ドッグフード原材料シリーズ、今回はイギリスのフードAATU(アートゥ)です。
合成保存料、合成着色料、遺伝子組み換え原材料は一切使われていない製品です。
「アメリカにはイギリスのフードなんて売ってないのよ」
売ってないってこともないんだけど少ないよね。
日本はその点、いろんな国のフードが輸入されていますね。
一つだけ、輸入フードを購入する場合は必ず正規代理店のあるブランドにしてくださいね。
保管や輸送の方法も品質保持に重要なので、日本で窓口になっている会社もチェックするようにしましょう。
では、本題。
チキン、サーモン、ダックの3種類があるのですが、どれも動物性タンパク質が1種類に限定されています。
動物性タンパク質の他は同じ原材料なので、チキンを例にとって見ていきますね。
80% チキン(50%チキン生肉(骨抜き)、30% 乾燥チキン)、サツマイモ、ヒヨコマメ
エンドウ、ルーサン、チキングレイビー、サーモンオイル、ニンジン、トマト、チコリ、
タピオカ、リンゴ、ナシ、クランベリー、ブルーベリー、マルベリー、オレンジ、ビルベリー
コケモモ、パセリ、ペパーミント、スピルリナ、海藻、オレガノ、セージ、マジョラム、タイム
カモミール、ローズヒップ、セイヨウイラクサ、ユッカ、マリゴールド、アニス果、
フェヌグリーク、シナモン、グルコサミン、MSM,コンドロイチン
【栄養添加物(/kg)】Lカルニチン200mg、エンテロコッカス・フェシウム SF68:NCIMB
【ビタミン類】ビタミンA 17,310iu、ビタミンD3 1,540iu、ビタミンE 480iu/
【微量元素】硫酸鉄Ⅱ 641mg、硫酸亜鉛 534mg、硫酸マンガンⅡ 105mg、硫酸銅Ⅱ38mg、
ヨウ素酸カルシウム 4.72mg、亜セレン酸ナトリウム 0.53mg/
冒頭で80%!と主張しているように、重量ベースで80%がチキン生肉と乾燥チキンで占められているそうです。
加工法も低温調理と説明されており、アミノ酸の損失が少ないと思われます。
この点はとても素晴らしいのですが、チキン生肉は「骨抜き」と表記されている点がちょっと疑問です。
細かく粉砕されていれば骨はカルシウム源として有効な食材です。
本国イギリスの公式サイトでは骨を抜いているという表記は見つかりません。
添加物としてカルシウムが使われていないので「カルシウムはどこ?」という疑問が残ります。
(ヨウ素酸カルシウムはヨウ素源として添加されています。)
乾燥チキンは、チキン肉を低温乾燥させたものでチキンミールとは違います。
この乾燥チキンが骨込みで調理されていればいいのですが、表記がないので不明です。
サツマイモと書かれているのはスイートポテトで、本当は違うものです。
だいたいサツマイモって薩摩芋なんだから、外国産フードに入ってないですよね。
スイートポテトは炭水化物源であるだけでなく、食物繊維とβカロチンが豊富です。
ヒヨコマメも炭水化物源ですが、食物繊維とタンパク質も多く含みます。
次のエンドウも同様です。炭水化物を含む原材料に食物繊維が多く含まれているため
このフードは血糖値の上昇が緩やかな低GI食品と言えます。
ルーサンというのは聞きなれない名前ですよね。
他のフードではアルファルファという名前で表記されていることが多いものです。
日本語名ウマゴヤシという名前からわかるように、馬の飼料によく使われる栄養豊富な野菜です。
チキングレイビーと書かれているものは、英語のサイトではチキンストックと書かれています。
グレイビーとストックって全然違うんだけど、なんでそんなややこしいことをするのか「?」
要はチキンを調理した際の水分ですね。表面に吹き付けられているのか、練り込まれているのかは不明。
サーモンオイルは、オメガ3系脂肪酸の摂取源としては理想的なものです。
ただフィッシュオイルはとても酸化しやすいので、ドライフードに含まれるものが全て有効かどうかは
ちょっと差し引いて考える必要があります。これはこのフードに限らず、全てのドライフードにおいて、です。
ニンジン、トマト、チコリは、イギリスの公式サイトでも同様に書かれているので、
ジュースの搾りかすではなく野菜がそのまま使われているようですね。
タピオカは、最近ではすっかりおなじみですね。
カッサバという芋のデンプンで、アレルギー対策の炭水化物源としてよく使用されます。
リンゴやナシも果実が使われているようです。このナシは日本で言うところの洋ナシです。
クランベリーは尿路系疾患の予防がよく知られていますが、フードに含まれる量ではそこまでの効果は期待できません。
ビタミンCを多く含み、抗酸化作用が強いことが特徴です。
ブルーベリー、アントシアニンという抗酸化物質が豊富なことで知られていますね。
後に表記されているビルベリーはブルーベリーよりもさらにアントシアニンが豊富な果物です。
マルベリーは日本語で言えば桑の実。ブラックベリーのような見た目です。
カリウムとアントシアニンが豊富な果物です。
コケモモはクランベリーと同じ仲間の植物で赤い実の見た目や生食に向かないところなども似ています。
ビタミンC他抗酸化物質を多く含みます。
果物がとても多く使われていることがわかりますが、これは生の果物なのかドライフルーツなのかどちらだろう?
