ドッグフード原材料シリーズ、今回はフィッシュワンを取り上げます。
過去のドッグフード原材料シリーズはこちら
「お魚のフードだね」
まず最初に、かなり探してみたけどイギリスにFish Oneというフードがないんですよ。
ドッグフードに「ワン」とつけるのって日本的なので違う商品名なのかな?と原材料で検索しても出てこない。
私の探し方が悪いのかもしれない。引き続き探しておきます。
この製品だけの公式サイトは無いようですが、日本の輸入販売会社が運営している販売サイトはこちらです。
製品の画像の代わりにアマゾンリンクを貼りましたが在庫切れのようです。
では原材料を見てまいります。
ホワイトフィッシュ26%、サツマイモ、ジャガイモ、フィッシュミール
ポテトプロテイン、ヒマワリ油、サーモンオイル、アルファルファ
亜麻仁、加水分解サーモン、
ミネラル(アミノ酸キレート亜鉛、アミノ酸キレートマンガン、アミノ酸キレート銅、 アミノ酸キレート鉄、無水ヨウ酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)
ビタミン(A、B1、B6、B12、C、D3、E、βカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)
ドライアップル、 ビール酵母
プレバイオティクス(マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)
グルコサミン硫酸塩、 MSM、コンドロイチン硫酸塩
酸化防止剤(ミックストコフェロール)、ユッカエキス、
プロバイオティクス(エンテロコッカスフェシウム)
※保存料には天然のトコフェロール(ビタミンE)を使用
ホワイトフィッシュ
いくつかの販売サイトの説明を見るとタラその他の白身魚を使っているそうです。
タンパク質源として高品質なものですが、生の魚は7割以上が水分です。
原材料の時点で重量ベースで全体の26%が生の魚でも調理加工で水分が飛ぶと実質は8%くらいかと思います。
サツマイモ
イギリス産のフードであれば、これはサツマイモではなくスイートポテト。
オレンジ色でβカロテンを多く含む種類です。
炭水化物がメインですが、食物繊維が豊富なので血糖値の急上昇を防ぐ低GI食品です。
ジャガイモ
これも炭水化物源ですが、ジャガイモの澱粉は一部が難消化性で水溶性食物繊維のような働きをします。
芋類が2つ続けて上位にあるということは、このフードの芋類の割合はかなり高いということ。
先に述べたように生魚は調理後に水分が飛ぶとカサが減りますからね。
フィッシュミール
小魚や魚のアラを加熱して油を搾り、乾燥させて粉状に挽いたものです。
(詳しくはこちらを いろいろ知っておきたいフィッシュミールのこと)
乾燥して水分を含まないのでタンパク質がギュッと凝縮した形で含まれます。
ですからこのフードの実質メインのタンパク源はフィッシュミールということになります。
ポテトプロテイン
日本で片栗粉という名で売られているものの大半は馬鈴薯(ジャガイモ)澱粉です。
馬鈴薯澱粉を作る際、粉砕したジャガイモを水に浸し沈澱した部分から澱粉を精製します。
上澄み液にはジャガイモのタンパク質が含まれており、それを抽出したのがポテトプロテインです。
犬にとっては消化しやすいタンパク質で、アレルギー対策の療養食によく使われます。
しかしポテトプロテインを構成するアミノ酸は必須アミノ酸のうちトリプトファンとアルギニンが少ないという欠点があります。
この製品では必要なアミノ酸を全て含む魚が使われているので、その点は大丈夫です。
ヒマワリ油
ヒマワリの種から抽出したオイルで、脂質とエネルギー源となります。
脂質に含まれる脂肪酸のうち体内で合成できないため食物から摂る必要のあるのが「必須脂肪酸」です。
ヒマワリ油は必須脂肪酸のうちの1つオメガ6脂肪酸の一種リノール酸を豊富に含みます。
またビタミンEも豊富です。
サーモンオイル
こちらはもう一つの必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸の摂取源となります。
オメガ3脂肪酸の中でも犬の体内で活用しやすいDHAとEPAを豊富に含みます。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、どちらも免疫機能を正常に保ち皮膚や被毛の健康に重要です。
アルファルファ
和名は馬肥やしと呼ばれるように、牛や馬の牧草としてよく利用される栄養豊富なマメ科植物です。
βカロテン、ビタミンB群、ミネラル類、タンパク質、食物繊維が豊富です。
亜麻仁
フラックスシードとも呼ばれる、大粒のゴマのような種子です。
亜麻仁の脂肪酸であるアルファリノレン酸は植物性のオメガ3脂肪酸としてよく知られています。
