老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

福島第一原発の汚染処理水の海洋投棄 

2021年04月16日 19時30分06秒 | 原発関係

 予想通りというか、政府は地元だけでなく風評被害を恐れる全漁連の同意もないままに、福島第一原発の汚染処理水の海洋投棄に踏み切ることにしたようです。

 技術的に除去が困難だとされるトリチウムを含んだ汚染処理水を、トリチウムの濃度を国の排出基準の40分の1を下回るように、海水で100~1700倍に薄めて海洋投棄することにするが、国民や国際社会への理解を深めると共に、風評被害に対しても充分な対応をするという事ですが、今迄の政府や東電の姿勢を見ていると、果してこのような言い分を誰が信じるでしょうか。

◆政府としては、“トリチウムは自然界にも存在しているだけでなく、各国ともに原発関係の排水の中には含まれているし、体内では蓄積しないので危険性はない”との見解の様ですが、少し違うように感じます。

・先ず今回の汚染水は「原発事故」という特異な環境で言わば人為的に発生したものであり、自然界に元から存在している物ではないものであり、このような物質を世界中の人の共通財産である海洋に放出することに付いては、世界各国の了解を得る事がまず必要でしょう。

・前の首相がオリンピックを誘致するために「福島第1原発の事故は、コントロール下にある」と大見えを切った事が、そもそものウソだった訳ですし、まずこの点を国民や国際社会に詫びて、原発事故の実態と今後の対策の困難さを正直に話すことが全てのスタートでしょう。

◆その中で、福島第1原発の汚染水対策に対する今迄の経過を、もっと正確に判り易く説明すべきでしょう。
・ALPSで、完全な汚染物質の除去ができているのか? 出来ていないとすれば、その理由は?
・また、完全に除去されていないものは、今後の再処理では完全に除去できるのか?
(一般的には、トリチウム以外の放射性物質が完全に除去されているのは、貯蔵中の処理水の内で20%程度とか言われていますが…)
・莫大な費用を投じた割には、建て屋周辺の凍土処理の効果は、どの程度なのか?
・処理水の処分は、海洋投棄以外の方法ではダメなのか?

◆仮にも、これらの事に対して、ある程度納得できる説明がなされたとしても、今迄の東電の原発に対する対応から判断すれば、東電と言う組織は原発の稼働をする資格がないだけでなく、廃炉並びに汚染水や汚染物質の対応を担うべき資格はないと、多くの国民は感じているでしょう。従って
・東電と言う組織を、今後の原発運転や管理には一切関わらせないとの宣言。
・国際的にも大きな関心を引いている今回の汚染水の海洋投棄については、東電と言う組織ではなく政府が責任を持って構成した新組織が担当する。

◆更にその組織の運営に関しては、
・本当に安全だと言い切れ、関係諸国や国際機関の了解を得られる投棄基準の設定。
・現在の貯蔵水のタンク毎の品質チェックを厳重に行い、そのタンク毎に再処理方法を定めた上で、再処理後の再検査で希釈倍率や方法を定める。
・どうしてもトリチウム以外の放射性物質が除去できない場合の処分方法/場所を事前に設定。
・この組織は、IAEAなどの国際組織の管理下に置き、近隣諸国や漁業関係者も含めた透明性あるものとすることが望ましいでしょう。

◆敢えて言えば、投棄する処理水の安全性を証明するために、これらの処理水は国内で農産物にも利用するとともに、福島以外の地域でも放出すること。
できれば、受益者負担の原則に基づき、東電の配電エリア(例えば東京湾とか・・・)全てで分担して処理水を受け持つべきだとも思います。

 これ位強硬な姿勢を示せば、東電以外の電力会社も原発のリスクを改めて認識し、日本全体としても脱原発に舵切りができるのではないかとも思われます。

 

 こんなことを考えている最中に、4月12日に仮称「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟」(会長:稲田朋美)という長たらしい名前の設立総会が開催されたとの報道がありました。
 福島第1原発の事故以来ある程度広がっていた脱原発の動きを完全に捨て去り、原発の新増設や建て替え(リプレース)を推進していく方向に舵取りをするようです。

・国民の安全よりも産業界を優先する自民党が、原発の新増設に積極的なのは何も驚くことではありませんが、菅首相は昨年11月の衆院予算委員会で「原発の新増設について、現時点においては考えていない」と答弁したことはまだ記憶に新しい所で、これとの整合性は全くなく、菅首相の指導力低下が明らかになると共に、自民党の本心である原発新増設推進がいよいよ表面に上がってきたということでしょう。

・また、稲田氏は総会後の記者会見で「可能な限り、原発依存度を低減する」というエネルギー基本計画(エネ基)の記述について、「できないカーボンニュートラルを世界に向けて約束したことになる」とし、新たなエネ基で削除することを求めるとまで踏み込み、脱原発の動きを方向転換させる意向のようです。

・更に疑問に思うのは、安倍晋三前首相がこの議員連盟の顧問に就くらしいということです。
 安倍前政権は「親原発」のイメージが強く、この動きにもそれほど違和感はありませんが、問題のエネルギー基本計画を作成したのは安倍政権下であったと思いますし、少なくとも政権担当中は世論調査で反対が根強い原発議論を避けて立ち位置を曖昧にしたままやり過ごし、首相という重責から解き放たれてから改めて推進を打ち出す側に積極的に与するというのは余りにも露骨で卑屈なやり方ではないでしょうか。


 何れにせよ。政権を担う自民党内でこのような動きが表面化するということは、上記の処理水の海洋投棄についても、安全性なども担保されないままに実行される公算が極めて強く、日本は世界に顔向けできない状態になってしまうでしょうから、この海洋投棄については明確に「反対」の立場を表明せざるを得ないでしょう。(まさ)


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1 コメント

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Unknown (四万十のえっちゃん)
2021-04-18 09:18:50
>海洋投棄 酷いことですよね。
高知県も漁業従事者が多いですので。
この件にせよ コロナにしても お偉い方の
考えは理解出来ませんよね。
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