最近のマスコミ報道によれば、政府は福島第1原発敷地内のタンクに貯蔵中の汚染水を1㎞の海中トンネルを掘った上で、やはり2023年春から海洋投棄すべく準備を進めているようです。
私としては、4月16日と18日のこのブログに書き込んだように、このような海上投棄を認める側には到底立てませんが、貯蔵能力などの問題でやむを得ずに海上投棄するというのなら、せめて下記の事柄が国際道義や国民を納得させるためにも絶対に必要だと思います。(一部、以前の書き込みと重複していますがご容赦下さい)
◆国際的な説明と理解を得る
如何に希釈しての投棄といえども、日本における人為的な事故の結果として生じた(自然界に元から存在していたのではない)濾過回収が不可能な物質を、多くの生物を育み人類の共有資産ともいえる公海に投棄しようとしているわけですから、まず下記の点に関して、丁寧な立場説明と国際的な了解を求める行動を起こす。
(1)前首相がオリンピックを誘致するために「福島第1原発の事故は、コントロール下にある」と大見えを切った事が、そもそものウソだった訳ですから、まずこの点を国際社会に詫びて、“完全にコントロールできておらず、どうしても海上投棄をせざるを得ない汚染水があるので、海上投棄を了解してほしい”
(2)この汚染水投棄の実施に当たっては、国際原子力機関(IAEA)などの承認と監視の下で、海洋環境の汚染に繋がらない基準までの処理と希釈を完全に行い、万一これが守れない場合は直ちに海上投棄を中止する。
◆国内的なけじめ
(1)福島第1原発の汚染水対策に対する今迄の経過を、もっと正確に判り易く説明すべきでしょう。
・ALPSで、完全な汚染物質の除去ができているのか? 出来ていないとすれば、その理由は?
・また、完全に除去されていないものは、今後の再処理では完全に除去できるのか?
(一般的には、トリチウム以外の放射性物質が完全に除去されているのは、貯蔵中の処理水の内で20%程度とか言われていますが・・・)
・莫大な費用を投じたといわれる建て屋周辺の凍土処理の効果は、どの程度なのか?
・国際的に海洋投棄が問題を引き起こすと懸念され、海上投棄できない場合の処理水の処分方法は?
(2)最も風評被害の影響を受けると思われる福島・東北・関東地区の漁業従事者や農業従事者への補償/支援方策の明示。
・更に大切なのは、いまだに避難生活を余儀なくされている住民の帰還計画と、帰還できない(或いは、しない)人たちへの補償/支援方策の明示。
最優先事項は、被害を受けている住民の安定した生活支援策であり、この問題をうやむやにした中での汚染水処理などをすべきではないでしょう。
(3)更に、汚染水だけでなく、今まで発生している汚染土壌/汚染物質の処分方法、今後原子炉解体やアルプスの使用に伴って増えてくる、高濃度汚染物質や放射性物質の処分/処理方法なども併せて提示。
◆汚染水の海上投棄に向けたシステム作り
(1)海上投棄しようとしている汚染水の最終品質と、今後の処理主体/監視体制の明確化。
この点については、事故の当事者である東電の社内体質や体制には大きな疑問があるので、東電という組織に品質管理や処理などを担当させるべきではなく、政府や国際機関が容認する機関に当たらせるべきでしょう。
そしてこの組織は、日本政府ではなくIAEAなどの国際組織の管理下に置き、近隣諸国や漁業関係者も含めた透明性あるものとすることが望ましいでしょう。
(2)どうしてもトリチウムが所定の濃度まで下がらない場合や、トリチウム以外の汚染/放射性物質が除去できない場合の処分方法/場所を事前に設定。
(3)敢えて言えば、投棄する処理水の安全性を証明するために、これらの処理水は国内で農産物などにも利用するとともに、福島以外の地域でも放出すること。
できれば、受益者負担の原則に基づき、東電の配電エリア(例えば東京湾とか・・・)全てで分担して処理水を受け持つべきだとも思います。
こんなことを書き込むと、反日或いは非国民との罵りがあるかも知れませんが、大きな問題がある事項に対しては、関係者(国)の不安を少しでもなくすように、できるだけの心遣いをしておかねばならないでしょう。
それが、風評被害を少しでも和らげる道であるとともに、何よりも本当に「美しい国」を目指す国としての信義であり、正に国家の品位だと思います。(まさ)