しかし犬はアルファリノレン酸を体内でほとんど活用できないため、オメガ3脂肪酸源にはなりません。
亜麻仁はオメガ3だけでなくオメガ6のリノール酸も豊富に含みます。
またリグナンという抗酸化物質を含み、この成分は抗炎症作用を持っています。
水溶性と不溶性両方の食物繊維も豊富です。
加水分解サーモン
サーモンのアラ部分(たいていは缶詰工場などの副産物)を酵素または酸を使ってタンパク質をアミノ酸にまで分解したものです。
タンパク質はアミノ酸が多数つながって構成されていますが、アミノ酸レベルにまで分解するとアレルギー反応が起きません。
人間の食品では加水分解したタンパク質は旨味成分として使われます。
この製品でも原材料一覧で後ろの方に記載されているので含まれる量は少量で、風味付けが目的だと思います。
ミネラル類はアミノ酸キレートという言葉が付いているものが多いですが
これは吸収しにくいミネラル類にアミノ酸を結合させて吸収率を高くしているという意味です。
ビタミン類ではちょっと気になる点があります。
ビタミンABCDEは普通ですが、Eの次にβカロテンと書いてあります。
βカロチンは体内でビタミンAに変換されるので、ビタミンAが添加されていればOKです。
βカロチンからAへの変換は必要に応じて行われるので過剰摂取にはなりません。
しかしβカロチンは食品からの摂取が望ましくサプリメントは推奨されていません。
この製品ではスイートポテトやアルファルファに含まれているので、ここでβカロテンを添加する意味がない。
原産国の表示を確認したくてもイギリスでの製品が見つからないので無理。
細かい点なのですが、気になるところです。
ドライアップル
この製品はビートパルプを使っていないことをアピールしています。
食物繊維の補給にはアルファルファやドライアップルを使用と書かれています。
ビート(甜菜大根)から砂糖を作る際の副産物であるビートパルプよりも
食品として知られているアルファルファやアップルの方が良いイメージなのかもしれません。
しかしこのドライアップルというのは多分アップルポマースと呼ばれるもので、ジュースの搾りかすです。
アップルボマースは水溶性と不溶性の食物繊維が豊富で、決して悪いものではありません。
もしかしたら本当にリンゴを乾燥させたものなのかもしれないけれど、これも確認のしようがない。
輸入フードなのに、原産国での情報がないとこういう点が困りますね。
ビール酵母
ビールを醸造する時に加えられる酵母なのでこう呼ばれます。
各種アミノ酸、ビタミンB群、ミネラルを豊富に含みます。
水溶性と不溶性の食物繊維が豊富でプロバイオティクスとプレバイオティクスとしても働きます。
プレバイオティクス(マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)
プレバイオティクスとは腸内で働く微生物のエサとなる物質のことです。
食物繊維が代表的ですが、マンナンオリゴ糖もフラクトオリゴ糖のその名の通り糖です。
しかしどちらも消化吸収されずに水溶性食物繊維のような働きをします。
グルコサミン硫酸塩
グルコサミンという呼び方が一般的ですが、硫酸塩というのは抽出に使われた物質です。
関節の軟骨はムコ多糖類という物質でできていますが、グルコサミンはムコ多糖類の構成成分のひとつです。
MSM
メチルサルフォニルメタンの頭文字で、野菜や穀類に含まれる有機イオウ成分です。
体内でコラーゲンやケラチンの生成に関与しています。
コンドロイチン硫酸塩
一般的にはコンドロイチンとして知られています。
グルコサミンと同様に軟骨の成分のひとつです。
グルコサミン、MSMと共に関節の健康対策として使用されています。
酸化防止剤には天然由来のミックストコフェロール(ビタミンE)が使用されています。
ユッカエキス
リュウゼツラン科の植物ユッカの根のエキスです。
抗炎症作用がありますが、ペットフードでは便のニオイ対策としてよく使われています。
プロバイオティクス
腸内で有効に働く微生物のことで色々な種類がありますが、この製品ではエンテロコッカスフェシウムという菌が使われています。
「で?どんなフードなの?」
原材料を見る限り、悪くないと思います。
魚成分を46%も使っているという点をアピールしていますが
生の魚の水分を考慮すると上記で説明した通りで粗タンパク質は22%と高くはありません。
「これはちょっと...」と思うような原材料は見当たりません。
肉類が一切使われていないので肉にアレルギーがある場合には良いですね。
輸入会社の販売サイトはちょっと見づらいのですが、間違った表示などは見当たりません。
気になる点などがあれば問い合わせてみて納得が行くようなら、良いフードではないかと思います。