今やレアアイテム化しているドッグフード原材料シリーズです。
今回はプラチナムというドイツのドッグフードです。
ちょっと「ノルウェイの森」の主人公になった気持ちで
「やれやれ、またドイツか」と呟いてみたりしています。
「ノルウェイの森がなんでドイツなの?」
村上春樹のノルウェイの森の冒頭で、着陸した飛行機の中で主人公が
「やれやれ、またドイツか」って春樹節を炸裂させてるんだよ。
犬のブログと全然関係ない話だけど。
さて、話をプラチナムに戻しましょう。
今まで取り上げてきたドイツのフードの中では異色な感じで
グレインフリーをアピールしています。
また豚肉がメインというのもちょっと珍しいので
他にチキン、ビーフ、ラムもあるのですがポークを取り上げます。
フレッシュポークミート(70%、イベリコ豚のみ使用)
乾燥ポテト、乾燥フィッシュ、乾燥醸造酵母、乾燥リンゴパルプ
サーモンオイル、ユッカ抽出物、コールドブレス アマニオイル
コールドブレスオリーブオイル、ミドリイガイエキス
乾燥キャロット、乾燥トマト、乾燥マリーゴールド
乾燥タンポポ、乾燥ブロッコリー、乾燥緑茶、乾燥カモミール
乾燥オレガノ、乾燥オオアザミ種子、乾燥クランベリー種子
海苔、塩化カリウム
鉄(硫酸第一鉄、七水和物)75mg、ヨウ化カリウム1.5mg、
硫酸銅(II)五水和物19mg、硫酸マンガン(II)一水和物40mg、
酸化亜鉛190mg、亜セレン酸ナトリウム0.3mg
原材料の一番最初にフレッシュポークミート、
つまり原材料の時点では加熱していない生の豚肉ですね。
含有量70%と記されているので、かなり多めに感じますが
生の肉の約7割は水分なので、加熱調理後の割合はずっと低くなります。
イベリコ豚というのは、スペイン原産で放牧で飼育されている豚です。
放牧地に落ちている木の実を多く食べているため肉の風味が良いとされています。
2番目は乾燥ポテト。ジャガイモですね。
豚肉とは反対に水分が飛んでいる分、実質量はかなり多めになると思います。
ジャガイモのデンプンは犬には消化しきれない難消化性デンプンを含みます。
(全てが難消化性というわけではない)
消化できる分はエネルギー源となり、難消化性のデンプンは
血糖値が急激に上がるのを防いだり、腸内環境を整えたりと言った
不溶性食物繊維と同じような働きをします。
乾燥フィッシュ、これは一見フィッシュミールか?と思いますが
英語版の原材料にもdried fishと書いてあるのでミールではないようです。
ミールは魚を加熱して脂を搾った後に粉状に挽いたもので
乾燥フィッシュは多分日本の魚の干物みたいなものだと思います。
この点が曖昧で申し訳ありません。
乾燥している分、タンパク質の含有量は多いです。
乾燥醸造酵母はビール酵母ですね。
ビールを醸造する時に発酵のために加えられる酵母です。
ビタミンB群をはじめとするビタミン類や必須アミノ酸を
豊富に含む栄養食品です。
乾燥リンゴパルプ、その名の通りリンゴの繊維ですが
アップルジュースなどを搾った後の残りが利用されています。
水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれます。
サーモンオイル、体内では合成できない必須脂肪酸である
オメガ3脂肪酸(DHA,EPA)の摂取源として理想的なオイルです。
免疫機構を健康に保ち、皮膚や被毛の維持に欠かせないものです。
ユッカ抽出物、リュウゼツラン科の多肉植物ユッカの地下茎のエキスです。
ユッカの地下茎は海老芋のような見た目と食感で食用にされますが
そこに含まれるサポニンが抗炎症作用や抗腫瘍作用を持っており
そのため関節炎のサプリメントにもよく使われています。
また便のニオイを抑える働きもあります。
コールドプレスアマニオイル、亜麻仁と漢字で表記されることが多いですが
フラックスシード とも呼ばれるアマ科の植物の種子のオイルです。
必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸を含みますが
植物性のオメガ3脂肪酸は犬の体内ではほとんど活用されないので
このオイルはオメガ6脂肪酸の供給源として考えることができます。
コールドプレスというのは低温圧搾とも呼ばれ、オイルを搾る際に
30℃以上の温度にならないよう管理されているため、
栄養素の損失や酸化のリスクが抑えられます。
