伊勢原の地名に板戸というのがあって、そこには細い野川めいた板戸川が流れている。川筋はコンクリートで固めた護岸もあれば、昔のままの畑沿いに傾斜した土手も混じっている。今頃は川べりの梨栽培園に咲き誇る白い梨の花が風に揺れている風景が視界に入ってきて気持ちがよい。下流がどこへ流れこんでいるのかは調べたことがないが、きっと平塚の大きい河川の一つの花水川あたりへつながっているのではないかと勝手に推測している。
付近に設置してある市の環境課が作った掲示板の写真説明付生物分類を時々眺めることにしている。どこかに湧き水があるらしく川エビや海のハゼにそっくりな「よしのぼり」「ひがい」のような琵琶湖水系に生息する淡水小魚までいるらしい。当然だが、鯉、銀鮒、オイカワ(やまべ)油ハヤ、ハヤなども住んでいる。それらの清流魚を眺めてみたくなって、休憩時間などに工場裏の川が直角に折れ曲がるポイントを訪問している。ここを棲家にしているのはハヤである。小は5センチ、大は15センチがいつも群れを作っている。総計では30匹くらいが元気に泳ぎ回っているのを毎週一回目視する楽しみがあるが、冬場はどこか深みに身を隠していたようだ。水温が温まって小魚の順から動きが活発になっている。
ハヤの敏捷性を愛でてから川と遊歩道付近の自然観察をしばらくすることも、日曜日らしい慰藉の一つになっている。夏にイガイガの赤い実をつける桑の大木をふと見上げたら紫色の花に覆われている。桑の花はたしか粒粒の胞子めいた訳のわからない形の筈だ。よくみると群生する紫花は桑の幹を巻いている蔓のような茎から咲いている。これは変だと思って、実物の枝をもいで持ち帰ってから調べることにした。読書ついでの必須携行品が野鳥、植物、魚類、料理用和仏事典の類である。それらさえあればいかなるときでも飽きることがない。蔓と紫と三弁という特徴でキイワードを絞っていったらすぐに判明した。なんと珍しい。「あけび」の花である。地味で美しい気品の花にしばらく見惚れる。
またいつもジャスミンが咲き零れる工場のフェンス下の繁みでは五弁の白い野茨(のいばら)まで顔をのぞかせている。桜が咲き出す季節にはちゃんと伏流に自然界の豊かな多層性を知るにふさわしいよい花も揃うものである。犬の散歩者とウオーキングする人くらいしか通行しない場所である。桑の木などを注視しているのは変人の自分くらいのものであろう。去年は見逃してしまったが、アケビは食べるよりも飾って見て楽しむ色調だ。先行者にやられる前に今年はゲットしてやろうと思っている。
付近に設置してある市の環境課が作った掲示板の写真説明付生物分類を時々眺めることにしている。どこかに湧き水があるらしく川エビや海のハゼにそっくりな「よしのぼり」「ひがい」のような琵琶湖水系に生息する淡水小魚までいるらしい。当然だが、鯉、銀鮒、オイカワ(やまべ)油ハヤ、ハヤなども住んでいる。それらの清流魚を眺めてみたくなって、休憩時間などに工場裏の川が直角に折れ曲がるポイントを訪問している。ここを棲家にしているのはハヤである。小は5センチ、大は15センチがいつも群れを作っている。総計では30匹くらいが元気に泳ぎ回っているのを毎週一回目視する楽しみがあるが、冬場はどこか深みに身を隠していたようだ。水温が温まって小魚の順から動きが活発になっている。
ハヤの敏捷性を愛でてから川と遊歩道付近の自然観察をしばらくすることも、日曜日らしい慰藉の一つになっている。夏にイガイガの赤い実をつける桑の大木をふと見上げたら紫色の花に覆われている。桑の花はたしか粒粒の胞子めいた訳のわからない形の筈だ。よくみると群生する紫花は桑の幹を巻いている蔓のような茎から咲いている。これは変だと思って、実物の枝をもいで持ち帰ってから調べることにした。読書ついでの必須携行品が野鳥、植物、魚類、料理用和仏事典の類である。それらさえあればいかなるときでも飽きることがない。蔓と紫と三弁という特徴でキイワードを絞っていったらすぐに判明した。なんと珍しい。「あけび」の花である。地味で美しい気品の花にしばらく見惚れる。
またいつもジャスミンが咲き零れる工場のフェンス下の繁みでは五弁の白い野茨(のいばら)まで顔をのぞかせている。桜が咲き出す季節にはちゃんと伏流に自然界の豊かな多層性を知るにふさわしいよい花も揃うものである。犬の散歩者とウオーキングする人くらいしか通行しない場所である。桑の木などを注視しているのは変人の自分くらいのものであろう。去年は見逃してしまったが、アケビは食べるよりも飾って見て楽しむ色調だ。先行者にやられる前に今年はゲットしてやろうと思っている。