58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田さんの再審が始まりました。「5点の衣類」の血痕の色について専門家の証人尋問が3月25日から始まりました。
事件の発生から1年2カ月後に現場近くのみそタンクから見つかった、「5点の衣類」に付いていた血痕に赤みが残っていたことが不自然かどうかが、最大の争点になっています。
捜査機関が証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあるというのです。もし、そうだとすると、検察、警察は全力を挙げて当時の経緯を調べて真相を明らかにする責任があります。証拠をでっち上げてまで犯人に仕立て上げねばならなかった組織の状況があったとしたら、許されない国家犯罪ではないでしょうか。ならば逮捕によって、真犯人を取り逃がしていたことになるのです。
捜査機関は、社会の安全と秩序を守るために絶大な力を持っています。したがって、権力の行使については公正・公明でなければなりません。大阪地検特捜部による郵便の不正事件と押収資料改ざんがあった事件を思い出させます。
袴田さんは初公判から無罪を主張し、再審を求めて余りにも長い年月がたちました。一方、殺害された被害者の親族の心境を思うと、思いを晴らすことができず、せつなく、つらく悲しい事件です。