ドッグフード原材料シリーズ、今回はドイツのフードHAPPY DOGです。
「ハッピードッグ...ド直球な感じの名前ねえ」
確かに。
どういうことかと言いますと「犬はオオカミと違って人間のそばで穀物などを与えられて来たので
肉が多すぎるフードでは体に合わない」というものです。
全く反対のことを言うメーカーも多いし、そりゃ消費者としては悩みますよね。
でもこういうことって「犬に動物性の肉が必要な理由」「穀物が必ずしも悪いわけではない理由」を理解しておくと
目の前にいる自分の犬に合わせて自分で考えられるようになるのではないかと思います。
このメーカーでは馬肉メインのフードがありますので、その馬肉ともう1つチキンメインのフードを取り上げます。
ではまず馬肉メインで穀物不使用のフードから
ポテト*、ホースプロテイン(17.5%)*、ポテトプロテイン*、ひまわり油、ビートファイバー*
加水分解レバー、菜種油、アップルポマス*(1.3%)、塩化ナトリウム、イースト抽出物*
ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6
ビオチン、Dパントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビタミンB12、葉酸)
ミネラル類(鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)
その他栄養素(DLメチオニン、タウリン)、天然由来トコフェロール(酸化防止剤として)
(*乾燥)
このメーカーのフード、ちょっと意外ですがほとんどの製品の一番最初の原材料は穀類またはポテトです。
原材料は多く使われているものから順番に記載されるので、一番最初に肉が来るものを、というのが
フード選びの原則としてよく言われますね。
一番最初に書かれているポテト(ジャガイモ)は乾燥して(多分)粉かフレーク状のものです。
ポテトはグルテンを含まない炭水化物源としてフードによく使われますが
犬にとってはポテトの炭水化物は全て消化吸収されるわけではないようです。
消化されなかった炭水化物は食物繊維のような働きをします。
この製品、他にも食物繊維が原材料に使われているので、この点はちょっと心に留めておきましょう。
ホースプロテイン、これまたややこしい書き方ですね😅
調べてみたら、馬肉ミールのことでした。馬肉を加熱乾燥させて粉状に挽いたものです。
水分を含まないため、タンパク質がギュッと凝縮して含まれます。
そのため2番手の原材料でも動物性タンパク質はしっかり含まれているというのがメーカーの言葉です。
ポテトプロテイン、ポテトの炭水化物はポテトスターチとして製品になりますが
ポテトプロテインはそのスターチを取った時の副産物です。
ポテト粉に水を加え、沈殿したものが炭水化物(スターチ)、上澄みに含まれるのがプロテインです。
ポテトそのもののタンパク質はあまり多くないのですが、このように副産物を集めて利用することは
食資源の有効利用の点で望ましいことです。
犬のタンパク源としてはアルギニン、ヒスチジン、メチオニンなど必須アミノ酸のいくつかが
少ないため補助的なタンパク源として使用されます。
これも乾燥原料として含まれるので、この製品のタンパク質のうち、ポテトプロテインが2〜3割を占めるのでは?と思います。
ひまわり油はリノール酸が豊富で、オメガ6脂肪酸のソースとして使用されます。
ビタミンEも多く含まれます。
ビートファイバー、砂糖大根と呼ばれるビートから砂糖を取るため搾った後の残りです。
不溶性と水溶性両方の食物繊維源となります。
加水分解レバー、レバーに水分と消化酵素などを加えて分解したものです。
風味が強く犬がたいへん好むため、栄養成分というよりも風味付けのために使われます。
菜種油、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸をバランス良く含むオイルです。
でもひまわり油が使用されてるのに、どうしてもう一種類加えてるのかな?と思うけれど。
なぜだろう?
