手のひら
2007-01-29 | 詩
かつて
少年だった誰かが
こめかみに手のひらを当て
ピストルの形で引き金を引く
久しぶりに会った
握った手に
友人は驚き
「硬い手になったな」
と笑った
「お願いだ
消えてなくならないで」
名前すら忘れた
年老いたSF作家
彼女も
確か自宅で引き金を引いた
違いは彼が空想で遊び
彼女が本物で引いたこと
それだけさ
怯えている
手のひらに握り締める物に
忘れたはずの名残は
不意に脳裏を霞め
柔らかな伝染病の様に
いつしか致命的な思考の方向性
架空の物語
夢のまどろみの中
何故 少年は
指先を触れたのだろう?
通行止めに出くわし
一瞬
シコウガテイシシタ
通いなれた路のはずが
突然迷路と化す
日が落ちる夕暮れの始まりに
こっそり手のひらに書き込んでいた
道順が汗で半分
消えていた
教えて
お願いダ
この暗黙の了解から
抜け出す地図を
少年だった誰かが
こめかみに手のひらを当て
ピストルの形で引き金を引く
久しぶりに会った
握った手に
友人は驚き
「硬い手になったな」
と笑った
「お願いだ
消えてなくならないで」
名前すら忘れた
年老いたSF作家
彼女も
確か自宅で引き金を引いた
違いは彼が空想で遊び
彼女が本物で引いたこと
それだけさ
怯えている
手のひらに握り締める物に
忘れたはずの名残は
不意に脳裏を霞め
柔らかな伝染病の様に
いつしか致命的な思考の方向性
架空の物語
夢のまどろみの中
何故 少年は
指先を触れたのだろう?
通行止めに出くわし
一瞬
シコウガテイシシタ
通いなれた路のはずが
突然迷路と化す
日が落ちる夕暮れの始まりに
こっそり手のひらに書き込んでいた
道順が汗で半分
消えていた
教えて
お願いダ
この暗黙の了解から
抜け出す地図を