先日、まとまった話が旧友3人と自分を足した秋晴れミニツーリングだ。板橋のYさんが250cc、港北のHさんが250cc、北鎌倉のDさんが90cc、自分は70ccの原付2種というなんとも不揃いなバイクが参集するというラインアップである。逗子の中華&生そば店「高雄」に集まって腹ごしらえしてから、Hさんが提案の開高健記念館まで一走りしようということで一致する。時間の約束事ではパンクチュアルな連中ばかりだ。座間、大和、長後、藤沢、鎌倉、逗子という手慣れたコースを街のチョイ乗り感覚で走って来たが所要時間は1時間と強かかる。
予想よりも早めに到着したが他の二氏はもっと早く着いてすぐ前のコーヒー店「きりぎりす」でコーヒータイムをしている。これに便乗したが飲んでみたコーヒーの優れた焙煎力と香り高い味覚に驚く。コーヒーカップも素晴らしい。仕入先の農園産地名を明示してあり、形の異なる珈琲豆の麻袋、ポリ袋が店内にぎっしりレイアウトされいかにもコーヒー命というパッションが漲っている小さなお店に好感を感じた。
「高雄」での腹ごしらえはこのまえが五目麺だったから、チャーハンを注文する。さすが「高雄」だけあってほっこりした焼き飯の火加減が絶妙だ。これまた香料の効いた細片のチャーシューをすくいながら噛みしめるアタリのメニューだった。
逗子からの134号海岸道路は土曜日の観光渋滞が腰越漁港付近まで断続している。90ccのDさんによる地元土地勘を頼って山の上にある住宅街の迷路風迂回道を追随していたら江ノ電の「鎌倉高校前」の下り坂に出くわす。ここから江の島、辻堂、茅ヶ崎までの海岸道路は渋滞もなく気持のよいツーリング気分に浸ることができた。菱沼海岸に近い「開高健記念館」は58歳で逝去した開高健の旧宅を一般公開したお洒落な洋館である。
今は茅ヶ崎市に移管されているらしい。湘南海岸特有の松林はこの洋館付近にも点在している。生原稿、書斎、初出掲載雑誌、単行本、大型渓流魚の剥製、膨大な秘蔵ワインなどの良質展示品にしばし見惚れる。「裸の王様」「夏の闇」「フィシュオン」「ベトナム戦争従軍記」等を愛読した時代をふと思い出す。またNHKで老作家になった井伏鱒二へのインタビュー時に敬意を込めて接している開高健のテレビ画像に映ったこれまた良質な眼差しも想い出す。
洋館を彩る名コピーライター、名作家ならではの箴言を刻んだ碑板も味わいがあるから、暇がある人には是非訪問してほしい静かな名所である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます