今から40年前、昭和39年(1964年)のNHKの大河ドラマ「赤穂浪士」は、長谷川一夫が演じる大石内蔵助(くらのすけ)、山田五十鈴 滝沢修 林与一、舟木一夫 ほかが出演したものでした。
芥川也寸志の迫ってくるテーマ音楽と伴に、長谷川一夫のセリフ『おのおの方・・・』の声の響きは、今でも私の耳に残っています。
あだ討ちは、日本人が長い間 精神のよりどころにしてきた日本人ならではの「生死の美学」ではなかったかと思うのです。そんな「忠臣蔵の魅力」は何だったのでしょうか。
あだ討ちの許可が行われたのは基本的に武士階級であり、特に父母に仕える子のなせる所業では、褒めたたえられることが多かったようです。
やがて、明治になると、司法制度の整備が行われ、「敵討禁止令」が発布され、江戸時代に行われた「あだ討ち」は禁止されました。
司法制度に従うといっても、被害を受けた人々が法によって全てが救われるのか、といっても被害を受けた人の考え方次第ではないでしょうか。
安倍元首相を銃撃した山上容疑者が、「母親の統一教会への献金によって家族が崩壊した」と供述したことが報じられ、司法制度の不備が多額の献金問題を取り上げるようになったと、今月10日「被害者救済法」が成立しました。
現代の「あだ討ち」を思わせた山上容疑者によって、元首相の命と引き替えに、「霊感」を用いて不安につけこんだ寄付の取り消しや、生活に不可欠な資産の処分や借金によるカネの調達を要求することも禁じた法律でした。
新法が成立したとはいえ「抜け道」によって、再びこのような事件が起きないよう、議論を進めることも大切です。