
永遠に終わらない宝探し
 僕らは永遠の少年少女だったはずだ
  船を降りる事など頭の隅にも及びつかなかった
   ワインを飲み
    天気が良い日には星空を眺め酔いどれた

     在りもしない宝物に気がつくのは21世紀の 
      僕の誕生日を迎えてからだ
       いつしか夢の名残が消失された

        酒場で自慢のチェリーパイを食べた
         あんなに甘い物が嫌いだったのに
          美味しそうに一皿が空いた
           船のオウムが鳥かごの中で何度も言葉を発す

            「美味しいもの食わせろ
             酒もあるだけ出せ」
           誰がおしえたのだろうか?
          そうして最後にこう云った

         出発の時間だ
        船出だ

       僕は古本屋で冒険小説を物色した
      旅を捜して本を何冊も立ち読みした

     出発の時間だ
    オウムの声が頭のなかに木霊した
   レモンドロップを舐めながら
  僕は街の古本屋を出て
 来たるべく旅の準備に余念なく
ワインを買えるだけ仕入れるのだ

  存在しない宝物を求めて





  


           
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