こんにちはー、ほりかわです
台風のせいか松山でも天気が崩れがちで「今までの猛暑はどうしたの?」というくらいに小雨が降る今日は、秋の訪れを感じるほど暑さが和らいでいます。
例年とは違う台風の進路に不安も感じます。大きな災害にならないよう祈るばかりです。
さて、今回は親子でよみたい平和の絵本ということでタイトルを打っておりますが、
先月の皿ヶ嶺ハイキング(http://blog.goo.ne.jp/shinfujinehime/e/069ea46aee68aad51f771554b367e125)で
読んだ紙芝居2作品にたどり着くまで十数冊ほど絵本を読み比べしていたので、
「どんな本を読んだのか、どんな作品だったかをまとめてみては? 今後親子リズムでの読書にも役立てたい」と松山支部の事務局長さんに打診を受けまして、
読んだ絵本の感想も含めてまとめることになりました
いわゆる大人になってからの自由研究かなぁと思っております
個人的な意見なので、ご参考までに。
7月上旬、県の子ども子育て部会の打ち合わせで「絵本タイムに何を読むか?」を相談していたところ、
参加予定の子どもたち(3,4歳中心、小学中学年まで予定)に向けた・平和を考えるテーマの絵本を「持ち合わせていない」「どんなものがあるのかわからない」ということがわかりました。
打ち合わせのなかで読ませてもらった『かわいそうなぞう』http://www.ehonnavi.net/sp/sp_ehon00.asp?no=140&spf=1 は、1970年発行の名作です。
太平洋戦争中の東京・上野動物園でゾウが戦時猛獣処分を受けた実話をもとにしています。
絵もキレイなのですが、「色彩が暗いかなぁ」「3歳の子には長すぎるかなぁ」「ゾウが死んじゃうと悲しすぎて泣いちゃうかな」ということで新しく探すことにしました。
絵本に詳しい方のアテがあったので、小学校で読み聞かせをされている知人のMさんに「小さい子向けの平和を考える本で思いつくものありますか?」と質問してみました。
Mさんは「実話だと感極まって私が泣いちゃうので、寓話的なお話で今思いつくのはこれだけだけど…。」と、
『せかいでいちばんつよい国』
http://www.ehonnavi.net/sp/sp_ehon00.asp?no=7805&spf=1 と
『のばら』
http://www.ehonnavi.net/sp/sp_ehon00.asp?no=27950&spf=1 を紹介してもらいました。
『せかいでいちばんつよい国』は、『ぞうのエルマー』シリーズでおなじみのデビット・マッキーさん(英)作の絵本。
光村教育図書 2005年発行 訳はなかがわちひろ
かわいらしい絵とは裏腹に、内容はピリっと風刺がきいている作品でした。
大きな国が「世界の人々を幸せにするため」に、次々と隣国を征服していく…というお話です。
内容を理解するなら、小学校中学年以上に向けて読みたいな、読後感を子どもたちに聞いてみたいなと思う作品です。
『のばら』は、国境を見張る老兵士と若い兵士のお話。
海外のお話のようですが、原作は小川未明さん、日本のお話です。
平和かみしばいとしてリバイバルされたようで発行2005年(童心社)となっていましたが、作品自体は30年くらい前からあるようです。
ハイキングでの読み聞かせの後、参加者の子育て世代の会員さんから「このお話は、小学校の授業でやったよ。お話の最後がちょっと違ったけど。」と声を掛けてもらいました。
紙芝居は12ページあり、せりふなどもしっかりありましたが、3,4歳の子もじーっと見てくれていました。
絵が色彩豊かで穏やかなタッチだったので、こわい印象を持ちにくいけれど、平和について考えるきっかけになる、老兵士の「戦争さえなければ」の思いがつまった作品だと思いました。
その後は「絵本ナビ」http://www.ehonnavi.net/sp/sp_default.asp?spf=1 というサイトを見つけて、
絵本ナビ「平和をかんがえる絵本 特集」http://www.ehonnavi.net/sp/sp_special.asp?n=775&spf=1 の中から気になる作品を拾い出して、
愛媛県立図書館・松山市立図書館で蔵書があるものをかたっぱしから借りていきました。
<平和について考える>
『ピース・ブック』
2007年発行 童心社
トッド・パール作・絵 堀尾輝久訳
小さな子向けの考える絵本。
「へいわってこんなこと」と具体的。
こんなこともへいわ、こんなこともへいわ…。日本国憲法の前文にもつながる内容だと思いました。
絵もかわいく、幼稚園年少さんからでも一緒に読めます。
『ちきゅうはみんなのいえ』
2005年 くもん出版
リンダ・グレイザー作 エリサ・クレヴェン絵 加島葵訳
