知り合った女の子が、
オルゴールを持っていた。
その音色を聞かせてくれた。
「友達もオルゴールを持っているんです。
その友達も、小樽で誰かに、一人でも多くの人にオルゴールを聴かせているはずなんです。
そう思うと、なんだか力が出てくるんです。」
飲み会の席で酔っていた人々に唐突に出された透明な箱に入ったオルゴール。
酔っていたこともあり、なんだか素直に聴いてしまった。
言っている意味がわからない。
でも、きっと彼女には意味のあることなのだろう。
いろいろと疑問があったが、何も聞かなかった。
正確には、聞けなかった。
その彼女は、そのオルゴールに何か思い入れがあるらしく、
真剣なまなざしであった。
「この子にとっては何か重要なことなのだろうな」
そう考えたがしかし、
さて自分にはこういう大切なものがあるのかどうか。
たとえば友情の証の品物など。
何にもないなぁ。
物にこだわらないことがこだわりの自分にとって、
そういう思いのこもったもの、証というものが
ないということがうすら寂しく思えた。
大切なものは目に見えないものだし、
孤独の道を選んでいるのは自分だろと、
グラスに残った酒を飲み干した。
青春は遠くになりにけり。
いつもより酒が苦い気がした。
オルゴールを持っていた。
その音色を聞かせてくれた。
「友達もオルゴールを持っているんです。
その友達も、小樽で誰かに、一人でも多くの人にオルゴールを聴かせているはずなんです。
そう思うと、なんだか力が出てくるんです。」
飲み会の席で酔っていた人々に唐突に出された透明な箱に入ったオルゴール。
酔っていたこともあり、なんだか素直に聴いてしまった。
言っている意味がわからない。
でも、きっと彼女には意味のあることなのだろう。
いろいろと疑問があったが、何も聞かなかった。
正確には、聞けなかった。
その彼女は、そのオルゴールに何か思い入れがあるらしく、
真剣なまなざしであった。
「この子にとっては何か重要なことなのだろうな」
そう考えたがしかし、
さて自分にはこういう大切なものがあるのかどうか。
たとえば友情の証の品物など。
何にもないなぁ。
物にこだわらないことがこだわりの自分にとって、
そういう思いのこもったもの、証というものが
ないということがうすら寂しく思えた。
大切なものは目に見えないものだし、
孤独の道を選んでいるのは自分だろと、
グラスに残った酒を飲み干した。
青春は遠くになりにけり。
いつもより酒が苦い気がした。