眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

星影

2008-05-30 | 
雑多な視線が
 通りすがりに無関心な一瞥をくれた
  穏やかな無視
  哀れみを覘かせる瞳
  嫌悪感に紛れた視線

 僕等は夜の海沿いの路に車を止め
 ケチャップとマスタードのたっぷりと入った
 ホットドックを齧っている

  暑い

 午前中はそんな日だった
  太陽は容赦なく照りつけ
   僕は心を消毒されたようだ

   電磁波の影響で連絡網は絶たれた
  
    夜の海も良い
   椅子を並べて友人と話し込む
  いい天気なら
 多分 満天の星空が降ってくる
  
   哀しい引力で流れ星が地面に到達す

    ひんやりと心地よい風が噂を教えてくれるのだ

     たまにヘッドライトが僕等を照らす
     それだって稀な場所だ
     星が雲に隠れた

     W・ブレイクなら自然の神秘に
    美しき意味を持たせ
   彼等と話が出来たのだろうか?

  星の光は
   たまに見るこの時期
    僕を救う

  ホットドックも食べ終えた
   煙草に灯を点けた


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一輪の花

2008-05-29 | 
氷河期の哀しみに似て
 模索した白黒フィルムの虚像の構築
  あなたに会えない哀しみは
   アンモナイトの化石の如くに静かで
    ふいに思いもかけない苦しみに似合うのだ
     泥酔の夜
      青い月光の世界
       点で記された値をグラフに表して
        表記された関数の
         その真意は未だ足りぬアルコールの温暖化
          地表は乖離された異世界で
           月から眺めたこの星は
            まるで君の横顔の様だったのだ
  
            様変わりした街の風景を吟味する
           あの二階にあった喫茶店も
          いつの間にか記憶の断層へ
         全ては流れ去り
        忘却の代償は孤独の刹那
       君に会いたい
      「グレープフルーツ」をいつでも
     小脇に抱えていたね
    読書家だった君に世界の狭間を
   こっそり教えようね
  封印された魔術
 僕が味噌っかすだった魔法使いだった事も
君が泣き出しそうな時
 心をこめてアルペジオでささやいたんだ
  もう泣かなくていいよ
   君に詩を送るから
    魔法の術式は微分積分の公式のように
     氷は氷解する
      君の唇から発せられる呪文の名のもとに 
       アルカディア
        アヴァロン
         ゲツセマネの園で無心に祈るべきだろう

               「コノ苦杯ヲ飲み干サナケレバ」
               
                混乱している水深二百カイリ
                暖かな紅茶で冷えた体を暖めるのだ
                困惑した情緒
                感情失禁
                誰かが流したデマ
                作り笑いの微笑
                仮面を被った告白
                ミヒャエル・エンデが「モモ」を描いた

               笑ってみせる表装は自堕落で
              魔法を忘れた魔法使いは
             道化の素振りで皆を笑わせる
            新しいローマ教皇の名は?
           ドイツでは意外とシニカルな月
          なんてったってニーチェがいたからね
         魔法の読解能力があるのなら
        きっと君にも伝わるのだろうか?
       年が流れ行くのを
      瑣末な事象
     永遠の孤独はわずか十秒に過ぎない
    瞬間は永遠で
   たとえば図書館の窓から
  眺めていた記憶を想い出す
 もう帰れない

水族館の深海魚
 プラネタリウムのオリオン座
  そんな名前の映画館がその昔に存在していた
   水深三千メートルの意識の観察
    誤解を恐れずに云うのであれば
     君は大好きな友達だった
      かけがえの無い
       大切な僕の友達
        忘れてしまった魔法のノイズの様に
         君の顔が霞んでゆく
          いつもと同じ風景の描写
           僕は野良猫で
            閉ざされた空間から部屋に入れない
             どうしてだろう?
              こころは閉ざされ意識は封印された宵の口
               

            僕は彷徨っている

           無数の星空

          天体観測の真意
 
         氷河期の哀しみと
        もう忘れてしまった魔法には意識の領域は届かない

       もしも魔法を思い出したなら

      君に曲を創って送ろう

     一輪の花のように

     


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境界線

2008-05-26 | 
境界線の向こう側は
  天国と呼ばれ
   こっち側は地獄と呼ばれる

両極端の極性の真ん中を取るとするならば
  現世は中庸と鑑みる

まるで気のない返事のように
 人の気配が
  奇妙にざわつく

    静けさが欲しいんだ

  「庭いじりも人生も耐えることが大切なの
    若い人たちはそれを嫌がるけれどね」

  90歳の老婆が優しくまるで童女のあどけなさで微笑み
    草木の手入れをしながら
     そう云った

ざわめきはけだるい
  いつか信じた何かが間違いのような気になる

    諦めては駄目さ

少年は路上に落ちている石を眺めて
    おなじと想った
   一緒に歩く少女にその石を贈る

              境界線
             僕らはどこへ向かうべきなのか?
              巡礼に向かう
             人々があっけなくこの世をさり
             神になろうとして 人の人生を滅茶苦茶にした男が
              美味そうに朝飯を食べる


 境界線
その狭間で
 僕は呼吸する
     日々のいくらかの雑事に
      心地よく振り回されながら

               let it be



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白い羽と目覚まし時計

2008-05-17 | 
白い部屋に
 羽の折れた天使がうずくまる
  大理石の床に
   真っ白な羽が散乱している
    僕は金の燭台のロウソクの灯りで
     部屋を見渡していた

  平衡感覚の鈍い僕は
   薄明かりの深夜
    壁に頭をひどくぶつけた
     それを見て
      天使がクスリと笑う
     
    道化師かい?