絵がキレイです。
戦争や平和がテーマというよりは、環境問題・地球はつながっているというメッセージ性の方を強く感じました。
幼稚園年中以上向けだと思います。
『へいわのうた』
2006年発行 講談社
サム・ウィリアムズ作 ミク・モリウチ絵 中川ひろたか訳
「ちきゅうはみんなのいえ」とテーマも近く、描き方も近いと感じる作品でした。
絵は「ちきゅうはみんなのいえ」が水彩画調なのに対して、こちらはどちらかというとマンガ風で「ピース・ブック」寄り。
幼稚園年少以上から向けだと思います。
『おとうさんのちず』
2009年発行 あすなろ書房
ユリ・シュルヴィッツ作・絵 さくまゆみこ訳
作者が、画家として歩み始める原点を描いた自伝的絵本だそうです。
戦争で故郷を追われ、過酷なくらしをしていた時期に父が持ち帰った世界地図で想像の世界が広がったというお話。
「想像力は、生きる力」とのメッセージより、
過酷なくらしの描写がつらくて世界の紛争地、難民キャンプで暮らす子どもたちのことを思い考えました。
世界の紛争地や貧困について考える時に読みたい1冊だと思いました。
小学生以上向けだと思います。
『なぜ戦争はよくないか』
2008年発行 偕成社
アリス・ウォーカー作 ステファーノ・ヴィタール絵 長田弘訳
哲学的な問いかけの文が多く、視野が広がる作品。
小学生高学年以上向きだと思いました。
絵が素晴らしい。
『へいわってすてきだね』
2014年発行 ブロンズ新社
安里有生 詩 長谷川義史絵
沖縄の小学1年生の男の子のかいた詩に、長谷川さんが絵をつけた作品です。
素直なことばにはっとさせられます。
今の沖縄のことも一緒に考えながら読みたい作品。
一緒に読むなら5歳くらいからでも読めると思います。
長谷川さんの絵本では他に『ぼくがラーメンたべてるとき』2007年発行 教育画劇もいいですね。
『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』
2015年発行 朝日新聞出版
自由と平和のための京大有志の会 文 塚本やすし絵
安保法案反対のために京都大学で結成された「自由と平和のための京大有志の会」、
その「声明書」は各言語・子どもことばでもネットでアップされて大きな反響を呼びました。
その子どもことばの「声明書」に、絵が添えられたという作品。
小学高学年以上の子に「去年(2015年)日本で何が起こっていたか」を伝えるのに最適な1冊だと思います。
<戦争について知る>
『さくら』
2013年発行 童心社
田畑精一作
童心社さんの日本・中国・韓国の絵本作家が手をつなぎ、子どもたちにおくる平和絵本シリーズの1冊。
このシリーズの絵本は、どれも作者さんの思い入れが強いようで読んでいて気圧される感じさえします。
さくらの季節に生まれた男の子の一生を、太平洋戦争とリンクさせて描いています。
学校で太平洋戦争の学習をしたあと、もう一度読んでほしいなぁと思う作品です。
ちょっとこわいと思うところがあり、小学校中学年から向けだと思いました。
『ぼくのこえがきこえますか』
2012年発行 童心社
田島征三 作
『さくら』と同じく、日本・中国・韓国平和絵本シリーズの作品です。
この作品は、とにかく絵がスゴイです。
主人公の悲しみ・悔しさがダイレクトに伝わるようで感極まって私は読み聞かせできないと思います(他の挿絵であればできるかもしれませんが)。
戦争で死んでしまった兵士が家族を見守るというストーリーですが心揺さぶられます。
小学生以上、繊細な子だともうちょっと大きくなってからの方がいいかもしれません。
『いわたくんちのおばあちゃん』
天野夏美作 はまのゆか絵 主婦の友社 2006年発行
実話に基づくお話です。
被爆したいわたくんのおばあちゃん、その被爆体験を聞く会のお手伝いをするおかあさんが出てきます。
原爆・被爆について描かれていますが、絵がキレイなのでこわくない。
家族をおもうこと、だれかの気持ちをおもうことが描かれていて、主人公と同じ4年生からの子と一緒に読みたい作品です。
『いのりの石』
2015年 フレーベル館
こやま峰子文 塚本やすし絵
広島の原爆のお話。
かたりべは、広島電鉄のしき石。
被爆したしき石は、祈りの石として、彫刻をほどこされ
平和希求のシンボル・メッセージとして世界各国へ送られているそうです。
被爆体験を新しい切り口から知ることができた作品でした。
小学生以上向け。
『だっこの木』
2011年発行 文溪堂
宮川ひろ 作 渡辺洋二絵
浅草の戦災樹木を題材にした絵本。
ある家族と出会ったイチョウの木ですが、戦争がはじまってしまい、その家族の安否を心配するというお話。
ほのぼのとした絵ですが、読後感はじんわりきます。
