もうすでにTwitterやFacebookなど、あちこちで話題になっているのでご存知の方も多いかと思います。
週刊新潮がピースワンコジャパンの活動について取り上げ、5月10日発売号に掲載されているとのこと。
「おかーさんは色々考えて難しい顔をしています。」
Yahooニュースで拝見したところによると、タイトルは
「志村どうぶつ園」で紹介、「セカオワ」「マエケン」も支援 “殺処分ゼロ”でふるさと納税8億円を集めるNPOの嘘
なるほど、いかにも週刊新潮らしい(笑)
さすがに丸ごと鵜呑みにしようとは思わないし、悪意の込もった書き方だなとは思うけれど、ニュースで紹介されている内容の中には真実も含まれている。
大手団体ということで何の疑問も持たないでいる人たちに目を向けてもらうという意味では良い機会だとも言える気がする。
残念ながら新潮の記事の全文を読むことができないので、これについてはYahooニュースで紹介されている以上のことは私には書けない。
Yahooニュースに記されている「保護犬に施すのが常識の不妊・去勢手術がほとんど行われておらず、今年3月に動物愛護団体などから公開質問状が出される事態となった。」は本当のこと。
当のピースワンコジャパン自身が避妊去勢手術の実施状況(ほとんど行われていない)を発表しているし、3月に55の動物保護団体から出された公開質問状に対する回答も公開されている。
そして、今回の新潮の記事掲載にあたってピースワンコジャパンが自身のサイトで『おしらせ』として見解を発表している。
【お知らせ】『週刊新潮』5月10日発売号の記事について
寄付金として納められた資金の使途や会計については、今後また情報が出るかもしれないし、私自身が詳しいことを知らないので何か書くことはできません。
けれど、はっきりしている事実『避妊去勢手術を行わずに飼育や譲渡をしているということ』これはどう考えても受け入れがたい。
去年の12月に書いた
この記事の中でも言っているんだけど
愛犬に避妊去勢手術をするかどうかは飼い主が決めること。だけど繁殖をするかどうかとなると話は別。
それはその家庭の話だけじゃなくて社会に関わることになるから。
さらに保護団体の話ともなると完全に別の次元であって、よっぽどの重病や老犬以外は繁殖の可能性を完全に断つことが義務だ。
PWJが自身のサイトで発表している数字からでさえ、問題が明確に読み取れる。
「譲渡後も繁殖は
ほぼ起こっていません。」
これは上記サイトに書かれている言葉。こんなところで「ほぼ」なんて副詞が出てくること自体が問題外だ。
保護団体の譲渡後の繁殖は100%ゼロでなくては意味がない。
サイト内では譲渡後1年以上経った里親264名への調査の結果を掲載している。
それによると、回答回収率が95%。264名の95%で250名から回答があったわけだ。
そして97%の飼い主の犬が繁殖していないとのこと。
つまり3%は繁殖が起こっている。250の3%で7.5。小数点以下を切り捨てても7件の繁殖があったことになる。
平均して3匹の子犬が産まれたと仮定したら21匹の犬が増えたというわけだ。
あーーーーーー、あかんあかん。ここまで努めて冷静に書いてきたけど、頭の温度が上がってきた。
「おかーさん、がんばってこらえて。COOL HEADよ。」
はいニヤ様。
21匹の犬をレスキューするのってどれくらいたいへんか、実際に保護活動をしていなくても
保護犬に少しでも関わったことがある人なら簡単に想像がつくと思います。
さらに1.6%にあたる4件の脱走も起きており、もしもこの犬たちも繁殖して3匹ずつ子犬が産まれていたら12匹。
税金として納められた資金を使って保護と譲渡活動を行っているのに、譲渡の結果予期せぬ犬の数の増加があるなんて
明らかに保護活動としての義務を果たしていない。
しかも現在は避妊去勢手術をしていない犬を他の自治体に移送して譲渡している状態です。
元々その土地で、きっちり避妊去勢をして譲渡活動をしている団体の方々の努力を思うとやり切れません。
そもそも団体自身の言葉の中に問題が現れているのだから
マスコミによる印象操作だとか、根拠のない言いがかりでは済ませられない、
避妊去勢手術を行わないという姿勢には根本的なシステムとしての欠陥があるわけです。
先に書いた公開質問状への回答も、同様の問題が見受けられたり、そもそもきちんと回答していなかったりする項目が見られます。
質問と回答はこちら→
https://inunekonet.wixsite.com/openletter-pwj/answer
『殺処分ゼロ』というのは目標にするべきゴールではないのです。
数字を目標にするから歪みが生じてくる。
保護活動の最終的な目標は、捨てられる動物を最小限までに抑え、無理なく譲渡できる状態にすること。
飼い主のいない野犬や野良猫の数はゼロを目標にする。
殺処分ゼロというのはその最終目標までの通過点に過ぎません。
せっかく潤沢な資金を持ち、人的資源にも恵まれている同団体なのですから、
これだけたくさんのところで指摘されている問題点を受け入れて改善し、発展してほしいと心から思っています。
ちょっと飲み下しにくい苦い薬だと思いますが、今回の週刊新潮の記事が何かのきっかけになることを願ってやみません。
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「忙しいとか言ってたくせに、長々と書いたわね。」
「今日1日箱に何か詰めながらブツブツ言ってたからね。」