アップルポマス、これはリンゴジュースなどを搾った後の残りの部分です。
これも食物繊維源となります。
消化しきれないポテトの炭水化物、ビートパルプ、アップルポマスと食物繊維がかなり多いですね。
多分、このフードを食べるとウンチの量や回数が増えると思います。
塩化ナトリウムは塩です。犬にも塩分は必要なので、ほとんどのフードには少量の塩が含まれます。
イースト抽出物、言葉は違いますが前回の原材料シリーズでも出てきた酵母エキスと同じです。
酵母の細胞壁を取り除き細胞の中の成分だけを取り出したものです。
腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスとして働きます。
ビタミン、ミネラル類の後にDLメチオニンとタウリンというアミノ酸が記載されています。
この製品のタンパク源はミールなので、高温調理の際にアミノ酸が消化しにくい形になったり
タウリンを合成するためのアミノ酸が損傷している可能性があります。
また多めに含まれる食物繊維がアミノ酸の吸収を妨げるおそれもあります。
そのため、こうしてアミノ酸を添加することで他の部分を補っています。
全体的にとてもシンプルなレシピのフードですね。
タンパク質が少ないかな?と思われる方は少量の肉や魚のトッピングでカバーしてください。
ハーブ類などもプラスしやすいフードです。
ただ、オメガ3脂肪酸のソースが何もないので、フィッシュオイル などで補ってください。
これはとても大切な点です。
もう1つ、チキンをメインにしたフードも。
↑このパッケージの写真、古いもののようで今はこういうパッケージではありません。
トウモロコシ、チキンプロテイン**、ポルトリー脂肪、米粉、ポテトプロテイン*、サーモンミール
フィッシュミール、ラムプロテイン*、ひまわり油、ビートファイバー*、アップルファイバー(0.6%)
菜種油、乾燥全卵、塩化ナトリウム、サッカロマイセス・セレビシエ*、塩化カリウム、海藻*(0.15%)
亜麻仁(0.15%)、ミルクシスル、アーティチョーク、タンポポ、ショウガ、カンバ葉、ネトル
カモミール、コリアンダー、ローズマリー、セージ、リコリス根、タイム(ハーブ:0.14%)*
緑イ貝*(0.02%)、イースト抽出物* 、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、
ビタミンB2、ビタミンB6、ビオチン、Dパントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビタミンB12、コリン、葉酸)
ミネラル類(鉄、銅、亜鉛、マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)
天然由来トコフェロール(酸化防止剤として)(**乾燥一部加水分解)(*乾燥)
先に書いた馬肉使用のフードと対照的なレシピです。
このフードも一番最初にトウモロコシが来ているのですが、チキンプロテイン(ミール)
サーモンミール、フィッシュミール、ラムプロテイン(ミール)と複数のミールが使われているので
トータルするとトウモロコシよりは動物性タンパク質が多いのだろうと思います。
チキンプロテインの次にポルトリー(家禽)脂肪と書かれています。
本当は何の脂肪なのかを具体的に書いて欲しいところですが、ウェブサイトでは
チキンとターキーの混合脂肪であると書かれていました。
ひまわり油、菜種油と上の製品と同じオメガ6脂肪酸を多く含むオイルが使用されています。
また一番最初の原材料であるトウモロコシにもオメガ6の1つリノール酸が多く含まれます。
一方、オメガ3脂肪酸のソースとしてはサーモンミールとフィッシュミール、亜麻仁が含まれています。
しかしサーモンとフィッシュはミールに加工した際にオメガ3脂肪酸はかなり失われています。
亜麻仁のオメガ3脂肪酸は犬の体内ではうまく活用することができません。
ですからこの製品にもフィッシュオイル などをプラスすることをお勧めします。
モンタナとの大きな違いの1つはたくさんの種類のハーブが使われていることです。
ミルクシスル、リコリスなど効き目の強いものも含まれているのがちょっと気になります。
本来長期で使用するハーブではないので、多分ごく少量なのだろうとは思いますが
こまめに他のフードとローテーションすることをお勧めします。
「良いフードなんですか?」
悪くはないと思う。
EU加盟国のフードは、ミールに使われる肉も人間用の肉から切り分けた部分や内臓肉だから
アメリカのフードに使われるミールのようなグレーな部分がないし。
日本の販売代理店の公式サイトもとても丁寧に説明されていて好感が持てます。
ただ、とても運動量の多い犬や、ハスキーやマラミュートのように炭水化物の消化酵素が少ない犬には
あまり合わないかもしれないです。