小学生以上向けだと思います。
『ちいさなへいたい』
2009年発行 朔北社
パウル・ヴェルレプト作・絵 野坂悦子訳
兵士として駆り出された主人公が生き延びて、戦争が終わってもトラウマを残しながら余生を生きるお話です。
淡々と描かれていますが、それがかえって反戦のメッセージを伝えているようにも思います。
どんな生き方をしたいか、戦争が何をもたらすのか、読んだあとにじっくり考えたくなる作品です。
小学生以上向けだと思います。
<平和について考える寓話>
『おうじょさまとなかまたち』
2008年発行 鈴木出版
アローナ・フランケル作・絵 もたいなつう訳
やさしい色調の絵の寓話です。
異質な性格の住人とどう向き合うか、または赦すということがテーマだと思いました。
作者はポーランド生まれのユダヤ人で幼い日にホロコーストを経験したと紹介されています。
幼稚園年中くらいからでも読んであげられますが、ホロコーストの知った後にもう一度手に取りたい作品だと思います。
『ニャンコ、戦争へ』2005年発行 小学館
菊地秀行作 平松尚樹絵
大人向けの絵本。
子どもを戦地に行かせたくない人間の都合で、戦地に向かわされることになったペットの猫たちのお話。
猫ブームの今、「この世界観、どう思う?」と多くの人に読んでほしい作品です。
小学校高学年から中学生以上向けだと思います。
『なぜ戦争をするのか?六にんの男たち』1975年発行 偕成社
デビッド・マッキー作・絵 中村浩三訳
これは蔵書がなく読めなかった本だったんですが、デビッド・マッキー作とのことで期待大の作品。
誰かお読みになった方、感想教えてください!!
小さい子(3.4歳から)中心に作品を選んだので、しっかり文章があるもの・内容が難しいものは選考外ですがいかがでしょうか?
(私自身(1980年代生まれ)の思い出としては、小学校のときに授業でならった『ちいちゃんのかげおくり』が戦争を教えてくれる作品として印象に残っています。)
そして、ハイキングで読んだ作品は、「大人数が観れるもの」で「こわくない」という基準で選び、
紙芝居2作品、上記紹介の『のばら』と、原爆投下についてかかれた『平和かみしばい 二度と』(童心社)でした。
当日は、予想外に3歳から小学中学年、中学生まで幅広い年齢の子どもが集まり心配していましたが、小さい子たちもお兄ちゃんお姉ちゃんたちもじーっと聞き入ってくれたようでした。
最後に、こんなまとめも。
NAVERまとめ「戦後70年。もう一度読みたい戦争と平和の絵本と本20選」
http://matome.naver.jp/m/odai/2143572990651980101?page=7
『かわいそうなぞう』
つちやゆきおぶん たけべもといちろうえ
『ちいちゃんのかげおくり』
あまんきみこ作 上野紀子絵
『ひろしまのピカ』
丸木俊作
『チロヌップのきつね』
たかはしひろゆき 文・絵
『まちんと』
松谷みよこ文 司修絵
『ななしのごんべさん』
田島征彦 吉村敬子 作
『まっ黒なおべんとう』
児玉辰春作 北島新平絵
『絵で読む 広島の原爆』
那須正幹文 西村繁男絵
『8月6日のこと』
中川ひろたか文 長谷川義史絵
『おとなになれなかった弟たちに…』
米倉斉加年
『ガラスのうさぎ』
高木敏子作 武部本一郎画
『ぼくが見た太平洋戦争』
宗田理
『いしぶみ 広島二中一年生 全滅の記録』
広島テレビ放送編
『ぼくは満員電車で原爆を浴びた 11歳の少年が生きぬいたヒロシマ』
米澤鐡志語り 由井りょう子文
『おかあさんの木』
大川悦生作 箕田源二郎絵
『ヒロシマの風 伝えたい、原爆のこと』
吉永小百合編 男鹿和雄カバー絵・挿絵 YUME挿絵
『ひめゆりの塔』
石野径一郎
『少年口伝隊 一九四五』
井上ひさし
『八月がくるたびに』
おおえひで作 篠原勝之絵
『白旗の少女』
比嘉富子著 依光隆絵
メルヘンハウス「戦争の絵本。夏休みに読むべき絵本10冊」
http://www.meruhenhouse.co.jp/6584.html
『せんそうしない』
谷川俊太郎文 えがしらみちこ絵
『はらっぱ』
神戸光男 構成・文 西村繁男絵
『オットー 戦火をくぐったテディベア』
トミー・ウンゲラーさく
『へいわってすてきだね』
『8月6日のこと』
『なぜ戦争はよくないか』
『さがしています』
アーサー・ビナード文
『ヒロシマに原爆がおとされたとき』
大道あや
『六人の男たち なぜ戦争をするのか?』
『ぼくのこえがきこえますか?』
まとめは、どちらも2015年の記事ですが、今年になってこういう「夏に戦争や平和ついて考える」雰囲気が極端に低下しているように感じます。
気のせいならいいのですが。
長々となりましたが、ご参考になればさいわいです。