   普通の人間さ
  普通じゃないってよく云われるけどね

 僕はワインのボトルとグラスを二本用意した

   天使ってお酒のむのかい?
    そりゃあ飲むさ
     神様だって葡萄酒はわれの血である、って云ってた
      それに
     羽のない天使なんて
    天使じゃないよ

  それで僕らは乾杯しワインを飲み干した
 天使は何故自分の羽が折れたのか
切々と語る
 待てよ
  祈りを聴くのはそっちの役目だろう?
   いつも祈りを聴いているんだ
    たまには自分のことも語りたい
     そうしてグラスのワインを空にした
  
天使が何を聴くのかしらないけれど
 試しにビートルズの「ラバーソウル」をかけてみた

  いい曲だ 他の奴らは断然モーツワルトが好みなんだけどね
   好きだよこのレコード

   君さ、だから羽折れたんじゃないの?
  僕が云うと天使は顔をしかめ
 ワインのボトルを僕からふんだくった

それから僕らは朝方まで飲み続けた

  ワインのお礼に
   あんたの祈りを聴くよ
    天使がろれつの回らない声で呟いた
     
     パンはさ、あいにく切らしてるんだけど
    僕が云うと
   大丈夫 聖体はいりょもパプテスマも要らない
  大事なのは
 真剣に祈ることだからね
そう応えて三本目のワインの残りをグラスに注いだ
 それに葡萄酒はあるわけだから

   それで何を祈る?

  天使が僕の瞳を覗き込んだ

  僕は

  僕は


           目覚まし時計が鳴った

           僕は夢から醒めた

           夢から醒めたんだ




  
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カップラーメン

2008-05-03 | 
ジミー・ページの妖しい音色
 レスポールを魔法の様に自在に操る
  精神も空間も感情もコントロールしてしまう
   酔いどれた空き瓶に囲まれつつ
    ボンゾの激しいドラミングに身を委ねた
     音階が異質な音を辿り
      ノイズが爆音と共にシャッフルした
       壊れかけの機械箱
        薄れ逝く記憶
         駄目だ
          今夜も

         深夜にツェッペリンを眺めるのに
        昼間の車ではナイジェル・ノースのバッハを聴く
       リュートの音色はいつだって完璧だ
      繊細なガラス細工の様
     或いは
    人知れず泣いた君の壊れやすい心
   心拍数がバスドラムのリズムに合わせ鼓動する
  甘いキスの様な贅沢なフィードバックも
 空間が歪む
世界が再構築される
 其処はたぶん君が居たはずの空間
  柔らかな景色を拒絶した哀しみのエコー
   特殊奏法を駆使して
    斬新ななアイデアだと
     ブロン液を飲み干した馬鹿げた遊び
      ちいさなライブハウスで
       試験管に入った緑色の液体を飲み干す
        「神風」
         500円もするのだからね
          馬鹿げた代物さ
           ギターリストがバーボンを煽って冷やかした

           帰って。

         壊れやすい心

        壊れ物の扱いには十分気をつけるように

       説明書をよく読んでいなかったのだ
      使用法の分からない機械群
     たまに接続が上手くいく
    接触不良かな?
   ドライバーをくわえて君はアンプのチューニングに手を焼いた
  僕はお腹が空いたので
 カップラーメンを食べていた

いつもカップラーメンを食べていた気がする

 孤独の夜空
  あの遠い記憶
   分数の掛け算割り算
    伸びた爪を切らなくては
     ポタラ宮で買ってくれたお土産のお守り
      吸いかけの煙草が灰になる
       映像はドラムソロ
        いちばんの見所さ
         カップラーメンを食べる手が止まった

          仕方ないよね

           のびた麺だって
            無理やりに腹に詰め込む

             音楽の腸詰め

             馬鹿馬鹿しいくらい音楽に憧れた




    
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さんまの焼ける頃

2008-05-02 | 
誰が死んだ
 誰が死んだ
  青い月の夜
   この夢の中で


     (種類の違う煙草を吸って
       少年の夢にまどろむ


       波止場の安いホテルに
        チェックインした)



   知らない 何処かの
    楽園に似た場所
     風に吹かれて
      遠く
       遠く

        波止場の夕暮れ
       みんなの帰る頃
      あしたは何処へ行こう
   
     さんまの焼ける音
    子猫の鳴き声
   いつまでも夢をみてる

 誰にも見えない
場所を探して
 三日月の夜は
  遠く 
   遠く

    できるなら君に
     手紙を書いて
      さんまの焼ける頃

        さよならを
         云いたかった



         (onegaida
          kokoha sukosi
          samusugirunnda・・・)













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