老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

2030年の「発電コスト」試算

2021年08月04日 19時22分18秒 | 原発関係

 昨日(8月3日)、経済産業大臣の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会」の会合が開かれ、2030年時点の電源別発電コストの試算結果が示されました。

 その数値は下記のようになっています。(この表の数値は、毎日新聞より引用させていただきました)

           今回の試算  (2015年との比較) 2015年の試算>
  原子力       11.7~               ↑         10.3~
  太陽光(事業用) 8.2~11.8        ↓        12.7~15.6
  太陽光(住宅用) 8.7~14.9        ↓        12.5~16.4a
  陸上風力     9.9~17.2        ↓        13.6~21.5
  海上風力      26.1        ↓        30.3~34.7
  石炭火力     13.6~22.4       ↑         12.9
  LNG
火力       10.7~14.3                13.4

(注)
・数字は1kw/時当たりの円単価です。
また、水力/地熱/潮力発電についてはこの資料には含まれていないようです。

・太陽光や風力は天候で変動するため、電力が足りない場合に火力などで調整したり、需要を超えた場合は電力を蓄えたりするコストが追加でかかりますし、原子力は定期点検などによる発電停止に伴う火力発電などによるバックアップ電力が必要となり、こうした「統合コスト」を加えた場合は、原子力は14.4円、事業用の太陽光が18.9円、陸上風力が18.5円となるとの参考値も示されました。

・いずれも2030年時点で発電施設を新設した場合を想定した試算。発電量が一定ではない電源が増えた場合に変動を送電網全体で吸収するための負担や、発電時に生じた二酸化炭素を取り出して貯留する新技術導入のコストなどは試算に含まれていません。

 これらの試算結果は、近くまとめる予定のエネルギー政策の中長期方針「エネルギー基本計画」など今後の電源別の重点政策決定の資料とされるようです。


 現時点では、政府は“出力が安定し、温室効果ガスを発電時に排出しないし、コストも安い”として、原発依存の姿勢を変えていないようですが、果たしてそうなのでしょうか。

◆上記の試算で見る限りでも、再生エネ発電については発電量が天候/時間帯/季節で変わるなどの変動要因がありますので、水力/地熱/潮力発電なども含めてより良い構成比率を検討していく必要があるでしょうし、まだ具体化していない水素利用なども含めての将来の姿を検討していけるのではないでしょうか。
更に、以前も書き込みましたが、効率的な蓄電設備が開発されれば、再生エネが持つ弱点もある程度カバーされて行くでしょう。

◆一方、原発については
・上記のコスト試算でも「11.7~」となり、上限が記載されていないのは、万一の事故の場合の補償額の予想がつかないだけでなく、放射性廃棄物の処分方法(従って、処分費用も・・・)が決まっていないことなどで、算出できないのでしょう。

・また、単純に発電コストだけを見ても、2004年には他の電源と比べて圧倒的に安かった「5.9円」だったのが、福島原発事故後の2011年には、事故の賠償や除染費用などもコストに算入して上限を示さない「8.9円以上」に増額され、2015年も安全対策費などの増加を踏まえて「10.3円以上」となっていたのが、今回更に「11.7円」と2004年と比較して倍近くになっており、軒並みに大幅下落を示している再生可能エネと比べると、そのマイナスイメージは明らかです。

・何よりも、福島第一原発事故を起こし、多くの住民に計り知れない被害を与えただけでなく、未だに汚染処理/廃炉問題の見通しも立っていないような原発に頼るようなエネルギー政策に対しては、国として明確に決別すべきでしょう。

◆世界的な環境保護の動きから見ても、この再生エネへの移行は避けられないでしょう。

 但し、素人の私でも再生エネが全て問題ないとは思っていません。

 以前にも書き込んだように太陽光には適した土地が少ない日本では土地開発に伴う自然破壊という問題もありますので、ビルや建物の屋上や側壁の利用が必要だと思っています。
また、風力利用についても低周波障害など色々と解決すべき問題があることを承知しています。

 それでも尚、危険要素の塊みたいな原発や、環境汚染の原因となる石炭やLNG発電とも手を切り、再生エネに切り替える方向を目指すのが人間の叡智であり、政府の責任だと思っています。(まさ)


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