過去10年ほど前から労働現場で高学歴の人による「学歴インフレ」が起きていると話題になって来ましたが、日本だけでなく、お隣の国、中国や韓国でも大卒現業労働者が急増し、産業の実情に合った人的配置ができず、容認せざるを得ない状況下にあるようです。
日本の伝統文化を重んじる大相撲の世界でも、幕内力士42人中、大卒19名と約半数を占めています。過去には義務教育を終えると各部屋へ即入門するという時代があったのですが、高校や大学の相撲部で活躍し、角界へ進むという学生が増えたことによるものでしょう。
人口の減少と高学歴が進み、誰が現業労働を担うかは切実な課題だと思います。春闘で今までにないベアを獲得して消費拡大を進めるものの、2次下請け、4次下請けなど、重層下請構造の建設業では、賃金引上げの恩恵が受けられるかどうかでしょう。
現業労働者へ高学歴者の過剰な供給は、向学心に燃える若者の大学進学を制限するのではなく、企業が受け入れる段階で卒業生とよく話合って、双方が納得する方法で選択すべきです。
現業労働者として、外国人労働者の受け入れは既に行われていますが、安易に日本の実情に不慣れな労働者を受け入れれば、現場で労災事故に巻き込まれる恐れがあります。
大卒の現業労働者に対応し、企業は職務体系を思いきって変え、全職務に大卒比率を振り向け、あえて外国人労働者の採用をしなくても済むよう努力すべきだと思うのです。