チキンが80%を占めると書かれているので、残りの20%を他の原材料で分割するとそれぞれの量はとても少ないものになります。
それが生の果物だとほとんどが水分で、調理後は微量すぎて栄養とか効果というレベルでは無くなるように思います。
全部ではなくても、このうちのいくつかはドライフルーツではないかと思うのですが、説明がないのでそこは不明です。
この次にはハーブ類のリストが続くのですが、個人的にはこれだけハーブが入っていると使いにくいなという印象です。
いつも書いているように、ハーブは5日使ったら2日は休みたいですし、
日常使いには強すぎるのでは?と思われるハーブもいくつか入っているからです。
使われているハーブのごく簡単な効果を挙げておきます。
パセリ 消化促進、抗炎症、利尿
ペパーミント 消化促進 抗菌
オレガノ 消化促進、健胃
セージ 抗菌
マジョラム 消化促進、鎮静
タイム 殺菌
カモミール 消化促進、健胃、抗炎症、鎮静
ローズヒップ 消化促進、抗菌
セイヨウイラクサ(ネトル) 栄養補給、抗アレルギー
ユッカ 抗炎症
マリゴールド(カレンデュラ?) 抗炎症
アニス果 消化促進
フェヌグリーク 健胃、抗炎症
シナモン 抗菌、健胃
そんなに消化促進しなくても(笑)ってくらいに胃腸サポート系のハーブが多いですね。
抗菌や殺菌の作用のあるハーブは製品の天然の防腐剤の役割もあるのかもしれません。
この中ではタイム、フェヌグリークは長期での使用には向かないハーブです。
シナモンも犬の体質によって、健胃の反対で胃に負担になる場合もあります。
多分フードに使われている量はごく少量なので、それほど神経質にならなくても良いと思いますが
できればフードには入っていない方が使いやすいだろうと思います。
スピルリナは藻の一種ですが、アミノ酸やミネラルなどを豊富に含み、
抗炎症作用や抗酸化作用も期待できるものです。
海藻と表記されているものは英語でもSeaweedとしか書かれていなくて種類は不明ですが
ヨードの摂取源として使われているのだと思います。
添加物に挙げられているLカルニチンは、肉や魚に含まれるアミノ酸から合成されるビタミン様物質です。
脂質を燃焼してエネルギーに変える働きがあります。
エンテロコッカスとそれに続くのは全てプロバイオティクスの微生物群です。
腸内環境を良好に保つサポートをします。
ビタミンと微量元素は入っているものに関しては特筆することはないのですが、
チキンのところで書いたようにカルシウムの表記がないので、鶏の骨が入ってるのかな?と気になるところです。
それと、ビタミンB群の添加がないのですが、原材料では内臓肉も使われていないので
その点も大丈夫かな?とちょっと気になります。
スピルリナやネトルのビタミン類で補給できているのかなとも思うのですが....。
「それで、どうなんですか?良いフードなの?」
タンパク質が単独で、生肉と乾燥肉(ミールではない)だけであるところはとても良質だと思います。
アレルギー対策もしやすいし、他の原材料も遺伝子組み換え無しなど安心な点が多いです。
ただ上で書いたように、いくつか「あれ?」と思う点もあります。
この製品だけを長期で利用するのではなく、他の全く別のメーカーの製品とローテーションする方が良さそうです。