日本脳炎予防接種を「積極的に勧めない」ことを厚生労働省が決めた。
早速、全国各地で日本脳炎の予防接種が中止されているらしい。
我が家のリリ(次女、3歳)が先月1回目の定期接種を済ませた時点で、この決定がなされた。
という訳で他人事ではないので、いろいろ調べた上でウチではどうするかを考えてみた。
70万回から200万回の接種に1回と言われている副反応が重篤になった症例が1例出たことを重視し(日本脳炎ワクチン接種との因果関係が科学的に証明されている訳ではない)、より安全なワクチンの開発まで予防接種の勧奨を一時見合わせる・・・ということだそうだ(乱暴な要約)。
だが、ワクチンによる副反応のリスクと、日本脳炎を発症するリスク、どちらが高いのか。
前者はワクチンを接種した場合70万分の1から200万分の1(厚生労働省によるQ&A)というのだから、まぁ、はっきりしている。
しかし、後者(日本脳炎を発症するリスク)は、単純な話ではない。
まず日本脳炎がどうやってうつり、うつった場合(ウイルスが身体に入った場合)どの程度、発症するのか、ということを考えなくてはならない。
日本脳炎ウイルスはブタの身体の中で増殖し、そのブタを刺した蚊にヒトが刺されるとウイルスに感染し、感染した場合(予防接種なしでは)100人から1000人に1人くらいが発症する、という。
かつて予防接種がなかった頃、ブタに日本脳炎ウイルスが蔓延している地域でヒトの患者が多かったという報告がある。
だから日本脳炎ウイルスを持っているブタが地域にいるか、ということを国立感染症研究所という所が、毎年きめ細かく調査した結果を公表している。
で、これが、地域差が極めて大きい。
平成16年度の最終報告ではこんな感じである。
他の年もみてみたが、沖縄は毎年早い段階でレッドゾーンだ。
ウチの周囲は感染危険地域、と理解してかまわないだろう。
あとはもう超・乱暴な計算である。
1日1回、蚊に刺されると仮定する。
年間100日くらい日本脳炎ウイルスを持った蚊が地域に出ていると仮定する。
どれくらいの比率でそういう蚊がいるのかはまったくわからないので、ウイルス保有蚊を1000匹に1匹と仮定する。
そして、日本脳炎ウイルスを持った蚊に刺された場合の発症率が100分の1から1000分の1。
これを元に計算すると、予防接種せずに沖縄に住んで日本脳炎を発症するリスクは、千分の1から1万分の1、ということになる(計算あってます?)。
副反応の発生率とは桁がだいぶ違う・・・。
まぁこれはすごい仮定の数字で計算しているので(特にウイルス保有蚊の比率はいいかげん)単純に比較する訳にはいかないんだけど。
近くに豚舎があるか、というのは大事な要素という気がする。
海外(主に東南アジア)でも都市部では流行が少ないそうだが、豚舎が近くにないからだろう。
沖縄でも都会(那覇の街中とか?)には豚舎はないはず。
でも、ウチは半端な市街地にある。
つい去年まで家のすぐ近くに豚舎があった(今はアパートになってる)。
生活圏の近くに豚舎があるんじゃないかなぁ。
それに子供たちを連れて豚舎がありそうな、のどかな地域に行く機会は多いぞ。
厚生労働省がお勧めする「蚊に刺されないように注意する」なんて、沖縄で普通に暮らしていたらとてもじゃないが徹底できない。
日本脳炎は特効薬がない。
発症した場合、1/3が死亡、1/3は後遺症、1/3が完治する、と言われている(これも乱暴な要約)。
早期発見や早期治療でなんとかなる病気ではなく、予防が一番、なのだ。
そして、従来の定期予防接種が日本脳炎の予防に有効なのは明らかである。
まれな副反応を恐れたために日本脳炎を発症するような馬鹿馬鹿しいことになってはならない。
少なくとも自分の子供たちにはそんなことになって欲しくない。
同意書を書けば、今後も公費で予防接種を受けられるらしい。
リリには今月、2回目の日本脳炎予防接種を受けさせることにした。
あと、この件に関してもう一つ。
鳥インフルエンザにかかった鳥たちは皆殺しになってしまったけど、日本脳炎にかかったブタを危険視したり抹殺したりするような日本、というか、そんな沖縄には絶対になって欲しくない。
人間の日本脳炎は予防接種で完璧に予防できるのだから。