コールドプレスオリーブオイル、オリーブオイルを含むフードは珍しいですね。
豊富に含まれるオレイン酸(オメガ9脂肪酸)は必須脂肪酸ではありませんが
血中コレステロールを適正に保つ働きがあります。
ミドリイガイエキス、二枚貝のミドリイガイの抽出物です。
オメガ3脂肪酸の他、強い抗炎症作用を持っているため
関節炎のサプリメントとしてよく知られています。
乾燥キャロット、乾燥トマト、乾燥ブロッコリーはそのまんまですね。
この製品では乾燥と表記してありますが、他の製品では単に
ニンジンとかトマトと書かれている場合が多いです。
ドライフードに使用されている野菜類はフレッシュと書かれていない限り
乾燥品がデフォルトと考えてOKです。
乾燥マリーゴールド、ここからハーブ類が続きます。
マリーゴールドは抗炎症作用のあるハーブですが抗菌作用もあるため
犬のためという目的の他に、製品のために配合されているのかもしれません。
防腐剤として認められている成分ではありませんから、そのような効果をうたうことはできませんが。
タンポポ、使用されているのが葉なのか根なのか両方なのかが不明ですが
利尿作用や健胃作用、肝機能をサポートする働きがあります。
乾燥緑茶、お茶の葉の健康作用は日本人ならよく知っているところですが
犬にはどうなんだろう?という疑問を感じる原材料ですね。
茶葉の抗菌作用や抗酸化作用は犬にとっても良いものですが
カフェインを含むものですから、毎日食べるフードに使うのは
あんまり歓迎しないなあという気がします。
カモミールはおなじみのハーブですね。
胃腸の不調を整える、抗炎症作用、鎮静作用などの働きがあります。
オレガノ、料理のスパイスとしておなじみのハーブです。
消化促進、抗菌作用などの働きがあります。
オオアザミはミルクシスルという名前でも知られます。
非常に強い肝臓強化作用を持っているので本来はスポット的に使うハーブです。
ワクチン接種やフィラリア薬投与の後や肝機能が落ちている時に
非常に頼りになるハーブなので、毎日食べるフードに使うには
あまり相応しいハーブではないと思います。
クランベリー種子、クランベリーというと尿路感染症の予防という
イメージが強いかと思いますが、それは赤い実の方の効果で
ここで使われている種子はまた別の働きがあります。
ビタミンEを豊富に含み、強い抗酸化作用を持ちます。
海苔、英語ではdried seaweedと書かれています。
海苔というのはseaweedの加工品で、そんな高価なものが
使われているとは思えないので、何らかの海藻の乾燥粉末だと思います。
ヨードの補給の他、海藻の種類によっては歯垢を防ぐものもあります。
(この製品に使われている海藻の種類は不明)
塩化カリウム、食品添加物でカリウムの摂取のために配合されます。
カリウムはナトリウムとバランスをとりながら細胞の機能を
正常に保つのに不可欠なミネラルです。
その後に並んでいる難解な名前はミネラル類です。
数値は全てフード1kgあたりの含有量です。
「では全体的な感じと、注意事項などをどうぞ」
このフードがアピールしているのは「無水調理」
水を一切加えずに肉の水分だけで調理しているのだそうです。
原材料が100%ヒューマングレードだと書かれていますが
プラチナムのヨーロッパ向けのサイトにはそのような表記はありません。
日本では「ヒューマングレード」の基準が定められていないので
日本の販売元の判断でこのようなことがよくありますね。
とは言え、原材料が人間も食べられるものというのは悪いことでありません。
お肉70%というイメージと比べて、粗タンパク質23〜24%は
ちょっと低めと言えます。
しかしミールが使われていないのでアミノ酸の損失が少なく
栄養摂取の効率は良いのではないかと思います。
良いフードだと思うのですが、ハーブの配合については
上にも書いた通り緑茶やミルクシスルに関して小さい不安があります。
ハーブ類を同じ種類で長期間摂り続けないためにも
他の全く違うメーカーとのローテーションをお勧めします。
日本での販売は代理店ではなく日本支社という形なのは安心感があります。
製品の公式サイトもきちんとした作りで好感が持てます。
ただし栄養に関する表記はちょこちょこと間違いがあるので
その点は今後に期待という感じですね。
もしもこのフードが身近で買えるなら、私も一度買ってみると思います。